公明党の太田昭宏代表と福田康夫首相との3時間に及ぶ先ごろの会談は、さまざまな憶測を呼んでいる。
公明党も連立政権入りして以来、10年目。結党以来の金看板である「福祉」も、かつてのようなアピール力は失われている。肝心の福田内閣の支持率も低落傾向に歯止めはかからない。「このままでは泥船と一緒に沈んでしまう」といった焦りの声も公明党内からは聞こえてくる。
それを見越したように民主党は揺さぶり作戦に出ている。年内解散説を小沢一郎代表は再三にわたり口にする。太田代表が出ている衆院東京12区への国替え説も一時、流布された。その一方で、「総選挙の結果次第では、公明党との連携も選択肢の一つ」(赤松広隆選対委員長)と、懐柔路線も打ち出す。
国替え説には「挑発には一致団結するのがうちの体質」(幹部)と、公明党も一時は身構えた。だが、連続13回当選している小沢氏とはいえ、国替えとなれば党首としての全国遊説もままならない。小沢氏自身が「今、国替えの考えはない」と幕引きをした。
党首会談の概要を太田氏は「高齢者の方々が安心して暮らせ、報われるような政策を強く打ち出すよう福田首相に進言した」と、説明するが、真相は依然不明だ。
昨秋の大連立構想をはじめ「何でもありの政局」が続いている。「解散時期のウソは責任は問われない」が政界の常識。今国会もヤマ場を越した時期での党首会談を契機に、解散、内閣改造をめぐり諸説が一斉に流された。与野党間の心理作戦は一層激しくなるばかりだ。(論説室)
毎日新聞 2008年5月24日 東京朝刊
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます