ごろっと、えほんをひろげよう

子供と一緒に絵本、本を読んで早や10年。今は学校図書館司書をしています。読んできた本読みたい本を綴りたいと思ってます。

くちぶえ番長

2015-08-16 10:44:19 | 児童書
 またまた文庫本シリーズで重松清さんの「くちぶえ番長」を読みました。
前の学校の先生に図書だよりに投稿してもらった中にこの本があり
気になっていました。
 四年生のツヨシのクラスに転校してきた女の子マコト。「番長になります」と
宣言したマコトは強く、優しく、友だち思いで頼りになるやつだった。
マコトは亡くなったお父さんとの約束を果たして、一年間で転校して行ってしまう。
 実にさわやかな、朗らかな気持ちになる本ですね。
人と人ってこうやって心を通じ合わせていけたらいいんだと
マコトに教えられるようでした。
まあ、なかなかマコトのような子どもも大人もいないけどね。

 重松さんは「小学五年生」という本もありますが、短編集の五年生達の
学齢の感じ方とこのツヨシやマコトの四年生の立ち位置や意識を
本当によく把握していらっしゃると驚かされます。
こうした子どもの目線がいろいろな作品で垣間見ることができ、
おもしろいですね。

 なかなか四年生が図書の時間を使ってくれることはないのですが
この本はぜひ紹介したいし、文庫本という四年生には少し大人の
仲間入りの感覚を味わってもらいたいと今から新学期を楽しみに
なりました。




(くちぶえ番長の本は画像がありませんでした。新潮社文庫の本です。 
 2005年度の雑誌「小学四年生」に掲載されていたそうです)

ぼくとテスの秘密の七日間

2015-08-12 20:49:18 | 児童書
 5,6年生の課題図書となっている「ぼくとテスの秘密の七日間」を
読みました。
 テッセル島に住むテスという女の子と、島にバカンスに来ていた
サミュエルが出会って、いろいろな出来事が起こるという話。
テスは母親と二人暮らし。父親の存在を知ったテスは
島に呼び寄せることに成功。サミュエルはその手伝いをします。

 テスがSNSを使って、父親を島に来させることなど、まさに
現代風で読んでいてわくわくしました。アクシデントもありますが
最後にサミュエルが大勝負にでます。そして素晴らしい結末が
訪れます。

 テッセル島の島の様子も素敵に描写されて、さらにテスの一生懸命さ
サミュエルの悩みなどとてもクリアに書かれていて引き込まれました。
 きっと本を読んで、いろいろな感想が思いつく作品だと思います。

 たまたまでしょうが、この本も母子家庭の子どもが描かれていて
そのお母さんは誠に気丈な人です。そして子どもも
知己に富んでいます。こういう関係性は万国に共通するものなんだと
改めて思いました。







卵の緒

2015-08-10 09:23:47 | 児童書
 文庫本シリーズの一つ、瀬尾まいこさんの「卵の緒」。
「卵の緒」は瀬尾さんのデビュー作だそうです。
育生は母さんと血のつながりが無いのか気になっている。
けれど母さんは育生をとても愛してくれている。
日々の暮らしの中で「親子」とは何かを考えさせてくれる。
そんなに難しい文章ではなく読み易い。
これから成長していく子ども達が読んでもらうといいなあと思います。
「7's blood」というお話もとても印象深い話でした。
異母姉弟が一緒に暮らすことになりそれを実現させたお母さんは
入院してしまう。が、だんだんと二人は心を合わせていく。

 「卵の緒」の育生も「7's blood」の弟、七生も非常に
物わかりが良い子だなと思うし、生きていく上で良い子で
いなければと感覚的に知っているのでしょう。
育生の母さんも七生の義理の母さんもとても強い人だなあと
思います。
大人の私からみたら、子ども達は親たちの生き方に振り回されて
いるなあって感じです。それでなければ物語にならないですけど…。
そうして健気に人生の正解を探しているんだと感じてしまいます。

 いつでも家族は楽じゃ無いって、私でも実感しています。
それでもそこをベースに生きていくしかないのですね。








サマータイム

2015-08-06 16:40:49 | 児童書
 佐藤多佳子さんというと「一瞬の風になれ」が2007年に本屋大賞を
受賞して、そのころの話題作でしたが「サマータイム」はデビュー作とのこと。
今回、図書室にいれた文庫本の一冊で、実にこの暑さにぴったりと
読みました。

 暑い昼下がりにジャズのサマータイムを流しながら読むのに
なかなか良い一冊でした。
佳奈と一つ違いの弟進、進が出会った広一、三人の夏の出会いから
それぞれの思春期に交錯していく出来事。
佳奈も進も広一も「ああ、こんな子がいて、こんな青春時代が
あったな。」と思わせる面々でした。

 甘酸っぱいような、苦いような夏の思い出。
いつまでも消えること無い永遠の場面。
うちの子ども達にもこんなシーンを抱えた人生を送ってほしいと
思いますがどうでしょう?
今年も平々凡々と夏を過ごしてしまっているみたいで
半ば気の毒です。
まだ夏は続く、何かと誰かと出会えよ!






東京・学校図書館スタンプラリー2015に参加

2015-08-04 20:31:12 | 本とのいろいろ
 他校の司書仲間に「高校の学校図書館スタンプラリーをやっているよ!」
と誘われて、暑い中、都立東大和高校・都立東大和南高校・都立上水高校の
三校にお邪魔してきました。
 このうちの一校は私の母校。でも図書室に入り浸るような学生では無くて
あの頃は敷居の高い部屋だったような気がします。

 わくわくしながら図書室に入ると、どの学校でも別置でいろいろなコーナーが
出来ていて、どの生徒さんが来ても楽しめるように工夫しているのが
分かりました。本棚の余裕があるところにはぬいぐるみが置いてあったり
様々な新聞の書評や作家のコメントなども切り抜いて、本と共に添えてあったりして
昔とは違うなあと思いました。
 一方、長い年月をかけて重厚な辞典や事典、全集などどの学校も沢山整えられていて
さすが高校の図書館と感心しました。

 いつまでもゆっくり見ていたいと思ったら、最後の学校に到着したのが
遅くなってしまって、駆け足の見学となったのが残念でした。
二校目の学校では持っていた本にブックカバーをしていただいたり
同行した友だちは四校コンプリートで後日、消しゴムスタンプが送られてくるそうです!
私もあと一校。なんとかどちらかに伺いたいものです。


〈しおりを頂いたり、小中学生におすすめの本の小冊子も頂きました。参考にしたいですね〉


〈都立東大和南公園内旧日立航空機(株)変電所。戦時中、米軍の大規模な攻撃による機銃掃射や
爆弾の破片によってできた無数の穴が残っています。貴重な建造物ですね。〉