最近、コーヒーのチェーン店やレストランに行くと、店員の笑顔が目立つ。ぶっきらぼうよりも、悪い気はしない。ほかのお客さんにも同様に接するのを横で見ると、「一生懸命働いているんだな」と思えて、さらに好感を持つ。
でも、「感情労働」と呼ばれる同様の仕事をする人たちの間で、ストレスがたまり、病気になりやすくなっているとの警告が発せられている。
「肉体労働や頭脳労働ではなく、職業上、適切な感情的対応がマニュアル化されていて、笑顔、優しさ、気遣いを保つように感情コントロールを強制される」のが感情労働だそうだ。
この言葉は80年代、米国航空会社の客室乗務員たちの労働と関係して提起され、ちょうど飛行機旅行が大衆化した時期と一致するらしい。行儀のいい客ばかりではなくなり、感情を押し殺し続け、ストレスがたまるというわけだ。
感情労働は、職業としては、介護、看護などのサービス業に多い。役所の窓口業務もその一つだ。神奈川県勤労者医療生協理事長の天明佳臣(てんみょうよしおみ)医師によると、ある県の職員労働組合のアンケート結果を見ると、
「イライラする」が77%、
「不安だ」が70%などで、
総合判断から4割以上の職員が、ストレスが蓄積した慢性疲労の兆候を示していた。天明さんは「クレームを自分だけで背負わず、係長や課長にふってはどうか」とアドバイスしたという。
大切なのは、befriending(友として力を貸すこと)で、孤立化させないことだそうだ。行き付けのコーヒーショップも困ったときはbefriendingしているだろうか。(科学環境部)
毎日新聞 2008年3月8日 大阪朝刊
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