メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

3月11日のはなし

2011年03月13日 | メガヒヨの日々つれづれ
この度の震災において被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
また連絡が取れないご家族・ご友人に関して、一日も早く無事が確認される様お祈りしております。



横浜港近くのオフィス。きのうはあの瞬間までいつもと変わらない週末だった。
データ締め切り、大量のコピー、サテライトからの問い合わせ。
普通どおりに仕事をこなしていた。

「あ、もうすぐ15時。ポットのお湯を足さないと。」と立ちあがった瞬間、軽い揺れを感じた。
毎度の震度2程度かと思いつつ、なかなか治まらない。
そんなうちに地震は激しくなり、恐怖を感じて机の下にもぐり込んだ。
周囲の人たちにも机の下に入るよう呼び掛ける。

ようやく揺れが収まり周囲を見渡すと、積み上がっていた書類が崩れていた。
天井の梁にはヒビが入り、背筋が凍る思いがした。

とはいえメガヒヨの勤務する5階はまだいい方だった。
それ以上の階では据え付け型の家具が倒壊したりして大変なことになっていた。

しかし本当に大変だったのは震源地ちかくの方々なのは語るまでもなく。
地震発生後、テレビをつけたのだけれど信じられない光景が映し出されていた。

黒い不気味な波に田園が呑みこまれていくさまは見ていて胃が痛くなった。
現実と認識するのが辛かった。

さいわい自分が勤務する地域のライフラインは無事だった。電気、水道問題なく。
ただ電話は通じにくい状況にあった。
携帯電話やメールは規制されているのか、全く使えず。
回線電話は何とか通じたので家に掛けることが出来た。
両親の無事を確認し、ほっとする。

両親はそのとき、家に入れない近所のお子さんを預かっていたとのこと。
地震に伴う交通の混乱で、その子の親御さんの帰りが遅くなってしまったらしいのだ。
メガヒヨも帰宅難民の一人だったけど、日本各地でこういう状況になってしまったご家庭は多かったのではないだろうか。

その後も余震が続き、また津波への恐怖に震えていた。
会社から海まではすぐ近く。
そして、今晩は家に帰るのを諦めつつあった。

川崎からやっとの思いで横浜まで戻った同僚の話によると、鶴見川が逆流して水位も一メートル上がっていたとのこと。
多摩川の橋も封鎖されているらしい。
これは電車が動くのは無理だろうなと思った。

となると食べ物を確保しなくては。
夕方五時前。近くのコンビニに行って、おにぎり・ケーキ・カップめんを買いこむ。
一人だけだと食べにくいので周りの人の分も用意した。
しかし結局は会社の方で調達してくれたので、その分はムダになってしまった。
自分が買い込んでしまった分、他の会社の人が買えなかったかと思うと心苦しかった。

コンビニ食品の夕食を済ませた後、仕事に戻る。
地震発生後、あまり仕事に集中できなかったメガヒヨ。
ちゃんとここで書類を完成させないとね。
でも一晩時間が出来てしまったことで、その仕事っぷりは更にだらだらとしたものに。
現実逃避したい気分でビールにも手を出し、普段ならあり得ないスタイルで机に向かっていた。

それから夜も十時をまわった頃、緊急物資の毛布が配られた。
しかし会社にいる人全員の分はなく一部の女子社員のみ。
会社もまさか本当に使う時が来るとは思っていなかったのだろう。

その後、夜十一時位のこと。
タクシーが確保出来たので帰りなさいと、お達しが出る。

「えっ? 泊まる覚悟は決まってるし、道路状況もどうだか分からないからいいのに…。」
と自分は思ったけれど、帰らせなければというのが会社の意向なのだろう。
毛布もその分ほかの人が使えるしね。

そんな訳でいそいそと、同じ方面に住む同僚計三人でタクシーに乗り込んだ。

横浜の市街地は一時の混雑ほどではないもののかなりの渋滞。
少し進んでは停車する様な状態。

タクシーの運転手さんに話を伺うと、地震発生の三時頃から何も食べずに運転を続けているとのこと。
そんな中、営業区よりはるか遠くまで行ってもらうなんて本当に申し訳ない。
頭が下がる思いだった。

また、車窓からはパン工場が見えた。
明日の朝の出荷分なのだろう。ちゃんと操業している。
工場の方々はちゃんと交代出来たのだろうか、夜勤の人が来れないのを昼間の人が引き続き仕事をしているかも知れない。
被害が深刻な地域ではパンも作れないだろうから、比較的ダメージの少ない工場で増産しなきゃいけないのかもね。
こうして供給を確保して下さる方々のおかげで食べ物を手にすることが出来るのね、とありがたく思った。

渋滞も戸塚を過ぎる頃にはだいぶ解消し、スムーズに車が進んだ。

ひとときは会社にお泊りを覚悟したけれど、夜一時半に自宅に無事に着く事が出来た。
幸い自宅はダメージも特になく、感慨にふけながらお風呂に入り床についた。

週明けには片づけ含め、会社生活も様変わりするのだろうなぁ。
実はメガヒヨはインフラ関係の仕事をしている。
今後どうなるのだろう。不安でたまらない。

でも自分のやるべき事を誠実にこなしていれば、道は展開していくのだろう。
今は人様のお役に立ちたい気持ちでいっぱいだ。
「でも先ずはビール飲んじゃったせいで終わらなかった仕事からだよね」と自分の襟を正すのであった。