わが家の食育…「お家で作ろう! 食べよう!」

家族の健康づくりは、わが家で作る食事から…。信濃毎日新聞発行「週刊さくだいら」「週刊いいだ」特集掲載をまとめます。

「菜の花」でつくる循環の輪

2010-03-21 | 農と食をつなぐ…地産地消のすすめ
農と食をつなぐ…地産地消のすすめ
                 信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」
                  <2009.4/30号掲載>


春らんまん。花々が咲き乱れ、青空の下での行楽、農作業が心地いい季節ですね。
こんなに自然は豊かでも、自然は緩やかに変化しています。
絶滅危惧(きぐ)種が増え、ミツバチが姿を消し始めた地球…。
環境を守るために、地球を守るために、私たちができることは、なに? 
地域で拡がり始めている「菜の花循環システム」知り、まずは今できるエコ活動に参加してみませんか。
                                     

環境と健康のために
■環境と人にやさしく…
地球が壊れ始めています。
地球温暖化、生態系の悪化、資源の枯渇…。危機感を持って健全な地球に戻す努力が望まれています。
低炭素社会を目指すエコ活動には、地域に適した目標とシステム作りが欠かせません。
エコのためのCO2消費を避け、効率を考えたCO2の削減方法やフードマイレージを意識した地産地消をできるだけ増やしたいものです。
菜の花は、景観の美しさと共に、“食べる”“エネルギーを生む”など多岐にわたる利用があります。
広大な菜の花畑とミツバチやチョウが飛び交う環境は、自然回帰の象徴です。

■油脂の大切さ
菜種油には悪玉コレステロール濃度を下げるオレイン酸が含まれます。
酸化しにくいので、てんぷら油に適しています。                                
必須栄養素として最近新しい研究が進んでいる脂肪。その摂取は “鮮度” と “選び方”が大切です。
特に注意したいのはリノール酸とトランス脂肪酸を含む油の取り過ぎです。

必須脂肪酸は「ω(オメガ)3」と「ω6」に分かれ、1対4のバランスで摂るのが理想です。
油によって、その内容と含有量のバランスが変わります。
ω6系の摂りすぎが生活習慣病の要因といわれ、ω3系の摂取の方を増やすことが必要です。
同じ食材への偏りが生活習慣病の呼び水…。エゴマやクルミ、ゴマ油がおすすめです。

  ********************************             

ω3系…α―リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)

ω6系…リノール酸、λ―リノレン酸、アラキドン酸など

  ********************************     

■菜の花の栽培
食用として油を取る品種は「キザキノナタネ」です。
キャノラー種と同様に、多量摂取すると心臓障害の要因になるという“エルシン酸”をほとんど含まない品種です。
種まきはバラまきにすると、収量、作業ともに効率が悪いので、すじまきにします。
多湿にならないように高うねにし、窒素の多肥を避けます。
アブラナ科ですから、連作障害に注意した栽培を。



菜の花で未来予想図を描こう
ふるさとの原風景に自然回帰を求めて
地域でできることからはじめる循環。
賛同者の輪を拡げ、楽しく参加できるシステム作りをするためには、それぞれのポジションの役割分担と連携を考えることが必要です。

栽培
景観・遊休地・農業
遊休地の利用は、自然環境や農地の保全のために大切です。
栽培技術の向上により、効率のよい栽培で収益性を高めたいものです。

加工   
菜種油・バイオマス燃料・蜂蜜・せっけん
地産地消によって地域の活性化を図り、生産から消費までの安全と安心を構築しましょう。

観光・体験 
環境学習・オーナー制度
参加者の輪を広げ、加工品の消費拡大を図り、安定した生産の流れに結びつけましょう。


菜の花はちみつ
レンゲや菜の花にミツバチが飛び交う野原は、ふるさとの原風景。
菜の花が咲く頃は、春の養蜂のはじまりで、桜、リンゴ、アカシア…と、はちみつの採取が続きます。
菜の花はちみつは、さっぱりとしてうま味があります。今では希少になり、隠れたファンが季節限定の味を楽しんでいます。
黄色はミツバチが好む色。はちみつを採取する環境に戻しましょう。


