■詳細
出版社:群像社
訳者:中沢敦夫
発行年月:1989年11月
価格:1730円
ジャンル:ロシアSF
■感想
ストルガツキイ兄弟の本を読んだのは初めて。
この本はなかなか難しい本らしい、ということを読み始めてから知ったのだけど、そのときにはもう手遅れだった。それを知っていれば、別の作品からストルガツキイの世界に入ったんだけどなあ。まあ、いいや。
『みにくい白鳥』は新人類と旧人類がテーマのお話。
――雨ばかり降っているとある町、そこには癩病院があった。
癩病院に収容されているのは、〈濡れ男〉と呼ばれる謎の遺伝病患者たち。彼らは黒い服を着、顔に黒い包帯をまいたちょっと不気味な存在だ。
で、どうやらこの〈濡れ男〉、町の子供たちになにかよからぬことを吹きこんでいるらしい。だから、大人をバカに仕切った態度の、賢くて〈早熟〉な子供たちが数を増しているのはきっとそのせいなのだ。
いったい〈濡れ男〉は、子供たちを癩病院にあつめて何をおっぱじめるつもりなんだろう?
作家のヴィクトルはひょんなことから〈濡れ男〉たちをめぐる謎に首を突っ込んでしまうのだけど――。
この作品の素晴らしいところは、〈濡れ男〉たちの正体や新世界の行く末などについて、作中に少しの示唆も見当たらないところ。
これは物語としてはものたりなく感じるかもしれないけれど、SFとしてみれば100パーセント正しい書き方だと思う。
それは、ある方程式において、〈解なし〉という拍子抜けな解が明確に成り立つのと、たぶん同じことだろうね。
だから個人的には、新人類と旧人類、理性と本能という図式では、必ずしもこの小説を読まなかった。
むしろ、知性の上昇というテーマが底流にあって、それが副次的な結果として、人間の理性的な側面と本能的な側面を表面化させた、という感じで読んだわけ。
読み方間違ってるかな? まあ、いいや。
■満足度
(4)
出版社:群像社
訳者:中沢敦夫
発行年月:1989年11月
価格:1730円
ジャンル:ロシアSF
■感想
ストルガツキイ兄弟の本を読んだのは初めて。
この本はなかなか難しい本らしい、ということを読み始めてから知ったのだけど、そのときにはもう手遅れだった。それを知っていれば、別の作品からストルガツキイの世界に入ったんだけどなあ。まあ、いいや。
『みにくい白鳥』は新人類と旧人類がテーマのお話。
――雨ばかり降っているとある町、そこには癩病院があった。
癩病院に収容されているのは、〈濡れ男〉と呼ばれる謎の遺伝病患者たち。彼らは黒い服を着、顔に黒い包帯をまいたちょっと不気味な存在だ。
で、どうやらこの〈濡れ男〉、町の子供たちになにかよからぬことを吹きこんでいるらしい。だから、大人をバカに仕切った態度の、賢くて〈早熟〉な子供たちが数を増しているのはきっとそのせいなのだ。
いったい〈濡れ男〉は、子供たちを癩病院にあつめて何をおっぱじめるつもりなんだろう?
作家のヴィクトルはひょんなことから〈濡れ男〉たちをめぐる謎に首を突っ込んでしまうのだけど――。
この作品の素晴らしいところは、〈濡れ男〉たちの正体や新世界の行く末などについて、作中に少しの示唆も見当たらないところ。
これは物語としてはものたりなく感じるかもしれないけれど、SFとしてみれば100パーセント正しい書き方だと思う。
それは、ある方程式において、〈解なし〉という拍子抜けな解が明確に成り立つのと、たぶん同じことだろうね。
だから個人的には、新人類と旧人類、理性と本能という図式では、必ずしもこの小説を読まなかった。
むしろ、知性の上昇というテーマが底流にあって、それが副次的な結果として、人間の理性的な側面と本能的な側面を表面化させた、という感じで読んだわけ。
読み方間違ってるかな? まあ、いいや。
■満足度
(4)
その人なりの読みかたがあって正解なのです。
結果的に、自分の主張を強調するようなことになってしまったけれど、あれも自分の感じたことをわかってもらいたかったからなんです。
だから、同じようなことを何度も書いてしまって、反省してます。
わあ、こんなとこで反省してどうする。
人に伝えるって難しい。
とにもかくにも、マヨネさまが、面白いと感じてくださってよかったです。
マヨネさんの仰るとおり、「解なし」の作品ですからいろんな読み方ができる作品だと思います。だからこそ、くろにゃんこさんの所のブログであんなに盛り上がったわけで…
ストルガツキイ祭、参加ですか?歓迎!
だから、くろにゃんこさんのブログをみて、なるほど~、と思ったんです。
くろにゃんこさんやSENさんがコメントしていたように、ヴィクトルを中間的な立場の人間として考えることもできますよね。
レムを読んでからというもの、どうも……
「コンタクト、こうあるべし! 知性、こうあるべし!」って思い込みが出来上がってしまいました。
いやいやいや。
難しい本、好きで読んでるわけじゃないんですけどね。
なぜか最近、難しい本によくあたります。謎です。
ストルガツキイはいろいろ読んでみたいと思うのですが、次は『滅びの都』を読んでみたいです。
みなさんの記事をみて、面白そうだと思いました。
「ソラリス」だけ読んでいるとあんまり感じないんだけど、他の著作とあわせると、その主張が明確になってインプリンティングされてしまう。
コンタクト3部作ある中で、2作しか読んでない私なのに、かなりレム入ってます。
ああっ、「砂漠の惑星」が読みたい。
まあね、アメリカSF界にマジ喧嘩売った人だからね。
個性もキョーレツなら主張も筋金入りで当然か。
『砂漠の惑星』は持ってるんですよね。
ブックオフで100円で売ってたのを、見逃さずに買ったんですよ。『エデン』が手に入らないので、まだ読んでないのですが……。さきに『砂漠の惑星』を読んじゃおうかな。
私は『ソラリス』のみならず、『完全な真空』と『虚数』でもインプリンティングされてますね。
きっと、著作を読めば読むほど効き目が出てくるんですね。
なんたって宇宙巡洋艦が出てくる。
宇宙巡洋艦という言葉が歴史上はじめて登場したのはこの作品かも。
なんせ軍艦のお話なので女性は一人も出てこないし、むさくるしさもレム作品中最高。さすがの飯田規和氏の美文による名訳もこのむさくるしさには敵わない。
でも私はソラリスと同じくらい大好きな作品です。お二人が読まれるのをお待ちしています!
「エデン」はレムの全作品中(邦訳のある中で)もっとも地味で、コンタクト否定というコンセプトの習作のような作品です。だから後回しでヨシ!「砂漠の惑星」を読みましょう!
アマゾンの評をみても、なかなか面白そうな感じですし。
>なんせ軍艦のお話なので女性は一人も出てこないし、むさくるしさもレム作品中最高。さすがの飯田規和氏の美文による名訳もこのむさくるしさには敵わない。
……。
それはまた、ある意味すごそうですね。