
さて。今回はぶっちゃけ意見満載の演出版。
あくまで個人の意見なので、異なった感想を否定する意図はないからね。
メガヒヨがBroadwayに通い出したころに色々教えて下さった方が言ってたっけ。
「ショーに不満を持ったのなら、責めるべきは演出家。役者には一切責任はない。彼らは言われたことをしているだけなのだから。」
言うまでもなく、日本版プリシラに出演されている役者さん全員は素晴らしい仕事をこなしている。
ただBroadway版を観ちゃったこのメガヒヨ。腹の底には違和感がうずまいている。
そう。責めるべきは演出家!! 良いことも悪いことも宮本亜門さんが背負うものなのだ。
あ、参考までに。
2011年に観たBroadway版の感想はコチラ→http://blog.goo.ne.jp/megahiyo1414/e/6b7a60404a8b450bcbb9afb267551a7e
このブログは「アホか!?」ってくらいにPriscilla関係の記事がいっぱいあるのでこれはあくまで氷山の一角。
右端にある検索バーでPriscillaって入れてこのブログ内で検索すると記事がこれでもかって出るので、興味ある方は読んでみてね!!
それじゃあ日本版の演出について感想を語るよ!!
第一幕
【♪THE OVERTURE】
Broadway版では、舞台の上にはでっかい口紅の模型が置かれ、幕にはその口紅で描かれたオーストラリア大陸の絵がありシドニー、アリス・スプリングの位置が示されていた。
しかし日本版にはこれらはナシ!!
緞帳にピンクのPriscillaのロゴがあるのみだった。まぁ仕方ないよね。一か月公演だし、緞帳って高いし。
そうそう。天井にはミラーボールもなかったよ。
幕が開くと、楽屋で鏡にむかうミッチが登場。フォトフレームを眺め、脇にはあのドレスがかかっている。
【♪IT'S RAINING MEN】
ディーバたちがフライングにて登場。日本の若手で最高ランクの歌姫たち。
ここで背景がシドニーの夜景で無かったのが本当に惜しい!!
あれでドラァグクィーン三人組が都会から砂漠へと旅立ったということが語られていたのに。予算が厳しくてもあれは残すべきだった。
RAINING MENの人数はBroadway版と変わりなし。衣装もだいたいのデザインは変わらないけど、黒の代わりに水色が加入。
で、アンサンブルの男性がみんな若くてかっこいい人ばかりなので、最後の人が上着を脱いだところで起こる笑いはなし。
(Broadway版では司祭役の恰幅のいい中年の役者さんが、ボンテージスタイルを披露していた。)
しょっぱなからミッチが登場したので、例の舞台上での早変わりは無し。
【♪WHAT'S LOVE GOT TO DO WITH IT?】
実際にいわゆるニューハーフショーなどで活躍をされているドラァグクィーンの大村俊介(SHUN)さん、オナン・スペルマーメイドさんがミス・アンダースタンディング役を務めている。
たぶんこのシーンが一番Broadway版に近いのでは? 客いじりもさすがに上手い!!
【♪I SAY A LITTLE PRAYER】
ここでガッカリなお知らせです。
Broadway版ではガウン姿で電話を取ったミッチ。
そう。Will Swenson氏は舞台上で生着替えを披露していた!! 『Boy from OZ』みたいでござるな。
しかし日本版では最初っから黒い衣装でありました。お着替えはなしにそのまま葬儀のシーンに直行。残念無念(笑)
【♪DON'T LEAVE ME THIS WAY】
陣内孝則さん演じるバーナデットが登場すると会場は拍手!!
ヒョウ柄ではないものの、ゴージャスな椅子に座っての登場は同じ。
弔問客の衣装もBroadway版と同じ。というかこれは世界を回っている衣装なのかも。
プログラムの稽古写真を見たけど、かなりぶかぶかな靴を履いてこのシーンを練習する役者さんがいた。
借り物衣装だとこういうことがあるので、大変なお仕事だと思う。
トランペットの葬儀のシーンは大幅な変更があった。
メガヒヨのお気に入りのバレリーナも登場するけど、あまりキャラが立ってない。
とても有能なダンサーさんなのに、なんでKyleくんと同じ振り付けをやってもらわないの!? 勿体ない!!
