ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

コスラエ州上水道改善キャンペーン

2009-08-27 07:42:33 | コスラエ州
残りの任期は1ヶ月を切り、これまでの活動を仕上げる時期になりました。
Asian Development Bank(ADB)が中心となり進めているコスラエ州上水道改善プロジェクトですが、私もステアリングコミッティーの一員として会議に出席し、どのように住民説明を行っていくかを話し合いました。

そこでまず現状を把握するために主要な公共ダムを回り、管理者への聞き取り調査を行いました。各自治区にはメンテナンス担当者が居るものの、以前は2mの深度だった貯水槽が土砂で埋まり15cm以下になっていたり、何匹もの蛙が優雅に泳いでいたりと、適切な管理が行われていない状況でした。住民の多くは勿論、関係機関でさえもそのような状況を知らず、話し合いだけが繰り返されているので、ダムの現状を映したムービーを制作しローカルチャンネルで放送することにしました。(現在、放送中です。)

外部からの資金、技術協力で上水道を整備することは簡単ですが、まずは住民自身が問題意識を持ち、何が出来るか考えることが大切だと思っています。今回制作したムービーがその切っ掛けとなることを期待しています。


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赴任後一ヶ月半

2009-08-25 15:17:53 | チューク州
僕は先月の7月9日から、チューク州の環境保護局(Environmental Protection Agency)に赴任しました。

職種は「環境教育」で、チューク州EPAの啓発課の課長がカウンターパートで、小中学校の巡回教育、ワークショップ、クリーンアップイベントの開催、ニュースレターの発行などが要請内容でした。

赴任後2週間くらいであることに気がつきました。
ゴミ箱が島のどこにもない。ゴミ回収車も走ってない。街はポイ捨てだらけ。不法投棄だらけ。あれ?
ジュースを買い、飲み、どこに捨てようか捨てる場所を探していたところ、、、
ない。どこにもない。あれ?
同僚に聞いてみると、そんなものはないと。唯一の公共のゴミ投棄場(Dumpsite)が一つあるが、整備する機材機器がなく、十年くらい機能していないらしい。よって街には不法投棄とポイ捨てで溢れかえっており、正しくゴミを処理する方法が全くないというのだ。

啓発を仕事で来たのに、これでは住民にどう教育したらいいの?どこに捨てろと教育したらいいの?って悩んでたら、
EPAのDirectorから、君のカウンターパートは啓発課の課長ではなく、廃棄物管理マネージャー(Solid Waste Manager)のJackさんに変更です。君には、廃棄物処理のインフラ整備をしてもらいたいと。
要請内容と全く違う仕事をやらされるケースはOVから何度か聞いてはいたが、赴任後2週間でいきなり自分もそうなるとは。
まあこの状況じゃ啓発をやっても意味がないので、Dumpsiteの整備をまずやるしかないですな。

配属先のEPAや実際のDumpsiteの維持管理をすることになっているDivision of Public Worksと協議をし、Dumpsiteの再機能化にはどうしてもブルドーザーが必要だということで、日本大使館の草の根・人間の安全保障無償資金協力を使い、ブルドーザー支援の申請を行いました。只今プロセス中です。

ブルドーザーがくるまで待てないので、どうにかして、今すぐにでも、少しでもDumpsiteの状況を改善しなきゃ伝染病とか住民の衛生問題が心配であると思っていたら、来月で年度が終わるのに「Equipment Rental $7,500」がまだ使ってないことが判明し、よし、これを使ってDumpsiteの緊急修復をしようと提案しました。島にはブルドーザーは存在しないのですが、他のものを使って少しでもやろうということで、民間企業からパワーシャベル機をレンタルし、今Dumpsiteの修復中です。
僕は毎日彼らへの指示とモニタリングで、嫌がるカウンターパートを半強引に連れて、Dumpsiteでくさいくさいゴミ達と奮闘中です。
あー病気になりそう。


あと、まだ俺をカウンターパートだと半分思っている啓発課の課長から、
今年度の予算の中に、「Solid Waste Comic Book $5,000」 「Waste Management Handbook $5,000」 「Billboard $2,600」  ってあって、これをやってくれと。
やってって何を?
啓発用に教材と看板を作ってほしいんだ。
は?どこまでできてんの?
まだ手付けてない。君にデザインしてほしいんだ!

もう笑うしかなかったです。
とりあえずComic bookは作りました。ゼロからアイディアとか構成とか全部やって、啓発課長のコメントをもらって、あとはArtistを雇って、こういうふうな絵を描いてほしいっていって。(僕は絵を描くのは大の苦手で自分ではとてもじゃないけどできないので。)
っていってもこっちのArtistも質はよくないからどんな仕上がりになるのかは怖いけど。

Handbookの製作にもすぐにとりかからなくちゃ。Billboardもやんなきゃだし。あと一ヶ月でできるのか?協力者が欲しいです。まあ現実的に協力者を期待するのは到底無理だけど。むしろ、協力すべき立場の人々(同僚)が逆に障害になっているんですが。


まあ、もうここに来てしまった以上、弱音を吐いてもきりがないのでやるしかないですね。
世界中にいる他の隊員もそれなりに悩みをかかえながら地球色に日焼けして頑張ってるんだし。


