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新・シュミのハバ

ついに、定期小説の更新スタート!!!
いつまで、続くのやら・・・。

【文庫】 東野圭吾「秘密」について

2006-01-25 03:23:34 | 
予感めいたものなどなにひとつなかった・・・

そんな始まりの東野圭吾「秘密」を今回は紹介したいと思う。

今や直木賞作家としてその地位を不動のものとした東野圭吾だが、そんな彼の作品の中で一番の傑作がこの作品だ。

バスの転落事故・・・
娘に乗り移った妻の魂・・・

一見、ありきたりの物語のような展開を見せるが、そのラストには涙が止まらない・・・

まず、この作品で一番重要になるのが、この作品の題名「秘密」の正体である。

この秘密の真の意味を知ったとき、言い切れぬ感動が襲い掛かって来ることは間違いない。

予感めいたものなどなにひとつなかった・・・
そんな言葉で表現された、主人公のごく普通の幸せな生活は、冒頭のバスの転落事故で豹変する。

その事故で彼の妻は、娘を助けた代わりに帰らぬ人となってしまう。
しかし、娘が意識を取り戻したとき、彼女の体に宿っていたのは妻の直子だった・・・様

々な愛が交錯し、辿りつくエンディングの「愛」の形。

どこまでも深く、そして切ない・・・リアルに描かれる感情の裏に秘められた愛の姿に、時に傷つき、時に支えられ、時に涙する。

数奇な運命を辿っていく一人の男の元に訪れた奇跡は、彼をどこに導いていくのだろう。

それは天国でもあり、地獄でもあった。

不可解でファンタジックな現象の中に埋まる”リアル”にはまること間違いなし!

一体何だと言うのか?どうすればこんなに感動的な展開を生み出すことができると言うのか・・・

ただただ唖然としてしまった。

それは巧みに組み立てられたストーリー展開にも、主人公の揺れ動く心理状況であったり、何かに縋り付こうとする人間の弱さであったり、すごく大切な家族の形であったり、限りない愛で包まれた「秘密」の形であったり・・・

とにかくとてつもなく美しいものであった。

迷わずにこの本だけは読んでみて欲しい、途中で読むのをやめるなんてことなく最後までじっくりと。

必ずラストには感動が待っているはずだ。

鮮やかなラスト。
狂おしいまでの犠牲愛
奇跡が生んだ、最後の「山下公園」でのデート
くまのぬいぐるみ形見の古びた腕時計
7053=ナオコサン

すべてが繋がった時、秘密の扉が開くだろう。

そして、運命は、思いがけない結末に二人を導いて行く…。


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