今回紹介するのは、今年直木賞作家となった東野圭吾の「白夜行」である。
東野圭吾は本格的ミステリー作家として数々の名作を世に送り出している。
初期の作品は「放課後」「卒業」「眠りの森」と最近の作品の作風とはだいぶ違う作品が多かった。
特に「白馬山荘殺人事件」「学生街の殺人」「11文字の殺人」などは本格的なサスペンスもので、凝った推理小説といった印象であった。
しかし「変身」「分身」「秘密」など、推理小説というよりは感動モノといった作品も彼の作品の中には多い。
彼の心理描写は凄い。
人間の奥にある感情を驚くほど忠実に描き出すその技術は、ただの”ミステリー作家”という肩書きだけでは済まされない。
人間のドロドロした部分、優しい部分、緻密に隠された部分、人間の中にある様々な部分を意図も簡単に映し出してしまう。
それが東野圭吾の小説である。そして何より読みやすいのである。
ストーリー展開の巧みさと、キャラクター設定の分かりやすさ。
局部に渡ってまで丁寧に描かれた背景描写と心理描写。
そのすべてが卓越している。
そして、その東野圭吾のすべての魅力が詰まった作品がこの「白夜行」である。
この作品は東野圭吾作品が行き着いた、一つ目の臨界点と行っていいだろう。
人間の奥に潜む暗闇の部分とその恐怖。
太陽の下で生きていけない悲しい運命を背負った二人に降り注ぐ、恐るべき事件の数々。
全体を通して流れる人間の弱みと恐ろしさに、きっと誰もが驚愕してしまうに違いない。
しかし、この作品は暗闇の部分だけを描いた作品ではない。
もがきながら必死で生きようとする健気な強さと、心から感動できる愛に包まれているのだ。
この捻くれた愛の形が見えてきたとき、そこには真の感動が待っている。
白夜行の並外れたおもしろさは、話の構成と先の読めない展開にある。
そして最後に点線が実線になったとき、読者はすべてを知ることになるのだ。
白夜の中でしか生きられない運命に引き裂かれた真実の愛に・・・
ストーリーは主人公二人の周りの人間の姿によってのみ描かれていく。
つまり、中心となる二人の心理的描写は一つもない、ということだ。
二人の周りに襲い掛かる、残酷な事件を通して二人の心情は語られずともあらわになっていく。
深い悲しみと共に平行線を辿っていく深い愛。
その二つは決して交わらない。
長い話だがスムーズに読めるところが凄い!
ところで「白夜行」は、一月からドラマ化され、話題となっている。
ここで注意して欲しいのが、絶対小説を読んでから、ドラマを見てほしいということだ。
小説を読まずにドラマを見てしまうと、小説のおもしろさが半減してしまう。
その理由はドラマの一話が、小説の大きなネタバレから始まってしまうからだ。
だからといってドラマがおもしろくないといっているのではない。
小説の世界観にはなかなか近づけてないかもしれないが、構成も台詞回しも役者の演技もなかなかうまく、高いレベルのドラマとなっている。
しかし、やはり小説と比べてしまうと劣ってしまう部分が多い。
そんなこんなで、まずは小説を読んでみて欲しい。
ミステリー界の傑作、それが「白夜行」である。
東野圭吾は本格的ミステリー作家として数々の名作を世に送り出している。
初期の作品は「放課後」「卒業」「眠りの森」と最近の作品の作風とはだいぶ違う作品が多かった。
特に「白馬山荘殺人事件」「学生街の殺人」「11文字の殺人」などは本格的なサスペンスもので、凝った推理小説といった印象であった。
しかし「変身」「分身」「秘密」など、推理小説というよりは感動モノといった作品も彼の作品の中には多い。
彼の心理描写は凄い。
人間の奥にある感情を驚くほど忠実に描き出すその技術は、ただの”ミステリー作家”という肩書きだけでは済まされない。
人間のドロドロした部分、優しい部分、緻密に隠された部分、人間の中にある様々な部分を意図も簡単に映し出してしまう。
それが東野圭吾の小説である。そして何より読みやすいのである。
ストーリー展開の巧みさと、キャラクター設定の分かりやすさ。
局部に渡ってまで丁寧に描かれた背景描写と心理描写。
そのすべてが卓越している。
そして、その東野圭吾のすべての魅力が詰まった作品がこの「白夜行」である。
この作品は東野圭吾作品が行き着いた、一つ目の臨界点と行っていいだろう。
人間の奥に潜む暗闇の部分とその恐怖。
太陽の下で生きていけない悲しい運命を背負った二人に降り注ぐ、恐るべき事件の数々。
全体を通して流れる人間の弱みと恐ろしさに、きっと誰もが驚愕してしまうに違いない。
しかし、この作品は暗闇の部分だけを描いた作品ではない。
もがきながら必死で生きようとする健気な強さと、心から感動できる愛に包まれているのだ。
この捻くれた愛の形が見えてきたとき、そこには真の感動が待っている。
白夜行の並外れたおもしろさは、話の構成と先の読めない展開にある。
そして最後に点線が実線になったとき、読者はすべてを知ることになるのだ。
白夜の中でしか生きられない運命に引き裂かれた真実の愛に・・・
ストーリーは主人公二人の周りの人間の姿によってのみ描かれていく。
つまり、中心となる二人の心理的描写は一つもない、ということだ。
二人の周りに襲い掛かる、残酷な事件を通して二人の心情は語られずともあらわになっていく。
深い悲しみと共に平行線を辿っていく深い愛。
その二つは決して交わらない。
長い話だがスムーズに読めるところが凄い!
ところで「白夜行」は、一月からドラマ化され、話題となっている。
ここで注意して欲しいのが、絶対小説を読んでから、ドラマを見てほしいということだ。
小説を読まずにドラマを見てしまうと、小説のおもしろさが半減してしまう。
その理由はドラマの一話が、小説の大きなネタバレから始まってしまうからだ。
だからといってドラマがおもしろくないといっているのではない。
小説の世界観にはなかなか近づけてないかもしれないが、構成も台詞回しも役者の演技もなかなかうまく、高いレベルのドラマとなっている。
しかし、やはり小説と比べてしまうと劣ってしまう部分が多い。
そんなこんなで、まずは小説を読んでみて欲しい。
ミステリー界の傑作、それが「白夜行」である。