新・シュミのハバ

ついに、定期小説の更新スタート!!!
いつまで、続くのやら・・・。

【邦楽】ZAZEN BOYSのアルバムについて

2006-01-28 22:51:29 | 音楽
ZAZEN BOYSというバンドを知っているだろうか?

ZAZEN BOYSとは、元ナンバーガールの天才ボーカリスト「向井秀徳」を中心とした魂のロック・バンドである。

向井秀徳が天才と呼ばれる所以・・・
それは彼のサウンドが唯一無二であり、かなりの異才を放っているからである。

重く冴えるアタックビート。
狂ったハガネ振動に乗せて覚醒されたZAZENスタイル。

脅威すら感じる熟成ロックは一度聴いたら耳から離れない。

・・・どうしてこんなサウンドを生み出せるというのか・・・

キレる寸前のように張り詰めた轟々と鳴り響くギター、そして切なくとも激しい向井文学の世界。

どれをとっても凄過ぎる。

一体、彼のどこにそんな才能が隠されていると言うのか。
丸メガネに半そでのシャツ。
・・・どこから見ても落語家か真面目な学生。

そんな、失礼だがまさかロックミュージシャンといえない彼から放たれるのは、正反対のパンクサウンドである。

叫ぶ、吼える、爪弾く、騒ぐ・・・

一気に豹変する彼の姿に、ギャップを感じる前にとけこんでしまう。

一気に観客を引き付けてしまう彼の力には驚きである。

繰り返される諸行無常、蘇える性的衝動・・・

彼の音楽のテーマ性は様々な楽曲のフレーズに隠されている。どこまでもがむしゃらで、そしてクレイジーである。

まずは、アルバム「ZAZEN BOYS」を聴いて、向井秀徳の恐るべき才能に触れてみて欲しい。

フェンダー社長に捧げたボムサウンド「フェンダーテレキャスター」から始まり、硬直したぎりぎりサウンド「MABOROSHI IN MY BLOOD」や、「自問自答」など、どれを取ってもすばらしいの一事。

一筋縄では語れない爆音に、発狂寸前だ。


堕落した時代に投げかける、世紀末のファンキーサウンド、ZAZENBEATSに狂いまわれ!

【邦画】カナリアについて

2006-01-28 22:25:13 | 映画
今回紹介するのは、『黄泉がえり』の塩田明彦監督が手掛ける社会派ドラマ。
95年に日本中を震撼させた「地下鉄サリン事件」をモチーフに、カルト教団崩壊後に孤児となった少年たちの生きる姿を見据えた感動作『カナリア』を紹介する。

この映画の見所は何といってもリアルな演技で観客を魅了した二人の子役の演技である。

まずは、宗教団体での教えを捨てきれず、感情が揺れ動く少年の役を演じた石田法嗣については、数少ないセリフの中に様々な感情を織り交ぜ、大変すばらしい演技を見せていた。
ドラマ「火垂るの墓」での演技も見ものだったが、この映画での熱演もすばらしかった。

そして、その少年を助け、共に旅をする谷村美月は、謎めいた力強い少女の役を新人とは思えないほど巧みにこなしていた。

そんな子役二人のすばらしい演技のおかげで、このようなリアルで緊張感のある映画が誕生したわけだが、すごいのは役者陣だけではない。

カナリアの監督である塩田明彦監督の世界観は決して誰にも真似できない。

今回の映画は「黄泉がえり」というより、「害虫」に近いものがある。

映画「害虫」とは、傷つき孤独を背負った少女の不幸な学生生活を描いた秀作である。
役者、宮崎あおいの才能を惜しみなく引き出し、彼女をカンヌ女優に仕立て上げた監督の力はものすごいものがあるだろう。

そんな監督が今回挑んだのは、「オウム真理教」という重く難しいテーマである。

そんな強い印象のテーマにも負けない映像美には驚かされた。

インパクト重視に走ってしまいがちな映画ではあるが、役者陣の演技の技巧さのおかげで、インパクトだけではなくっかなり深い映画に出来上がっている。

エンディングのZAZEN BOYSの「自問自答」も良い味を出していた。

監督は「この胸いっぱいの愛を」や「月光の囁き」などの名作も残している。

この機会にぜひ観ていただきたい。


衝撃のラストに貴方はどんな印象を持つだろうか。

【文庫】 東野圭吾「秘密」について

2006-01-25 03:23:34 | 
予感めいたものなどなにひとつなかった・・・

そんな始まりの東野圭吾「秘密」を今回は紹介したいと思う。

今や直木賞作家としてその地位を不動のものとした東野圭吾だが、そんな彼の作品の中で一番の傑作がこの作品だ。

バスの転落事故・・・
娘に乗り移った妻の魂・・・

一見、ありきたりの物語のような展開を見せるが、そのラストには涙が止まらない・・・

まず、この作品で一番重要になるのが、この作品の題名「秘密」の正体である。

この秘密の真の意味を知ったとき、言い切れぬ感動が襲い掛かって来ることは間違いない。

予感めいたものなどなにひとつなかった・・・
そんな言葉で表現された、主人公のごく普通の幸せな生活は、冒頭のバスの転落事故で豹変する。

その事故で彼の妻は、娘を助けた代わりに帰らぬ人となってしまう。
しかし、娘が意識を取り戻したとき、彼女の体に宿っていたのは妻の直子だった・・・様

々な愛が交錯し、辿りつくエンディングの「愛」の形。

どこまでも深く、そして切ない・・・リアルに描かれる感情の裏に秘められた愛の姿に、時に傷つき、時に支えられ、時に涙する。

数奇な運命を辿っていく一人の男の元に訪れた奇跡は、彼をどこに導いていくのだろう。

それは天国でもあり、地獄でもあった。

不可解でファンタジックな現象の中に埋まる”リアル”にはまること間違いなし!

一体何だと言うのか?どうすればこんなに感動的な展開を生み出すことができると言うのか・・・

ただただ唖然としてしまった。

それは巧みに組み立てられたストーリー展開にも、主人公の揺れ動く心理状況であったり、何かに縋り付こうとする人間の弱さであったり、すごく大切な家族の形であったり、限りない愛で包まれた「秘密」の形であったり・・・

とにかくとてつもなく美しいものであった。

迷わずにこの本だけは読んでみて欲しい、途中で読むのをやめるなんてことなく最後までじっくりと。

必ずラストには感動が待っているはずだ。

鮮やかなラスト。
狂おしいまでの犠牲愛
奇跡が生んだ、最後の「山下公園」でのデート
くまのぬいぐるみ形見の古びた腕時計
7053=ナオコサン

すべてが繋がった時、秘密の扉が開くだろう。

そして、運命は、思いがけない結末に二人を導いて行く…。