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『いいかよく聞け、五郎左よ!』 -もう一つの信長公記-

『信長公記』と『源平盛衰記』の関連は?信長の忠臣“丹羽五郎左衛門長秀”と京童代表“細川藤孝”の働きは?

因縁と先例3【天道恐敷候なり!】

2007-08-19 18:50:05 | 因縁と先例
昔の書物には、その当時までによく読まれていた

書物の名文句を使って、読者にどの原典から引用

したかわかるようにしてあるものが多くあります。

《例:天道恐敷候なり》

たとえば信長公記に出てくる文言で

 「天道恐敷候なり」
 (天の決めた運命は恐れ多いものである)

がありますが、これは南北朝頃に成立したとされる

源平盛衰記では

 「冥慮測り難し」
 (冥界の思し召しは推測するのも恐れ多い)

とあります。さらにさかのぼると、中国漢の時代に

成立したとされる史記-伯夷列伝では、

 「天道是か非か」
 (天の決めることには情け容赦ないのだろうか?
  推測するのも恐れ多い)

とあり、信長公記が成立した江戸時代前期に、少なく

とも武家の学問書として両書が読まれていたならば、

皆「はは~!」と気づく仕組みになっています。


信長公記の最後で織田信長が本能寺に明智光秀から

襲われるとき、「是非に及ばず」とつぶやきますが、

ふつうこれは「いたしかたない」と訳されています

が、上記の先例を考えるなら、

「天の決めた裁きならば論じるのも恐れ多い」

という訳になるかもしれません。

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因縁と先例2【建物を建てる場所-大阪城・将門の首塚】

2007-08-14 00:06:14 | 因縁と先例
建物を建てる場所について、実は「そこがたまたま

空いていたから新しい建物を建てた」ということは

ありません。必ずその場所が選ばれた理由・因縁と

いうものがあるわけです。

1)例えば寺院・神社では、『縁起』という形で何故

ここにこの寺社が建立されたかを必ず説明しています。

2)城でいえば、大坂城がわかりやすいと思います。

これはもともと1496年9月本願寺蓮如が摂津国大坂

に建築開始した山城本願寺の御坊(のちの石山本願寺)

のあった場所です。1580年長年にわたる織田方との

交戦を終えて時の門跡本願寺顕如光佐は退城します

が、何らかの原因ですぐに焼け落ちてしまいます。

その場所に豊臣秀吉が大坂城を築城しますが、没後

に起きた大阪冬の陣・夏の陣後に徳川家に破却され

てしまい、現在の城郭は徳川二代将軍秀忠が改修した

ものです。「最新の権力者が、それまでの権力者が

造った建物を破却してそこに新築する」という構図

です。

3)現代の高層ビルでも古い因縁に影響されている

場合があります。例えば千代田区大手町の三井物産

別館とランディック大手町ビルの間という都心の超

一等地に7~8m角に空いた土地がありますが、

そこは『将門の首塚』。実際にビルの関係者に聞いた

ところ、「建築時にお払いして破却しようとしたが、

工事現場で事故が多すぎ元に戻して工事再開した」

とのことでした。

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因縁と先例1【戦国時代と源平期と古代と】

2007-07-30 17:31:23 | 因縁と先例
 古来から私たちの先達は、因縁をよく知り先例を研究

して新しい物事への判断基準としていたようです。


1)織田信長が仮病を使い舎弟信行を清洲城へおびき

 よせ、成敗した件

 →これはあきらかに日本書紀を意識しており、壬申の

  乱のとき天智帝が病床から弟(大海人皇子=後の

  天武帝)を呼び、殺害されると思った大海人皇子が

  逃走したエピソードを思い起こさせます。信行もこの

  エピソードは知っていたろうに・・・

2)信長公記の首巻の不自然な位置に『名刀あざ丸』の

 エピソードがある件

 →これはおそらく、当時よく読まれていた『源平盛衰記』

  が『剣の巻』で始まっていることを意識しており、当時

  の読者が「ははあ、これはあの本だな」とわかるように

  太田牛一が仕組んだものと思われます。


信長公記と源平盛衰記の、構成上の類似点はかなり多い

のですが、それはいずれまた。

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