ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

25年度4次隊 永田篤司

2014-05-13 11:23:22 | チューク州
はじめまして。


青年海外協力隊25年度4次隊として4月からチューク州に派遣されています永田篤司と申します。

チューク州ではEnvironmental Protection Agency(EPA)という機関に配属されています。

チューク州の概要等につきましては過去ログをご参照ください。


さて、私は協力隊に参加する以前は民間の産廃処理会社で3年弱働いていました。

といいましても、1年半ほどは高層ビル等の建築現場を巡回して廃棄物の分別方法の指導やアドバイスを行うのが主な業務でした。

そこでのキャリアの後半は東日本大震災で発生したがれき処理関連の仕事でした。

実際には営業所立ち上げに伴う雑務がメインでしたが、がれき処理のプラントで目にした膨大な量の津波堆積物を前にした時、胸中に去来した複雑な感情は今でも忘れられません。


諸事情で退社し、半年ほどのブランクを経てからの協力隊応募となりました。



元々私に求められていたことは、廃棄物処理システムの改善と現地の人達の環境意識の向上でした。

しかし、前者に関しては前任者の方が丁寧な仕事をしてくださったお陰で、ほとんど私が介入する余地はない状態です。

実際、所属先のボスからもそのようなことを言われました。

必然的に現地の人達に対する環境教育が中心になるわけですが、聞くところによると、今月末から夏休みに入ってしまうそうで・・・。

とはいえ、環境教育は必ずしも学校でしか行えないわけではありませんし、環境教育以外にもプランはありますので、これから少しずつ着手していきたいと考えています。

どうにかしてチューク州の環境を改善していきたいですね。



写真はホームステイ先の自室からの眺めです。

2年間の振り返り(チューク州)

2013-06-20 08:51:54 | チューク州
こんにちは。
6月14日にチューク州を去り、首都ポンペイよりいよいよ本日帰国します。今回は5・6月の合併号とさせていただき、最終号として2年間の活動を振り返ります。

1.平成25年5~6月の主な活動
5月10日に行われた地球会議(Earth Conference)。地球環境を考えるための日として世界的に有名な4月22日のアースデイに絡めて、チュークで初めて実施されたワークショップ。ザビエル高校の先生が提案し、チューク青年協議会(Chuuk Youth Council)との協賛で実施されたものです。





アースデイの今年のテーマは気候変動であったことから、これに合わせて関連機関による発表が行われました。ちなみに私もごみに関して発表しました。


生徒が描いた気候変動に関する絵。今ある家が、将来は海に浸かっています


 その後は同僚への業務の引き継ぎ、JICAへの最終報告書の提出、半年後(早くて)に派遣が予定されている後任への引き継ぎ書の作成などを行った他、配属先からの依頼により、八王子市の取り組み紹介資料を作成しました。内容は、「ごみ有料化を始めとしたごみ減量への取り組み」(ごみ減量対策課で昨年タイ政府の研修員向けに発表した資料を基に作成)と「レジ袋削減に向けた取り組み」の2つ。ミクロネシアでも日本とは状況は違えど同様の問題であり、いくつかの取り組みが検討・実施されているため、チューク以外の他州にも共有しました。

 また、チューク最後の一週間は、お世話になった方々へのお別れの挨拶まわり。顔を合わせると、苦労した時期のこと、新たなごみ収集方法を開始するために重ねた会議、調査で一軒一軒訪問したコミュニティ、冗談を言い合って馬鹿みたいに笑ったことなど、2年間の日々が思い起こされ、思わず込み上げてくるものがありました。さらに夜はJICAボランティアの皆さん、配属先の環境保護局、そしてチュークを離れる前日の晩にはホストファミリーが親戚総出でパーティを開いてくれ、最後の楽しい一時を過ごすことができました。


2.環境部会
首都ポンペイでは、ミクロネシア外務省や日本大使館への表敬訪問、JICA支所への最終報告などを行った他、環境部会が開催されました。今回の目的はミクロネシアに対する支援の方向性を確認すること。



