ミケの雑記帳

グ~タラしたい毎日

下らない小噺を再び・・・

2009年10月07日 11時26分32秒 | 

Doも。
先日から母親の体調が思わしくなく、心配の毎日です。
体力使うような家事は全て引き受けて、食事も気を使ってはいるのですが、芳しくない模様です。
せっかく治療が終わったのに、あまり家から出られずに寝たり起きたりを繰り返しております。
無理はしなくていいですが、早く元に戻ってほしいのです。



暗い話は置いておいて、下らない小噺の一つでもお披露目しましょう。
前に『氷鬼』で小噺を作りましたが、今回も題材は違っても似たような物です。
では、Doぞ!

「犯人はこの中にいる!」
探偵である佐倉涼は自信たっぷりの顔で皆に対して大声でハッキリと言い切った
いつものセリフがいつものようにズバリ決まった
佐倉涼以外のその場にいた全員が神妙な顔で彼の次の言葉を待っていた。
「皆さんも知っての通り、僕達がこの場に駆けつけた時にはご主人の坂倉隆さんは殺されていました」
「えぇ、それは分かっています」
「ですから、私達は犯人が知りたいのです」
その場にいる人間は口々に質問を繰り返した
「まず、状況を整理します」
佐倉涼は全員を落ち着かせるためにそう言った
「僕達がこの部屋に駆けつけた時には隆さんはナイフで心臓を刺され絶命していた」
「えぇ、それは坂倉さんの主治医であるわたしが確認しました」
坂倉隆の主治医で親友である高倉高志は答えた
「死因は確かに胸に突き刺さったナイフが心臓に達していたことです」
「おそらく即死だったでしょうね」
佐倉涼は冷静に言った
「ここからが一番重要なんですが、坂倉隆さんが殺されてから僕達が駆けつけるまで、この部屋は密室だった」
「この部屋の鍵は探偵さん、あなたが持っていたんですよね?」
高倉高志は佐倉涼に質問した
「そうです、この部屋にこの場にいる全員で踏み込むまで僕が持っていたのは確かです」
「だから、この部屋の扉の鍵も窓の鍵もかかっていたことは何度も皆で確認したことだろぅ!」
坂倉隆の息子、坂倉崇は怒鳴った
「今更、確認作業なんて意味がないんだよ!」
「確認作業は必要ですよ、崇さん」
佐倉涼は坂倉崇をなだめるように言った
「これはつまり密室殺人だ」
殺人予告を受けた坂倉隆の相談を受け、佐倉涼と共に坂倉邸に来ていた岡倉隆志は静かに言った
「さぁ、どうやって犯人はこの密室殺人を行ったのでしょう?」
佐倉涼がおどけた雰囲気でそう言ったのに対し、坂倉隆の妻、坂倉良子は堪えかねて叫んだ
「私達が知りたいのは、どうやって殺されたかなんかではなくて、犯人が誰かと言うことです!」
「ですから、この場に集まっていただいた際に言ったじゃないですか」
そう、佐倉涼は最初に指摘した
「犯人はこの中にいると・・・・・・」
「では、一体誰が!?」
「まぁ、焦らないで聞いて下さいよ」
坂倉良子を落ち着かせるために一拍置いてから話を続けた
「わたしはこの坂倉邸に呼ばれた時点で違和感を感じていました」
この場には、坂倉隆の殺人が起きた時にいた5人の他に、現場検証を行った刑事もいた
「まるで、殺人予告がなされていたとは言え、まるで最初から何か起こると確信していたように、僕の許に連絡がきたからです」
佐倉涼は話を遠巻きに聞いている刑事にも分かるように話している
「そして、その連絡は岡倉さんからのものです」
「そ、それってつまり・・・・・・」
全員の視線は岡倉崇に注がれた
「そう!犯人は岡倉崇さん、あなただ!」
静まり返る一同
「ふ、あんたの言うとおり、俺が坂倉隆を殺した」
静寂を破って岡倉崇は犯人であることを認めた
「あいつが昔から憎くてな、とうとう我慢できなくなって殺っちまったよ」
「な、何故あなたが!?」
「そうだよ、親父とは仲が良かっただろ?」
「ふん、そんなもの、所詮表面上のことだ」
最早、岡倉崇が犯人であることは確定だ
「しかし、犯人は分かったが、密室殺人のトリックが解けないと探偵としては駄目なんじゃないか、佐倉君?」
少し離れた場所で話を聞いていた米倉刑事は言った
「確かに、密室トリックを解いてこその探偵です」
佐倉涼は確信ある笑顔を皆に見せた
「実は坂倉さんが殺された時、この部屋は密室ではなかったんですよ」
「はぁ!?何言ってんだよ」
「主人が殺される前に全員で窓の戸締りと部屋の鍵の施錠は確かにしたじゃないですか!?」
「そして鍵はあなたがずっと持っていたはずですよ!」
「皆さん、落ち着いてくださいよ」
詰め寄る3人をかわすように佐倉涼は軽くおどけて言った
「そのトリックを今からご説明します」
佐倉涼が冷静にそう言ったのを聞いて、その場の全員が固唾を飲んで静かに聴いた
「坂倉隆さんが殺された時、この部屋は密室ではなかった

・・・・・・何故なら、その時この部屋に僕もいたからですよ」

「・・・・・・」
その場の全員が絶句した
というか呆気に取られた
その様子を知ってか知らずか佐倉涼は続けた
「僕は目の前で岡倉さんが坂倉さんを殺すところを見ていたんですよ」
皆が混乱する中、ここで少し間を置いて佐倉涼は言った



「実はこの僕が岡倉さんの共犯だったからだぁっ!」
「な、何だってぇぇぇっ!!!」



「では、佐倉君も一緒に署に来てもらってもいいかな?」
「・・・・・・はい」


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