バーナデットの恋敵は意外な人物でしたってところは吉本っぽいノリで面白かったけど、このシーンはやっぱりバレエが見ものなので残念だった。
あ、バーナデットはクラッチバッグを持ってなく、小道具はハンカチだけ。
葬儀でのクラッチバッグ・ビンタ発祥の地である日本でこそ、あれを披露してほしかったのにな。
【♪MATERIAL GIRL】
装置がコインからお札になっている!!
観客はミッチとバーナデットのみで、中年ゲイカップルはおらず。
ゴンドラでアダム登場→ボーイズと過激なダンスという流れは変わってなかったけど、こちらも振付は大幅に変更。
というか全編にわたって振付は日本独自のもの。(でもところどころBroadway版をパクっている。)
もう、あの面白い振付を変えてしまうなんて何考えているのだろう!?
ボーイズの一人がバーナデットに絡んだり、その反応っぷりなど、振付だけで色々語られていたのに。
以前アルゼンチンのPriscillaに衝撃を受けたけど、まさか自分が母国で同じ目に遭うとは…。
アルゼンチンのPriscillaについてはコチラ
あ。一気飲みして泣き崩れるボーイズもなかったな。あれ好きだったのに。
【♪GO WEST】
このシーンではDIVAがそのままの赤いカツラで登場。
動きやすい様、ボトムがパンツ仕様になっているのが可愛い。
プリシラ号はヘッド部分のみ登場。
初日は「まさかこのままヘッド部分だけで終わるんじゃ…」とガクガクブルブルした(笑)
【♪HOLIDAY/LIKE A VIRGIN】
バーナデットがひき殺す三種の生き物。
カンガルーとテレタビーズは出たけど、コアラの亡骸は流れてこなかった。
初日はアクシデント?と思ったけど二回目もなかったので、「ぶつかったかも!?」の会話だけで終わらせるつもりかな。
(どっかからのクレームを恐れているのかも(笑))
【♪I SAY A LITTLE PRAYER (REPRISE)】
日本のプリシラ号には残念ながら屋根がないので、このシーンにはベンジーは登場しない。
あ、あと盆に載って回る仕様にはなってないので、急停車も左右の動きと役者さんの演技力にかかっている。
まぁこれについてはさほど問題なし。
ここで登場するDIVAは歩きだけど、先ほどのパンツではなくBroadwayと同じくスカートの裾を肩にかける仕様。
このスタイルは好きなので、日本でも見られて嬉しかったな。
【♪I LOVE THE NIGHT LIFE】
大幅な変更があったのがこのシーン。
町のボス、シャーリーは日本では一変、男たちにいじめられる掃除婦として登場。
初日に観た際にはびっくりした。「シャーリー、こんなになっちゃって…」という衝撃が強かった。
二回目にはいじめの描写がすこし抑え目になってた感じがしたのは、気のせいかな。
あまりにも暴力的なのは舞台の雰囲気が変わるし、それは二幕に取っとくべきだものね。
ひどい扱いを受けるシャーリーに「お嬢さん」と呼びかけ、元気づけるバーナデット。
みんなで楽しく踊るその後の展開はBroadway版はほぼ一緒。振付以外は。
この変更。アリ?ナシ?と考えたのだけど、アリなのではないかと自分は思った。
映画にもあったこのシーンはもう20年前の価値観。
女性だということに胡坐をかき、身だしなみに気を遣わないシャーリーに対して
「アナタのズタボロバッグに入っているのはタンポンだけ。なぜならそれしか入れるものが無いからよ。」と痛恨の一撃を放つバーナデット。
今ではセクシャル・マイノリティの地位も上がり、非モテ女子より華やかなトランスジェンダーの方が脚光を浴びる時代。
20年前は強者(町のボス・シャーリー)に弱者(ドラァグクィーン)が立ち向かう構図だったけど、弱者(非モテ)・強者(美人)と立場が逆になっているものね。
ここのシーンをいじった宮本亜門さんは心根がやさしい人なのだなと思った。
【♪TRUE COLORS】
心配していたバスの落書きは英語だった。
浅利さんが演出していたらきっと日本語だったかも(笑)
バスの横に転がっている漏斗の形をしたものは何だろうと思っていたら、プリシラ号の屋根に乗っかっているとされるハイヒールのヒール部分のようだった。
何せ屋根がないもので、上にヒールが乗っかっているというのは、映画や他国の舞台を観ていないと分からないのではないだろうか。
【♪SEMPRE LIBERA】
屋根のないプリシラ号。このシーンはどうなるのかと思っていたら、ヘッド部分の上にヒールを載せる仕組みで再現。
ヒールは前にせり出さないものの、フライングで登場するDIVAも含め大幅な変更はなし。
というかこの振付、オリジナルの人のクレジット出さないとパクリになっちゃうんじゃない!?
