2週間ほど前にポンペイは水不足で、断水が起こると言われ、かなり不安な気持ちで過ごしていました。
しかし、さすが世界第2の降水量を誇る国!
ここ1週間の降水量はものすごく、雨というより滝のようなスコールが一日に何回も起こります。ポンペイに来る前は雨は憂鬱なものでしたが、こちらに来て初めて嬉しいものとなりました。
どんより雲と南国の象徴であるココナッツ。まだまだ雨が降りそうです。
さて、断水になろうと、雨が大量に降ろうと、関係なしにCSP (Conservation Society of Pohnpei、ポンペイ環境保全協会)は日々ポンペイの環境保全に奮闘しています!
前回は私が所属するMarineの説明をしました。その時の予定では2月中にMarineの過去のデータをマッピングすると。現在、3月中旬ですが、その目標は達成されていません。
予期していなかった事が発覚したのです。
データ自体は大切に管理されておりまったく問題はありませんでした。しかし、2005年、プロジェクト開始初期に得たGPS座標のうちいくつかが間違っていたんです。こちらの人の話によると、当時GPSの精度は低く、2008年に改善されたそうです。間違ったGPS座標を使用するわけにはいかないので、新しいGPS座標を取りにいかなければなりません。
調べたところ、44箇所のモニタリングサイト中18箇所のGPS座標が間違っていました。
しかし、私が所属するMarineには一人のマネージャーと4人のスタッフしかいません。そして一人一人がそれぞれの仕事に熱心なので、それぞれが毎日忙しく、新しいGPS座標を取りに行く時間が限られています。
現在、13箇所のモニタリングサイトの新しいGPS座標を取得しましたが、まだあと5箇所残っています。モニタリングサイトはポンペイ各地に広がっており、残りの5箇所はCSPのオフィスから遠く、時間に余裕がある時でないと行けません。
よって、今は正しいGPS座標の取得待ちです。
Marineのプロジェクトの解析はただ今一時休止状態です。そこで今度はTerrestrialの今までの活動を教えてもらいました。
今活動中のプロジェクトは
• 水質検査 (川などの水源地に隣接している豚小屋やトイレなど、水質汚染の原因となっているものが近くにある水源の水質調査。調査後は土地所有者の了承を得て水質汚染源を移動。)
• 森林モニタリング (特に水源地に近い森林伐採を調べている。)
• 外来種のモニタリング (ポンペイでは20種以上の外来植物が見つかっており、そのうちの5種に的をしぼり、ポンぺイから完全に駆除しようとしている。)
• Grow low (森林伐採をした地元の人達を対象に伐採をしないように説明をし、高地ではなくLow, 低地で農業を行なうように指導している。)
• 植物採取 (ポンペイ在来種、固有種を採取し、標本にしている。)
上記のほとんどのプロジェクトは2000年から続いており、10年のデータがあります。それぞれのプロジェクトには一人のプロジェクトリーダーがいます。しかし、全ての活動はTerrestrial teamが協力して行ないます。
Terrestrial teamはデータの採取、管理に力を注いでいます。しかし、そのために分析にまで手が回らないことがあるようです。彼らのデータは空間的なデータを有しているので、GISでの解析も役に立つと思いました。
まず、私は水質検査プロジェクトから始めました。水質検査のプロジェクトリーダーに説明をしてもらいながら、過去のデータを見せてもらいました。
記録されていたデータは、水質汚染源の種類(豚小屋やトイレなど)、水源からの距離、そして、その土地所有者の名前でした。ポンペイでは法律で水質汚染源となる建物などは水源から最低でも50ft(約15m)離れていなければいけないと定められています。よって、川などに隣接して豚小屋を建てるのは環境的視点からマイナスなだけでなく、違法なのです。
その現況を改善するためにTerrestrial teamは水質汚染源近くの水質検査を行い、その後、水質汚染源を移動するという活動を行なっています。
これはポンペイでは一般的な豚小屋です。豚小屋のすぐ後ろに川が流れているのが見えます。
これは一枚目とは違う場所ですが、新しい豚小屋を建てているところです。右に見えるのは汚水浄化槽です。
これは新しい豚小屋です。水源から十分な距離があり、そして完成された汚水浄化槽も右にあり、より環境に配慮した豚小屋です。
彼らが費やしたこれらの多大な労力と時間から得たデータをGISを用いて解析をすることにプロジェクトリーダーは賛同してくれました。そして幸運なことに彼はGISの基礎知識があったので、お互いに案を出し合いながらどのように解析をするのが一番良いかを話し合いました。最終的にお互いに納得ができる最終目標ができ、その手始めにGISで解析しやすいように彼がデータを整理するのをサポートしました。
そこで、いくつかのサイトのGPS座標が無い事に気がつきました。そしてよりよい解析結果を出すために、移動後の新しい水質汚染源から水源までの距離を測定したほうが良いとお互いに合意しました。
Terrestrial teamは、毎日それぞれの仕事で忙しそうですが、近いうちに足りないGPS座標と移動後の新しい水質汚染源から水源までの距離を測定してくれることを願っています。
川上遼子
JIKAのドミのそばの市原です。
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