まず、環境問題を担当する連邦政府機関のOEEMを訪問。各ボランティアの活動を報告した他、国としてどのようにごみ問題に取り組み、どのような支援を必要としているか等意見交換を行いました。ミクロネシアでは、連邦政府よりも各州政府が実質的に政策を企画・実施するための力をもっています。そのため、OEEMの取り組みとしては、「政策作成支援」、「施設整備支援」、「研修や会議等の実施」の3点に注力し、各州政府における政策との住み分けを行っています。
普段、各ボランティアは州政府で活動しているため、こうした連邦政府の意見を聞けるのは大変貴重です。また、OEEMとしても首都以外の州の情報は入手しづらいため、お互いに取って価値の高い会議となりました。



次に、ちょうどポンペイを訪問していたJ-PRISM(大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト)専門家と日本大使館の職員を交えて意見交換。話し合いの内容は、J-PRISMとボランティアとの連携のあり方、現地における人材育成、ボランティアの役割、小型焼却炉導入の是非等多岐にわたりました。「他の国は病院や学校を建てるなどいわゆるハコモノの援助が多い。これは現地の人にとっても目に見えて分かりやすいし、感謝されている。一方で日本の援助は技術協力を主としており、その成果が見えにくい」とのボランティアの声に、専門家からは「プロジェクトは継続していくことが何より重要。そのためには、現地の人材を育成する必要があり、ボランティア派遣などの技術協力は大きな意味を持っている。」との回答。
私が2年間活動したチュークに何が残せたのかは分かりませんが、現地スタッフ自身で今後も継続してごみ問題に対処してくれることを祈っています。


3.この2年間を振り返って
 振り返ってみると、チュークに来る前から、「治安が悪い」、「電気がない」、「道路は最悪」、「食事に野菜は出ない」、「衛生管理の出来ていない病院には行くな」、「すぐ喧嘩になるので現地人とは酒を飲んではいけない」、などと事前情報として悪いことばかり聞かされていました。そして赴任してから3週間後に、近所で起きた日曜昼間の殺人事件。2年間、ここで無事に生活できるのか不安でいっぱいでした。

 そうして2年が経ち、チュークでの最後の日、ホームステイ先からパパの車で家を出て空港でチェックインを済ます。「後で空港に行くからね」と言っていたママを待てども、いつになっても来ない。結局時間が来てしまい、出国審査を済まして待合室へと。最後のお別れも出来ないままチュークを去ってしまうのかと残念に思っていると、空港職員が「こっちに来い」と言う。何かと思うとそこにはママの姿が。そしておばあちゃんとママの兄さん。おばあちゃんの手にはお土産がありました。「最後の最後までチューク人は何て時間にルーズなんだ!」と言いながら、ママに抱き締められていた私の目からは涙がこぼれ落ちていました。

言いたいことが伝えられずに落ち込んだこと、同僚に怒鳴ってしまったこと、友人からの手紙に涙したこと、子どものように無邪気にはしゃいだこと、この2年間、日本にいた時以上に喜怒哀楽の感情が激しく出ていたような気がします。その分、弱い自分、強い自分と向き合うことができました。
これまであまり気にかけることのなかった、太平洋に浮かぶ小さな小さな島国。日本との歴史的な深いつながり、海や山の美しい自然環境、そしてそこで暮らしている人懐っこい人たち。これからの人生の中で、大切となることをこの地で多く学びました。
最後の空港で涙したことで、やっぱりチュークが好きだったんだなと改めて実感。先に聞かされていた悪評も、実際に暮らしてみれば道路が悪い以外はそんなにひどいことはなく、楽しく過ごすことが出来ました。

 私の活動は、私一人では到底できたものではなく、様々な人たちの協力があったからこそ成し得たものだと感じています。日本大使館の草の根無償のスキームのもと、豊川市、現職参加として送り出してくれた八王子市からごみ収集車を寄贈していただいてから、活動は大きく前進しました。JICAの廃棄物管理プロジェクトのもと度々来られていた専門家にも大変お世話になりました。また、配属先はもちろんのこと、現地NGOや短期大学のスタッフ等の協力があったから、コミュニティでのプロジェクトをスムーズに普及させていくことができました。そしてチュークで一緒に活動してきた隊員や、日本や世界から応援してくれた友人や家族。お世話になった方々の名前を全て挙げることはとてもできませんが、この場をお借りして、深く感謝申し上げます。

Kinisou Chapur! (ありがとうございました)
また日本でお会いしましょう!







