わが輩も猫である

「うらはら」は心にあるもの、「まぼろし」はことばがつくるもの。

感情労働=大島秀利

2008-03-17 | Weblog

 最近、コーヒーのチェーン店やレストランに行くと、店員の笑顔が目立つ。ぶっきらぼうよりも、悪い気はしない。ほかのお客さんにも同様に接するのを横で見ると、「一生懸命働いているんだな」と思えて、さらに好感を持つ。

 でも、「感情労働」と呼ばれる同様の仕事をする人たちの間で、ストレスがたまり、病気になりやすくなっているとの警告が発せられている。

 「肉体労働や頭脳労働ではなく、職業上、適切な感情的対応がマニュアル化されていて、笑顔、優しさ、気遣いを保つように感情コントロールを強制される」のが感情労働だそうだ。

 この言葉は80年代、米国航空会社の客室乗務員たちの労働と関係して提起され、ちょうど飛行機旅行が大衆化した時期と一致するらしい。行儀のいい客ばかりではなくなり、感情を押し殺し続け、ストレスがたまるというわけだ。

 感情労働は、職業としては、介護、看護などのサービス業に多い。役所の窓口業務もその一つだ。神奈川県勤労者医療生協理事長の天明佳臣(てんみょうよしおみ)医師によると、ある県の職員労働組合のアンケート結果を見ると、
「イライラする」が77%、
「不安だ」が70%などで、
総合判断から4割以上の職員が、ストレスが蓄積した慢性疲労の兆候を示していた。天明さんは「クレームを自分だけで背負わず、係長や課長にふってはどうか」とアドバイスしたという。

大切なのは、befriending(友として力を貸すこと)で、孤立化させないことだそうだ。行き付けのコーヒーショップも困ったときはbefriendingしているだろうか。(科学環境部)



毎日新聞 2008年3月8日 大阪朝刊


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