わが輩も猫である

「うらはら」は心にあるもの、「まぼろし」はことばがつくるもの。

今時の若者=福本容子

2009-03-09 | Weblog




 求む!20歳以上の学生--。

 東京都文京区に拠点を置く新しいNPO法人が、今年1月、学生ボランティアを募った。

 活動の場はアフリカ南東部、モザンビークのシブトだ。水道も電気もない、トイレは戸外の簡単な囲いだけ、というこの村で1週間ほどホームステイし、現地の子供たちに日本の遊びや文化を紹介する。募集期間は2週間しかなく、5000字の論文提出が必要。しかも台所事情により1人10万円の自己負担である。今時の若者がそんなの応募するわけないよな……。

 悲観論者の負け。3人の枠に34人が申し込んできた。東京医科歯科大の女子、京大大学院の男子、東大の男子が選ばれ、どうしても行きたいというもう1人が全額自己負担で加わる。

 便座は温かい、が常識の世代が「10万は安い」と飛びついた。日本食は何を作ってあげよう、数独に習字も教えてみよう。どんどん盛り上がっている。

 教室は足りず、毎年1000人以上の先生がエイズで命を落とすモザンビーク。「恵まれているのに希望を持てずにいる日本の若者に、120%生きている人たちをしっかり見てほしい」。アフリカとの草の根交流に加え、日本の若者を育てたいというのが、主催するNPO法人「ミレニアム・プロミス・ジャパン」理事長、鈴木りえこさんの思いだ。今回は一流校の学生ばかりだけど、いつか、道に迷っている若者にも参加してほしい。人の役に立ち感謝される喜びを知ってもらいたい。

 “1期生”はいよいよ10日に出発だ。帰国したら中学校などに出かけて体験を報告することになっている。どんな表情で戻ってくるのか、すごく楽しみ。(経済部)


 

毎日新聞 2009年3月6日 東京朝刊


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