チューク州環境保護局 平成23年度1次隊 前川健一

2013年4月 J-AWARE3(商業系ごみ発生量調査)

2013-05-20 15:33:15 | チューク州
こんにちは。日本ではゴールデンウィークを終え、五月病の時季となっていますが(笑)、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
チュークでは、決選投票となっていた州知事選挙の結果が決まり、引き続き現職が知事となっています。




1.平成25年4月の主な活動
19日から4つ目となるMechitiw村で、ホーンコレクションをスタートしました。事前にコミュニティ向けにワークショップを行いましたが、参加者がわずかだったということもあり、収集中にもスタッフにチラシを配ってもらうことに。今回も収集スタッフが丁寧に住民に対してごみの出し方を説明してくれました。



Mechitiw村は主要道路に面して家が密集して並んでいるため、ホーンコレクションに適している場所。ただ、海にも面しているため、これまでは多くの家でごみがそのまま海へと投げ捨てられていました。ホーンコレクションを通して、この習慣が大きく改善されることを期待しています。




 また、22日には公共事業局と月一回の定例(にしてほしい)ミーティング。今回は、事前に話し合いたいことをスタッフから聞いておくことで、私の方からだけでなく、スタッフの方からも日ごろ考えていることを議論してもらいました。
残されたチャンスは5月と6月の2回。みんなで集まって話し合うという習慣を定着させてほしいものです。




 なお、3月から始めた埋立場の大規模修繕は現在も継続中。埋立場の内側からごみを捨てられるようにするために設置しているアプローチロードですが、民間業者に依頼しているサンゴの砂がトラブルもあってなかなか届かず。
全く難しい作業ではないのですが、必要なものがなければ完成させることはできません。。。



2.J-AWARE3
昨年2月に実施したダンプサイトでの搬入量調査J-AWARE2に引き続き、今回はJ-AWARE3として商業系ごみの発生量調査を各州のJICAボランティアと連携して行っています。
先輩隊員によるJ-AWARE第一弾では、家庭ごみの発生量調査が行われているため、今回の調査結果を用いて各州におけるごみ処理の発生から処理までのながれ(Waste Stream)を把握することを主な目的としています。






このため、4月は60件程の事業所を同僚とともに訪問。業種はホテル、レストラン、マーケット、政府、学校等多岐にわたります。チュークでは、埋立場が十分に管理されておらず、島の中心部からも離れた場所にあるということもあり、事業者が各自様々な方法でごみを処理しています。

中には、自分の所有地を埋立場としているというので見せてもらうと、海辺にごみを溜めているだけ。これでは、大雨などで増水した時に海へと流れてしまうことは一目瞭然。この調査を通して、まずはその実態を把握し、より良い処理方法へと導いていくことが期待されています。



 このJ-AWARE3に関わっている環境系隊員のなかで、私が一番先輩となるためまとめ役をやっていますが、これから集めたデータの分析や報告書の作成(英語版も)を行わなければいけません。さて帰国までにどこまでできるでしょうか。



3.この1カ月を振り返って
 ミクロネシアにいられるのも残すところいよいよ1か月ばかり。最後の活動の締めと、JICAへの最終報告書の作成などに追われ、それなりに忙しい日々を過ごしています。そのような中、自分はこの2年間でチュークに何を残せたのかということをよく考えます。

幸いなことにまだ時間はありますので、残された日々で今後もどのように継続できるかをこちらのスタッフと共に考えていきたいです。

下の写真は最近のお気に入り。この素敵な夕陽もあと何回見れるでしょうか。







(おまけ)
4月の下旬からフィリピンに旅行に行ってきました。ダイビングや観光地巡りの他、現地NGOの活動を見たり、ダンプサイトも訪問してきました。関心ありましたら、以下のリンクをご覧ください。

