モダンデザイン・デザイナーズ家具・名作家具を考える。

世の中のすべての製品には歴史があり、現在に至ります。
製品の歴史、変遷、デザインを辿りたいと思います。

オットー・ワーグナー(世紀末の建築家-1)

2013年08月20日 | 建築家・デザイナー

オットー・ワーグナー(Otto Wagner)オットー・ワーグナー(1841-19 Otto Wagner)は、1841年にウィーン郊外に生まれました。

学生時代はウィーンとベルリンで建築を学びますが、いずれの都市も 『新古典主義建築』 が立ち並ぶ街だった事もあり、卒業後には、古典様式の理念を踏襲する仕事に携わる事が多かったようです。
『新古典主義建築』 について

しかし、1890年代に大規模な都市計画に携わる機会が訪れ、近代の都市に必要とされる要素について深く思考します。

そして、ワーグナーは、 『芸術は必要にのみ従う。』 と主張し始めます。

 

ウィーン郵便貯金局(Österr Postsparkasse)『芸術は必要にのみ従う。』 とは、つまり、装飾は必要に応じ配されるべきで、空間の機能性、合理性を妨げてはならないという考え方です。
左の 『ウィーン郵便貯金局(1906 Österr Postsparkasse)』 は、過度な装飾を廃止、吹き抜けを設け、その上部はトップライトとする構成で今日でも違和感のない開放的で機能的な空間が演出されています。

 

アム・シュタインホーフ教会(Kirche am Steinhof)オットー・ワーグナーの作品の多くは、アールヌーヴォーほど曲線を多用せず、どちらかと言うと、線と面、そして幾何学的な文様で構成され、左右対称の空間構成が多かったと言えます。
又、外観は上品な装飾、文様が配され、オットー・ワーグナーの作品の特徴ともいえる配色、つまり、白、若草色、金色等の色合いで着色され、内部は機能性、実用性を重視しました。

左は 『アム・シュタインホーフ教会(1907 Kirche am Steinhof)』 ですが、ウィーン郵便貯金局同様、ワーグナーの晩年の作品で、彼の理念がよく表現されています。

オットー・ワーグナーの設計理念は、その後の 『モダニズム建築』 に受け継がれていきます。