わが輩も猫である

「うらはら」は心にあるもの、「まぼろし」はことばがつくるもの。

小沢さんの責任=与良正男

2009-03-09 | Weblog




 「私はすべての立場の人から応援をいただいており、その中には当然ゼネコンも含まれている。何も悪いことではない」

 実は、これは4日の小沢一郎民主党代表の発言ではない。1993年10月、当時、新生党代表幹事だった小沢氏が記者会見で語った話だ。細川内閣時代のこと。小沢氏は非自民政権樹立の立役者で、政権を支える陰の実力者だった。

 記者会見は、共産党が「小沢氏の後援会にはゼネコンの社員が名を連ね、岩手県の公共工事は小沢氏が仕切っている」と指摘したのを受けたもの。小沢氏は「仕切った事実はまったくない」と反論したとも毎日新聞の記事に残っている。

 あれから15年余。再び政権に近づいた、いや今度は首相に近づいた小沢氏がゼネコンとの関係をまた取りざたされることになった。公設秘書の逮捕に対して小沢氏は検察当局と全面対決する構えのようだ。総選挙を間近に控えた捜査に政治的な意図があると見る人も少なくない。事実関係は私も慎重に点検したいと思っている。

 しかし、今の時点でも小沢氏の責任が大きいと思うのは、「自民党政治の打破と言いながら、小沢氏も古い自民党的な体質を引きずっているのではないか」と多くの人に感じさせたことではないだろうか。

 自民中心か、民主中心か。やっと、有権者が政権を選択する時代になってきたのに、今また「どうせ、自民も民主も同じようなもの」「だれがやっても政治は変わらない」といったあきらめや政治不信が国民の間に強まるのを恐れる。

 その点を小沢氏はどう考えているのだろう。(論説室)


 

毎日新聞 2009年3月5日 東京朝刊


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