「後が怖いから」だそうだ。定額給付金の財源を確保する08年度補正予算関連法案の再議決に小泉純一郎元首相が欠席したら処分をどうするか、自民党執行部が悩んでいるという。
党内への影響力もさることながら、麻生太郎首相に対する小泉氏の批判は「ご説ごもっとも」の点があり、処分すれば国民の支持がますます離れていく心配もあるようだ。引退表明した人が一番目立つというのも役者がいない今の自民党を象徴しているのだろう。
だが、小泉氏も今ごろ物を言い始めるのはずるいと思う。
「最近の小泉さんは透明人間みたいだ」。首相退任からしばらく後、本欄でこう書いたことがある。一連の改革の後始末をせず、表に出てこないのは無責任だと考えたからだ。
振り返ってみれば、その後の首相がこけ続けているのは、自民党総裁の任期切れが理由だったとはいえ、前回衆院選で圧勝した小泉氏がまるで勝ち逃げするように辞めてしまったことに始まる。そして、格差の拡大や市場原理優先の弊害など「改革の影」が指摘され始めても本人は音無しの構えだった。
私は一部の人がいうように、「すべては小泉改革が悪い」と決めつけるのもまた単純過ぎると考えている。欠けているのは改革の何が「功」で何が「罪」だったかの具体的総括だ。
それをきちんとしないから、自民党は次にどんな国造りを目指すのか分からない。いや、単に昔の自民党に戻りたいだけだという話(実際そうかもしれないが)になってしまう。
麻生首相だけでなく自民党がぶれ続けているのだ。今さら言っても手遅れかもしれないが。
毎日新聞 2009年2月26日 0時07分
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