フィリピンのごみ事情~木炭ビジネスなど~


2013年3月 埋立場の大規模修繕&BOP調査団(廃車リサイクルビジネス)

2013-04-15 20:05:02 | チューク州
こんにちは。新年度となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
日本の職場からは異動された方々のお名前を伺いました。これまで一緒に働いていた方が異なる職場へと変わってしまうのは寂しいですが、新たな職場でのご活躍を願っています。6月末に帰国した際に新たな方々と仕事ができるのも楽しみです。
ちなみに決選投票となっていた州知事選挙の結果ですが、現職が当選しました。かなりの接戦ではあったようですが。
それでは先月の活動をお送りします。

1.平成25年3月の主な活動
JICA専門家のもと、1日にJCC(Joint Coordinating Committee)ミーティングを行い、廃棄物処理を主体的に担う環境保護局と公共事業局とともに、これまでの活動を振り返り、今後一年間の計画(MOU:Memorandum of Understanding)を話し合いました。
昨年12月に廃棄物に関するこれから5年間の州戦略が策定されたのですが、これをモニターするために多様な関係者から構成される運営委員会を設置することが決まりました。



これを受け、26日には関係者を集めてワークショップを開催。周知不足からか思うように人は集まりませんでしたが、州戦略と現在の活動を共有、諸問題について意見交換を行いました。今後、州知事を通じて正式に運営委員会を立ち上げ、定期的に話し合いの場が持たれることになっています。






また、日本から重機が2台(エクスカベータとホイルローダ)が贈与されたため、11~12日の2日間、メーカーの日立による研修が行われました。この重機は道路補修等のほか、埋立場の維持管理にも使われることになっており、活躍が期待されます。



23日の土曜日には、ロータリークラブが主催した空港での清掃活動。女性が多く参加し、敷地内の草刈りやごみ拾い、そして汚いことで悪評高い(笑)空港のトイレ掃除なども行われました。私も参加しましたが、みるみるきれいになっていくのは気持ちが良いですね。この日だけでは終わりきることが出来なかったため、4月も開催が予定されています。


2.埋立場の大規模修繕
3月はJICA専門家のもと、既存埋立場の大規模修繕を行いました。現在はブルドーザーにより、ごみをただ奥に押しやるだけのオープンダンプ。周囲が湿地帯に位置する埋立場は非常にぬかるみやすく、道沿いからごみを捨てます。そのため、埋立場から道にごみがあふれることもしばしば。あえなく近隣の土地に不法投棄されたごみを見かけることもありました。



専門家が課題として掲げたのは、不明確な土地境界線、ごみから金属を抜き取る人達(裸足の子ども含む)、不十分な管理、土地所有者との土地問題など。これらを少しでも解決するため、今回の修繕に際して以下のような計画を作成しました。



①境界線を超えて拡大しているごみを本来の土地にまで押し戻し、土手(Dyke)を作る。
②アプローチロード(Approach road)を設け、埋立場の内側からごみを捨てられるようにする。
③排水路を設け、雨水を埋立場の外へと排水できるようにする。



①土手の設置作業




このうち②のアプローチロードは、廃タイヤを有効活用し、中に石を敷き詰めることにより、道路の基礎としています。タイヤを奥へと運び、その一つ一つに石を入れ込む重労働。とにかく人手が欲しいということで、周りにいた子どもたちに声をかけてみたところ、喜んで手伝ってくれました。子どもたちに感謝!!


作業終了後にアプローチロード上を駆けまわって遊ぶ子どもたち


1か月での完了を予定していたのですが、雨季への変わり目の時期で雨天が続いたこともあり、現在も作業は続いています。
また、③の排水路の設置については、周囲の土地所有者の同意が取れていないためにまだ手が付けられていません。これにより、雨水が埋立場内に溜まってしまい、この点は以前よりも状態が悪くなってしまっていることが気がかりです。(詳しくは「埋立場の大規模修繕」)


3.BOP調査団~廃車リサイクルビジネス
JICAの委託を受け、3名の調査団がやって来ました。調査目的は廃車リサイクルビジネスの実現可能性について。
チュークでは、道の脇や敷地内に廃車や壊れた重機をよく見かけるため、私も赴任当初から問題視していたテーマでした。