【♪COLOUR MY WORLD】
ノドの奥で「ビミョー」とつぶやいたのがこのシーン。
バスはピンクでなく、レインボーカラー。つまりはLGBTのシンボルカラーですな。
プリシラ号は砂漠の女王なんだから、ピンクでナンボだと思うのだけど。
確かアダムのセリフでバービー人形のキャンピングカーがプリシラ号とかいうのなかったっけ?
まぁ日本は一部の国と違いノンケの男性も普通にピンクは着るし、ピンク=ゲイより虹色にしちゃったほうが手っ取り早いと思ったのかな?
ともあれ、メガヒヨはLEDでキラキラ光るピンクのバスの方が好き。
Broadwayで輝いていたあの子は今どこにいるんだろう…。
あ、他の小さい変更点としては、バーナデットはペンキブラシダンサーに最後まで突っ込みを入れていたな。
バスの色(それにダサさ)に気を取られっぱなしだったけど。
【♪I WILL SURVIVE】
キャスト編にも書いたけど、アダムの一発芸はダブルキャストそれぞれ自分の個性を発揮できて良かったんじゃないかな。
まぁNickくんのジャンピングスプリッツが世界最高だけど~♪
このシーンはさほど目につく変更点はなかった様な気が。
あ。観光客の衣装が初日と二回目と違ってた。何か問題があったのかな。
あと日本人らしきカップルに関しては、法被は着てなかったし変なお辞儀もなかった。これは世界に引き継いでほしいかも。
なんか長くなっちゃったので、二幕はまた分けて更新するね!
メガヒヨさんの記事を観て、そうそうそうなんだよー、、、
頷きまくりました。
私はMaterial Girlの振り付け、バスの色、シャーリーの酷い
描かれぶりが気になりました。。
あとはミラーボールが頭上でなかう舞台横にあったこと。
明治座でさえ、ミラーボールは頭上に設置されていると
いうのに。(笑)
期間限定で予算が限られている中での演出もあるのかも
しれませんが、せっかく俳優がよくても残念ですね。
そうそう。シャーリーはやっぱりひどかったですよね。
この週末実家に戻った際に映画版を見直してみたのですが、やっぱりシャーリーは陰険な方が良かったです。
で、呑めば分かり合えるみたいな感じで。
亜門さんは会場の私を含めた非モテ様たちに気を遣ったのかも知れません。
しかしあの作品の女性はシンシア、マリオン、ディーバなど全員エネルギー溢れた存在であってほしいので、あのシーンには少々シラけたことを否定出来ませんでした。
そうそう。あとミラーボールは下手にひっそりと置いてありましたね(笑)
日生劇場はオペラ座の怪人を上演したこともありましたから、パレス劇場みたいにミラーボールを客席上に配置することも可能だと思いますよ。
何からなにまで謎でしたね。この演出は…。
丁寧な観劇報告、ご苦労様です。
日本版一回の観劇で席を蹴って帰ろうとした私。
2回目のticketをやけっぱち放棄した私。
あれほど愛すべきかつ深淵なテーマを持った
Priscilla を10倍に薄めて尚且つテーマもあっさり
蹴飛ばしてくれた亜門演出に殺意さえ感じたNICK姉で
す。
願わくば誰も日本版PRISCLLA をYOUTUBEに
アップしないことを、たとえされてもBroadway cast の
目に触れないない事を願うばかりです。
期間限定、予算の関係、musical 役者の層の薄さ、
等々の百の言い訳を考慮したとしても、
あれは酷い、情けなや、姉は怒りに震え、悔し涙にくれました!