菜種かす(油かす)
菜種の油を採油した搾りかすは「有機質肥料」や「飼料」として使えます。
農業への利用は魚かすに並び最も古いものです。
分解が速いため、多量施用は避け、生で使わず堆肥(たいひ)との混合などで追熟させ、アンモニアや亜硝酸ガス害を起こさないようにします。
農業畜産への利用は、輸入による大豆かすより安全性の高く、循環型システムの完結になります。
                                               
せっけん
せっけんへの利用は、ピュアオイルでも廃油でも使えます。しかし、純度が高く安全な菜種油は、まず、食用にしたいもの。
てんぷらなどの廃油利用の一環として、無公害せっけんにするのが本来の流れでしょう。
佐久市の社会福祉事業所「ねば塾」では、学校給食や食堂、廃油回収業者などの廃油でせっけんを作り、廃油の処理によって循環の輪に加わっています。
   
  
菜種は天候や栽培法によって、実のつき方が変わります。


「菜の花プロジェクト」って?
菜の花プロジェクトは、琵琶湖の富栄養化問題で水質悪化に歯止めをかける運動として滋賀県で始まりました。
「せっけん運動」と「廃食油回収」によるリサイクルがもとでしたが、無リン合成洗剤の普及でせっけん利用が減り、「廃食油回収」は菜の花栽培による資源循環型のシステムへと移行しました。
ドイツをモデルケースにした菜の花プロジェクトを理想の循環として、地域で継続可能なスタイルに構築することを求められています。

大町市
菜の花プロジェクト
全国組織の菜の花プロジェクトに加わり、活動を続けているのは、NPO法人「地域づくり工房」(大町市)です。
休耕田やスキー場の跡地を菜の花畑にし、旅館、ホテル・飲食業者や一般会員を募り、現在150名の組織で運営しています。
バイオ軽油のプラント、長野県の支援による搾油設備の導入、菜の花オーナー制度など様々な工夫で循環システムの継続の努力をしています。
エコツアー「菜の花コース」は菜の花畑・搾油所・バイオ軽油精製所などが見学できます。
      エコツアー問合せ先
      TEL0261-22-7601

菜種かす配合の餌で育った「信州黄金シャモ」は、居酒屋「伊右衛門」(佐久平駅南)に登場します。(不定期)


上田市
廃油でバイオディーゼル
バイオマス事業として廃油をバイオディーゼル燃料(BDF)に加工し、環境問題に取り組んでいる組織があります。NPO法人「上田広域市民事業ネットワーク」。上田市との共働で廃油の回収や給食車へのBDF利用を行い、信州上田フィルムコミッションのロケ地へのフードサ-ビス車(ロケ食提供)をBDF利用でサポートをしています。
BDFには、冬の凝固、税法上BDF100%(軽油混合は課税)、品質の安定、利便性などの課題があります。



菜の花を食品に加工する生産団体がある市町村


地産地消でできること―
菜の花循環システムで一番取り組みやすい加工品は「菜種油」です。
消毒の心配もなく、遺伝子組み換えの種子やエルシン酸を含まない品種を使い、無添加で搾油できるためビタミンEが豊富な菜種油。地元産の油には長所がたくさんありますね。
 
菜の花循環システムの順調な循環のためには、消費によって加工品を買い支えることが大切です。
行政のパートナーシップによる学校給食、福祉施設、病院での利用も、人にやさしい環境づくりとして求められています。


「菜の花油」 
小諸大橋農産物直売所で販売

小諸市
菜の花まつり御牧原畑作振興組合(小諸市)によりはじまった菜の花の栽培は、今年で5年目。千曲ビューライン沿いの県営担い手畑地帯総合整備事業の畑で繰り広げられています。
景観作物としての菜の花の美しさは、季節の風物となり、今年も5月10日に菜の花まつりが開催されます。当日は、菜種油で揚げたてんぷらや地元の味覚が振舞われます。
 

佐久市
体験学習と学校給食
佐久市瀬戸の荻原徳雄さんの菜の花畑も、景観づくりに貢献しながら食用油の採取に取り組んでいます。
菜の花の循環に地域の人の輪がつながり、城山小学校の体験学習で収穫したジャガイモを菜種油で揚げるコロッケ作りは、地元のフレンチレストラン「ブランカン」の笹崎シェフの指導で行われています。







































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