調査団の訪問先は政府関係、車や部品のディーラー、修理屋、リサイクルショップ、港など多岐にわたりました。



チュークでの年間登録台数は推定2000台ほどで、90~95%は日本車。廃車から使える部品を抜き取って修理に用いているのですが、修理屋が、近年困っていると言っていたのが複雑化している電子制御のパーツ。現状は修理が不可能とのことでした。

現在のところは昨年から本格稼働した中国のリサイクル会社が積極的に回収を行っているため、当面は問題がないように思えます。ただ、廃車の大部分を占めるスチールは山積みされていて、最近は輸出をしていない様子。金属の価格変動は激しく、価格が低い時には廃車の回収が滞ってしまう可能性がある他、この会社も今後どれだけ事業を継続できるかという不安もあります。

そして私として気になるのが、チュークの車のほとんどが日本からの中古車である点。日本には自動車リサイクル法により、車の購入時にリサイクル費用が前もって支払われ、そのお金が廃車時のリサイクル費用に使われます。しかし、中古車として海外車が数年後にごみとなってしまうのです。

この状況はチュークに限らず、他の途上国も同様のはず。日本としても何か対策を考える必要がありそうです。(詳しくは「BOP調査団~廃車リサイクルビジネスの実現可能性 」


4.この1カ月を振り返って
 今月は、長年の課題であった埋立場の修繕に手を付けられたことがチュークにとって大きな前進です。たまたまではありますが、日本から重機の寄贈とほぼ同じタイミングで修繕が開始され、目に見えるように改善が進んでいくのは、実際に作業をしている公共事業局のスタッフにとっても大きなやりがいとなっています。

なお、日本同様、チュークにおいても埋立場の周辺住民との合意形成に大変苦労しています。このため、記載したように修繕の計画にも大きく影響を与えています。専門家が次回訪問を予定している6月下旬までに解決の道が開かれると良いのですが。

 私の活動もいよいよ残すところあと2カ月あまり。帰国を意識するようになったからか、最近特にここでの生活スタイルなど、日本と異なる部分を考えるようになり、チュークも良いところだなと改めて認識しています。少し前までは、日本に帰りたいと強く思う時期もあっただけに、不思議なものです。
そのようなチュークに少しでも貢献できるよう、現地の人たちと共に出来ることを悔いなくやっていきます。



(おまけ)今号も最後に写真をいくつか


2月から収集を開始した地域でのひとコマ。特に子どもたちはごみ収集車に興味津々です。



到着した重機の部品が入った箱にあった緩衝材のプチプチをみんなでつぶすおじさんスタッフたち。これを楽しむのはチュークでも同じなんですね。



空港での清掃活動終了後、各自持ち寄った食べ物を手にお疲れさま。やはり皆さんこの一時が大好き。写真を撮っていると、いつものごとく「サーモガ」(食べましょう)と声をかけてくれました。


チューク州環境保護局 平成23年度1次隊 前川健一

2013年2月 J-PRISM専門家のチューク訪問

2013-03-14 15:53:37 | チューク州
こんにちは。日本もようやく温かくなってきたようですね。花粉がつらい季節。チュークでは、最近選挙が行われましたが、州知事の結果が僅差となったことから決選投票が4月に改めて行われるようです。さて結果はいかに。



1.平成25年2月の主な活動
1月から開始したナンタク村でのホーンコレクションをフォローするため、ごみ収集車に頻繁に同乗しました。住民も徐々に慣れ、収集日には、朝から道ばたにごみ袋が置かれている様子をよく見かけるようになりました。また、現在の問題点を共有するために公共事業局とミーティングを開き、意見交換を行いました。このようなミーティングは定期的に行っていく必要があるため、今後は彼ら主導で行えるようサポートしていく必要があります。

 仕事以外では、ホストファミリーの実家があるトノアス(夏島)での大ウンドウカイを観戦。日本統治時代に、日本軍とチューク人が一緒になって運動会を行っていた場所で、今でも皆が大興奮するほど走り回る選手の姿に、私も一緒になって声援を送りました(詳しくは「夏島での大運動会 ~Undoukai in Tonoas Island 」)。



