ITエンジニアの九十九折(新)

これまで経験したことや考えを思いつくままに綴って行こうと開設しました。マラソンをするように長く続けて行くつもりです。

142.若者の挫折を支える社会に(1,024字)

2008-06-11 | Voices
この前の日曜日(6月8日)、秋葉原の歩行者天国が血の海に染まる凄惨な事件が発生しました。犠牲になられた方々には哀悼の意を捧げます。

事件のあらましは報道されている通りだと思いますが、それにしても凶悪、かつ人命を軽んじた事件が次から次へと起こり、社会が正常を保てなくなりつつあるのではないかという気さえしています。

最近のこうした事件の背景にあるのは、「若者の挫折」というのが私の捉え方です。

誰しも人間は大人への成長過程において、さまざまな試みに挑戦し、上手く行くこともあれば、失敗することだって経験します。

さらに思春期を迎える頃ともなれば、異性問題や進路等についても大きく悩み、打ちひしがれることも少なくありません(そうして皆んな大人へ脱皮して行くのですが)。

今回の容疑者も、中学時代は成績が良く、地元の進学校に進んだものの、その後、成績が振るわなくなり、短大を卒業した後、進むべき道が見つからず、職を転々とし、精神面と生活面の両方で不安定な状態に陥っていたことが指摘されています。

通り魔事件として17名を死傷させた容疑者に同情の余地は生まれませんが、根源的な問題の解決をみない限り、また似たような事件が繰り返されることを危惧するのです。

親子関係、友人関係(中学~短大)、職場関係(同僚、上下)のいずれかが上手く行っていれば、こうした事件にまで発展せずに済んだのではないかと推察しています。

本人に問題があったことは否定のしようもありません。

彼は途中のどこかで挫折し、それを25歳に至るまで引きずって、リカバリー(回復)できなかったのでは。

人は挫折を乗り越えて人間として大きく育つものだと思いますが、彼の周囲には挫折を支える基盤も、自分で解決する力もなかったのかもしれません。

仕事も派遣社員を繰り返すばかりでは、基本スキルを磨くことも、やりがいを感じられるコアの仕事に携わることもできないに違いありません。

躾ができていない、自己中心的である、仕事の基本を理解していない等若者への注文には限りがありません。

しかし、それを放置することは半人前の大人が増えることを助長し、社会不安へとつながることになります。

今の若者が特別に異常な存在であるとは思えません。

賛否両論があること、さらに生半可な解決法など存在しないことを承知の上で、彼らの親も含め、上の世代が胸襟を開いて接し、育てて行くしか他に道は残されていないのだろうと思います。
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