わが輩も猫である

「うらはら」は心にあるもの、「まぼろし」はことばがつくるもの。

「大人」教育=与良正男

2008-03-17 | Weblog

 先日の毎日新聞世論調査では、成人年齢を20歳から引き下げることに反対と答えた人は60%で、賛成の36%を大きく上回った。反対の理由で最も多かったのが、「精神的に未熟だから」である。

 精神科医の斎藤環氏によれば、精神的に成熟したと言える年齢は年々遅くなっていて「若者全体だと成熟年齢は30代後半から40代というのが実感」(2日朝刊)という。確かにそうかもなあと思う。

 「若い人の中には投票に行かないどころか、選挙前に選挙管理委員会から通知が届くのも知らない人がいる」と私も昨春、本欄で書いた。その後の参院選では、転居届を出し忘れたとかで、投票できないことを投票所で知った若い候補者までいて驚いたものだ。実際、若い人と話をしていても「早く投票権を」という人は少ない気がする。

 でも、「未熟だ」「常識がない」と嘆いていても何も変わらない。米大統領選で民主党の指名争いを続けるオバマ氏は46歳。ロシア大統領に決まったメドベージェフ氏は42歳だ。今回の成人年齢の引き下げ論議は、大人になるための教育をどうするかを考え直す好機だと思うのだ。

 少なくとも通常の選挙の投票権は18歳以上に引き下げるべきではなかろうか。それに伴い、教育の現場で現実の政治を学ぶ。いや、そんな難しいことを言わず、なぜ私たちは投票に行った方がいいのか、そして投票は具体的にどうするかといった話を学ぶ機会を増やすべきである。

 学校であれ、家庭であれ、格好の教材は新聞だと私は信じていますが、手前ミソだとしかられますかね。(論説室)




毎日新聞 2008年3月6日 東京朝刊


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