産業革命後、近世以前のヨーロッパでは貴族たちなど上位に位置する人達しか所有できなかった品々が一般の人々の手にも渡るようになり、又、物の種類も増え、人々が豊かになり、生活様式も変化してきます。
生活様式の変化に伴い、それに見合う建築物の構築が望まれるのですが、それまでの建築物に対する考え方がすぐに変化することはありませんでした。
19世紀初頭までは過去の様式を模倣する“リバイバル様式”、あるいはルネッサンス期のような厳格なオーダーやモチーフの使用でなく自由自在にそれらを組み合わせる様式、つまり“折衷様式”で各国の主要な建築物が建てられました。
“リバイバル様式”、“折衷様式”が流行した時期は、古典様式から学ぶべきものを学び、利用するべきものを利用し、次世代に飛躍して行くために試行錯誤された時期だったと言ってもよいかと思います。
そして、この時期の建物が、現在でもヨーロッパ各国の重要な建築物として使用され続けているという事実により、この時期の建築物の生産が表面的な古典様式の模倣だけではなかったと言えます。
左は“ビッグ・ベン”の通称で親しまれているイギリスの国会議事堂ですが、“リバイバル様式”の代表作です。
しかしながら、生活様式が変化するに伴って、これまでの建築物、装飾品、日用品の本来のあり方を模索する “近代建築運動・芸術運動”が19世紀前後各国で始まり、“リバイバル様式”、“折衷様式”もいよいよ終焉を向かえます。
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