 また、たまたま目に入って訪れた私設の図書館。この事業を始めた方に話を聞くと、私立小学校の校長をやめ、友人等に声をかけて本や文具を寄贈してもらい、この図書館を昨年設立したとのこと。まだまだものは足りないとおっしゃっていましたが、室内はきっちりと整理・整頓がなされており、現在ある本も質が高い。



チュークでは学校に行かない子どもが多数おり、教育が重要課題であると私も感じていたことから、こうして慈善事業として行っていることに大いに共感しました。私もいくつか子ども向けの本(英語版ドラえもんなど)を持っているので、今度寄贈しようと思っています。


2.専門家のチューク訪問
2月の後半には、JICAによるJ-PRISM(大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト)本部より統括がチュークを訪れてくれました。3月に大規模な修繕を予定している埋立場を訪問し、具体的に計画を詰めていきました。この詳細は来月の通信で報告します。この他、将来の埋立場候補地やリサイクルショップも訪問しました。




また、環境保護局、公共事業局それぞれの局長とミーティングも行いました。ごみ処理の計画や評価、住民への啓発等は私の配属先である環境保護局が、ごみ収集・ごみ処理は公共事業局という役割分担のはずなのですが、これまでの複雑な経緯もあり、ごみ処理も含めて全ての予算は環境保護局が有しているという現状。これでは責任の所在も不明確となり、公共事業局が何かものを購入するにも余計な時間がかかってしまいます。

統括はこの点を指摘し、公共事業局が予算を獲得するために、まずは組織としての仕事内容を明文化することを提案しました。さらに、昨年末に策定した州廃棄物戦略の実行状況を定期的にモニターするために、関係機関による運営委員会を設立することも提案。今後、環境保護局で詳細を詰めた後、州知事を通して関係機関に呼び掛けを行うことが決まりました。

統括はわずか数日のチューク滞在でしたが、このように現在の課題を明確化し、これから取り組むべきことを具体的に提案されました。私の中では正直目をつぶっていた点もあったのですが、今回訪問していただいたことにより、まだまだ私にもできることがあることを認識させられました。


3.この1カ月を振り返って
 1月に3つ目の村へと拡大したホーンコレクション。これまでごみ収集を行っていなかった地域でごみ収集をスタートするためには、まず住民に家の中のごみを集めてもらう必要があります。ごみ収集サービスが届いていない家庭では、ごみは家の中を掃除する際に家の周りへと捨てているところがほとんど。したがって、ごみ収集時に一軒一軒「ごみはありますか?」と尋ねても、大抵が「ない」との回答。なので、その際に「次回は○曜日に来ますので、ごみを集めておいてくださいね」と伝えておきます。
数週間もすると、家の中のごみを集めて収集日に出すという習慣が徐々に身についていくようで、ごみ収集に訪れた際に既に道ばたにごみ袋が置いてあると、とても嬉しくなります。

これまでは、ごみは仕方なく家の周りに捨てられていましたが、これからはこの「ごみを集めて出す」という行為を通じて、ごみに対する意識も高めていくことができればと考えています。


 最後に、2月はいくつか離島を訪問する機会があったので、その写真を。



まず、人口1万人ほどのウマン島(冬島)。日本軍の名残がここにも残っており、水産物を取って生活しています。



気になるのが海岸浸食。訪れるたびに海岸が削られているそうで、「私たちはこれに対して何をすれば良いのか?」と尋ねられました(右)。




 次は環礁上にある人口千人にも満たないピス島(北島)。すぐそこは外洋。内海とは違って、荒い波が打ち寄せてきます。ここでも井戸は大活躍。人々の生活を支えています。



また、ピス島でも気候変動による海面上昇の影響でしょうか、海岸沿いに倒れ落ちているヤシの木を何本も見ました。
私たちに何が出来るか考えさせられます。




 何はともあれ、どの島でも子ども達の笑顔には癒されますね。


ではまた!