心優しく、寛大なメガヒヨさんはそれでも愛を持って
良い所を必死に探しておいででしたが、Nick 姉は
もういいよ、Broadway musical を日本人でやるのはもう
止めて日本独自のOriginal musical を目指す方向に
転換すべきだと真剣に思いました。
それにしてもBroadway Priscilla は唯一無二の傑作だったのですね!
それを何度も体験できた私達は神の僥倖に浴したということですね!
それを改めて実感しました。
ああ、恋しや。Nick, Tony, Will and
Priscilla, Pink Bus!!!
たしかに。翻訳ものをご帰国後初めてご覧になる姉さんにとってはかなりの衝撃だったとお察しします。
それが思い入れの強いPriscillaなら特に。
それでもだいぶ日本の状況は良くなったんですよ。
私の知る限り、数年前から役者さんに関してはレベルが高くなっています。
層が薄いのはご指摘の通りですが。
(低音歌手が少ない、やせ形の役者ばかりなど)
ともあれ宮本亜門氏は作品をいじりすぎましたね。
誰もが知る古典ならまだしも、新作にここまで手を入れるのはあんまりではないかと私も怒っています。
イギリスから来たプロデューサーには好評だったという話ですけどね。う~ん…。
Mさん演出の翻訳物の舞台をご覧になるのは初めてだったのでしょうか?あの方がオリジナルの意図を理解しないで日本人向けに変えてしまうのは有名で、それは彼の演出するソンドハイムの作品で証明されていて、ソンドハイムファンからはそっぽを向かれています。でもリバイバルならまだしも、新作の日本初公開の作品でやられると参りますよね。
プリシラは韓国でもマルチキャストで上演されているのでひとっとびされてはいかがでしょうか?
そうそうWillとAudraがキャバレーコンサーとでSFに来月来るんですよ!でも私はスケジュールの都合行けません(涙)。でもってWillはLaw & Order SVUに出演していてびっくりしました。
以前にソンドハイムファンの方々に宮本亜門氏批判の話を伺ったことがありました。スィニートッドが上演された頃でしたっけ。
その際は「そこまで酷く言わなくても・・・」と内心思ったのですが、自分の好きな作品が被害に遭うと同じように言ってやりたくなりますね(笑)
宮本氏は役者さん達にも慕われてますし、業界内では良い評判を持つ方なのでしょう。
ここは日本オリジナル作品やオリンピック開会式などの演出に専念して頂き、外国で丹精込めて創られた作品に余計な手を加えないでいて欲しいです。
ところでWill Audraご夫妻の活躍は眩しい限りですね💞
私もそのコンサートに行きたいです!
それではクワストさんもよいお年をお迎えください。
ブロードウェイ.プリシラの一ファンとして日本版プリシラは残念な印象しかありません。
上演当時、私は「仕方ない」と自分の気持ちを抑え込んでいたのですが、韓国版のプリシラの映像を目にして「何で日本だけがこんな目に!!」と傷口は時間をおいて広がってしまいました。
そんな折、上田一豪さんの演出のキューティ・ブロンドを観て、まだまだ日本人演出家も捨てたものではない!!とプリシラ・ショックから立ち直りました。
とはいえ、アノひどい舞台で打ちひしがれたLSさんに安易に翻訳ミュージカルをすすめられるものでも無いですね。
せめて今井翼さんの国産音楽劇でもご覧になって、日本の劇場産業を支えていただきたいと願っております。
劇場の未来を決めるのは一部の演出家ではなく、私たち観客なんですから!!