わが輩も猫である

「うらはら」は心にあるもの、「まぼろし」はことばがつくるもの。

「クリンチ国会」の裏事情=松田喬和

2008-03-30 | Weblog

 国会での与野党間のクリンチ状況が止まらない。いずれも有効打は少なく、国民の政党不信は募るばかりだ。「ねじれ国会」が要因である以上、解散・総選挙に持ち込むことが、手っ取り早い解消策のはずだ。だが、解散風は吹いていない。

 2大政党制の出現で、政権交代が可能な政治状況が期待された。だが、「ねじれ国会」で、政策決定の遅れをはじめマイナス面が目立つ。与党は3分の2以上を占める衆院の優位性に頼りすぎた。一方、民主党も政権担当能力以上に対立軸を誇示している。

 与野党対決が深まるものの、早期解散論は盛り上がらない。福田内閣の支持率も低落傾向にある。仮に与党が勝利できても、衆院での再議決権を維持できるような大勝は期待薄だ。自民党内の大勢は先送り論だ。最大の人事権である解散権を封じられ、福田康夫首相は指導力も思うように発揮できないでいる。

 対する民主党の小沢一郎代表は「今国会の解散を大前提にがんばる」と檄(げき)を飛ばす。争点の道路特定財源問題でも妥協を拒否する。解散に腰が引ける自民党の対応を見込んだ上の強気作戦といわれている。

 両党の選対幹部に自党の総選挙予想をただしたところ、自民党は「215±10」、民主党は「210~220」が返ってきた。いずれの計算も次のようなものだった。

 「衆院の総数(480)のうち、公明以下の第3勢力が50議席は確保する。残りの430議席の過半数216議席を獲得した方が勝ち」

 互いに勝算が立つまで「クリンチ国会」は続くようだ。(論説室)




毎日新聞 2008年3月29日 東京朝刊


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