これまで、近代のイギリスの産業革命以後の近代建築運動・芸術運動の流れをみてきました。
中世までは、職人たちが丹精をこめてものづくりをしていましたが、産業革命後、機械による工場生産へとものづくりの方式が格段に変化しました。
そして、産業革命の発祥地イギリスでは、機械生産を否定するウィリアム・モリスがアーツ&クラフツ運動を始めます。
さらに、ヨーロッパ大陸では、古典様式にとらわれない近代にあった様式の確立を理想としてアール・ヌーヴォーが始まります。
しかしながら、アール・ヌーヴォーは製造コストが高くなる特性上、結果、不特定多数の大衆が製品を手にする事は出来ませんでした。
ウィーンで始まったゼセッションはアール・ヌーヴォーほどの装飾性は付帯しませんでしたが、必ずしも機能的で合理的な空間を創造出来たわけでもありませんでした。
同時期にアメリカで流行したアール・デコも量産というよりは、むしろ一品生産でした。
このように、アール・ヌーヴォー、アール・デコに至る時期までは、装飾が主体となり、機能性、合理性はその次だったのではないか、どちらかと言うと装飾優先のものづくりであったのではないかと考えられます。
そして、いよいよ、機能性、合理性を重視するモダニズムの思想がヨーロッパ各地で芽生え始めます。