どんなに悩んでも明日になれば太陽はまた昇るし、平和な島の日々はやってくる。


<宮城匡志>


ゴミ缶支給

2009-08-16 19:40:06 | コスラエ州
コスラエでは、全島的なごみ収集システム(ごみ収集車・ごみ箱)がないため、各家庭はゴミを家の裏庭に投げ捨てるか、各村にあるオープンダンプサイトに不適切な形で捨てています。

何年間かは、村が各家庭へ廃ドラム缶を配布し、ごみをそこに入れるように指導していましたが
ごみ収集が定期的に来るわけでもなく、ごみは溜まる一方、
ごみ収集がたまに来ても、ドラム缶は重いので、収集人は乱暴に扱うこともあり、
またドラム缶は錆びやすく、
何年か経つと、ごみと化してしまい、
今では数家庭でしか廃ドラム缶を見ることができません。

新しくゴミ箱として廃ドラム缶を調達したいところですが、現在、コスラエには廃ドラム缶がありません。
(以前はガソリンやアスファルトをドラム缶で輸入していたようですが、ガソリンは船から直接石油タンクに貯蔵されており、空になったドラム缶はでないようです)

そこで、全島ごみ収集に先駆けて、環境コンパクトマネー資金で購入したゴミ缶200個を4つの村の住民に配布しました。
ドラム缶よりも軽く、錆止めが表面に加工してあり、蓋付きです。
資金の制約上、全員配布はできませんでしたが、段階的に全世帯に配布を考えています。

今日まで、住民に対するゴミの分別指導が徹底していないため、処分場に埋め立てる必要のない葉っぱなどの庭ごみGreenWaste(生分解性ごみ)がプラスチック等(非生分解性ごみ)に混ざって、すべてのごみが一緒になっています。
当職場では、10月からのコスラエ全島ごみ収集プランを考えていますが、生分解性ゴミと非生分解性ゴミが混在したままの多量のゴミがTofol処分場に持ち込まれることになり、処分場の管理に大きな圧力と悪影響を与えかねません。

そこで、このゴミ缶配布の機会に、適切なゴミ缶の管理だけでなく、ゴミ分別の徹底(「Green Wasteは裏庭に捨ててもOK、プラスチックごみだけゴミ箱へ!」)の説明をするため、
4つの村を回り、住民説明会を開催しました。



住民説明会に参加した人も少なく、
村長さんからの住民への説明も不十分だったためか、
住民が正しいゴミ捨てとゴミ缶の管理を行えるかは不安です。
村長さんが作ったゴミ缶支給リストを用いて、定期的にモニタリングしていくことが必要です。



ゴミ缶に書かれている
SWMはSolid Waste Management
KSGはKosrae State Governmentの略。

(森田理絵)

プルタブレイ ≪リユース≫

2009-08-05 08:19:59 | ヤップ州
 
レイ…南の島で見られる「歓送迎」や「お祝い」の時などに贈る、首や頭にかける花輪。作る時は贈る人への想いをこめて。

この花輪をヤップ語でnuunuw:ヌーヌーと言います。

花と葉っぱを編みこんだもの、毛糸を使ったもの、1ドル札やキャンディーを編みこんだものまで種類もいろいろです。



☆さて、今回紹介するのはアルミ缶のプルタブを使ったヌーヌー。
中央の銀色の部分がプルタブです。プルタブに毛糸を編みこみ繋げていきます。編み方次第でスタイルは無限。
(プルタブを使うのはミクロネシア4州でもヤップ州だけ?)
 


☆これもリユース。
真ん中の白い部分はタバコのフィルターです。
(黄色と緑の部分はハイビスカス)
 

☆ヤップの卒業式。
卒業生は家族、友人から贈られたヌーヌーに埋もれます。


ローカルから学んだ、ローカルスタイルの≪リユース≫の紹介でした。


『アルミ缶のリサイクルについて』
アルミは何度でもリサイクルでき再びアルミになる、という優れた性質を持っています。

①資源を大切にできる
 アルミの原料になるのボーキサイトは天然資源。
②ゴミを減らす
 再利用することでゴミが減る。
③エネルギーを節約
 回収されたアルミ缶から原料にする再生地金を作るエネルギーは、原料のボーキサイトから新しくアルミニウムを作る時に使うエネルギーのたった3%。つまりエネルギーが97%も節約できる。 
(アルミ缶リサイクル協会のHPより)

以前「空き缶アート」のブログでも紹介したとおり、ヤップ州ではUNDPの援助によりアルミ缶のリサイクルが始まっています。ただ、リサイクル出来る施設はないため空き缶を回収し海外へ輸出するのみ。
また、昨年12月に申請されたリサイクル法の改訂案は未だに執行されていません。
そのため換金も3セントのままなので、住民は5セントになるのを待って家に空き缶をストックしているようです。リサイクル業者に持ち込まれる缶の量は以前に比べると減ったようです。。ここでは『アルミ缶→リサイクル』というより『アルミ缶→3セント(お金)』という考え方のほうが多数。意識は違いますが捨てればゴミになってしまう資源をリサイクルすることに変わりはありません。
リサイクル啓発には2つの意識を。

(ヤップ満江友紀)