ITエンジニアの九十九折(新)

これまで経験したことや考えを思いつくままに綴って行こうと開設しました。マラソンをするように長く続けて行くつもりです。

180.沖縄戦争(979字)

2009-09-02 | Voices
少し時期が遅れましたが、今年の夏は太平洋戦争で、唯一
国土決戦となった沖縄戦について触れたいと思います。

昨今の沖縄ブームとは裏腹に、私たち戦後世代が知らない
ダークな世界が、沖縄にはあったということを脳裏に刻み
込んで、次世代につないで行かなくてはならないと神妙な
面持ちでいます。

沖縄戦は、軍隊と民衆が総力を挙げて米軍と闘った戦争
であり、これほど哀しい結末も他に類を見ないほどだと
言うことができます。

それは、最後まで大本営から翻弄され、挙げ句、見放され、
そして多くの民衆が犠牲になって尊い命を落としたから
です。

当時の軍部による戦略の失敗や戦術のミスも、米軍の技術
力と物量を比較するとき、そこには延命こそあっても、
到底、勝利には結びつかなかったことがはっきりわかり
ます。

沖縄は、原爆地の広島や長崎にもひけを取らないほど、
大きな犠牲が払われた鎮魂の土地です。

沖縄戦と言うと、どうしてもひめゆり部隊の集団自決に
象徴されてしまいがちですが、あれは軍部の本拠地を
襲撃され、追い詰められて逃げ場を失った上での最後の
結末であり、最終盤の出来事なのです。

決して沖縄戦のすべてを現す訳ではありません。

現地軍司令部が敗色濃厚の中でも徹底抗戦の主張を曲げ
ず、何万人という人命が無駄に失われたのです。しかも、
軍部の本拠地を襲撃されたとき、大半の幹部連中は自決
して果ててしまったのです。

メンツにこだわっただけと言えなくもありませんが、
当時、大本営から皇命と厳命されれば、現地軍だけ降伏
することなど決して許される状況にはなかったでしょう。

日本が戦争に負けるというシナリオは存在しなかったと
さえ、証言している人すらいるのですから。

最終的に沖縄は陥落し、占領され、本土空襲の拠点と
なり、原爆投下、そして敗戦の道をたどることになるの
です。

沖縄戦は殺戮戦として、史上まれに見る大規模な戦闘
だったそうです。

<戦死者数>
 米軍  1万2500人
 日本軍 9万人
 沖縄住民15万6000人

死者数だけを見ても、凄まじさが伝わって来ます。

そして60余年が経った現在も、沖縄には米軍基地が
点在し、住民は騒音と事件に巻き込まれ、持病を抱えた
ような暮らしを強いられているのです。

私たちの救いは、沖縄の人たちが、それでも明るく
前向きに生きているのが伝わってくることです。

参考:
『沖縄のこころ』太田 昌秀著(岩波書店)
沖縄のこころ―沖縄戦と私 (岩波新書 青版 (831))
大田 昌秀
岩波書店

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