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新・シュミのハバ

ついに、定期小説の更新スタート!!!
いつまで、続くのやら・・・。

【邦画】「空中庭園」について

2006-06-04 01:12:31 | 映画
今回紹介するのは、角田光代の同名小説を小泉今日子主演で映画化した映画「空中庭園」である。

本当の"リアル"とはこういうこと。
ドロドロしていて誰にも理解されない、そんな現実のリアルから目をそらさないこと、それがどれだけ難しいことなのか・・・

これほど小説を超えた映画は珍しい。
しかも、小説がかなりおもしろい上で、だ。

「家族」とは一体何なのか、路頭に迷ってしまった行き場のない小説の世界観に、恐ろしいほど生々しい答えを与えたのがこの映画だ。

愛する人が傍に居ること、それはどれほど幸せなことなのか。
家族とはそんな幸せが集まる場所である、べきである。
だからこそ打ち明けられない秘密もあるし、教えられない過去もある。
幸せとはそういうものである。

だが、その幸せが一瞬にして崩れ去ってしまったらどうなるのだろう。
その瞬間、家族は真の家族の姿を保つことができるのだろうか。

京橋家のルールは、何事も包み隠さないこと。
だが、あるとき娘のマナは、自分が「野猿」という安物のラブホテルで仕込まれたことを知りショックを受け、そのラブホテルの建設に興味を持って不動産屋に案内を頼んだ息子のコウは、その案内人の女性が父親の愛人であることを知る。
幸せな家族のように見える京橋家・・・しかしマナは学校をサボって援交をしていたり、父親は愛人が二人いたり、と裏ではドロドロ。
そして、母親である絵里子にも、家族に言えない秘密が一つだけあった・・・

幸せな家族とは、いつも笑顔が溢れている家族というのは間違いである。
本当に幸せな家族は、どんなことがあってもそれが心の支えになってくれるもの、ただそれだけでいい。
笑顔がたとえ偽りであっても・・・

この映画が語りかけることは、「家族」の真の姿、そしてそれを最後まで守り抜くことの大切さである。
大切なものを守ろうとすればするほど、思い込みが心を縛りつけ、そして思いつめ苦しむ。
そしてギリギリの精神状態の中で闘いながら家族を守り続けようとしている自分に疲れ果ててしまう。
そんな苦しさから救ってくれるのは、家族だけである。
不器用で大切なことを伝えられないものだけど、いつも傍にあるもの、それこそ。

この映画は、なんといっても小泉今日子の熱演がなければ成り立っていなかった。
壊れかけ、そして壊れてしまった心を振り乱すかのような危ない演技から、何かを必死で抱え続けている主婦の姿を、完璧と言ってもいい演技で表現していた。
「家族を守ってよ!」っと必死で叫ぶラストシーンは目に焼きついて離れなかった。
また、これまた危ない演技を平然とした顔つきで演じきったマナ役の「鈴木杏」や情けない父親役にはまっていた「板尾創路」、憎たらしさ100%のリアルな演技を見せたベテラン女優「大楠道代」も凄い。
こうして名キャストによるリアルファミリー映画が生まれたわけである。

そして何より忘れてはならないのが、特別な映像表現で”映画”という舞台を驚きと感動で埋め尽くした豊田利晃には拍手を贈りたい。
小説が伝えたいことを本当に良く理解している監督だな、としみじみと思った映像の数々であった。
インパクトも十分だし、何より人間を描くのがうまい。
残念な事件もあったが、この監督には早く復帰してもらいたい。

現代社会に鋭いメスを入れた衝撃映画・・・と大袈裟なことを言うつもりはないが、何とも奥の深い映画である。
そのリアルをその目で確かめて欲しい。



【邦画】「大停電の夜に」について

2006-06-02 00:36:34 | 映画
今回紹介するのは、2005年12月に劇場公開された映画「大停電の夜に」である。


温かくて美しい、そんな言葉がこの映画にはよく似合う。
まず、僕らがクリスマスの夜に東京が停電になってしまった、と言って思い浮かべるのは、パニックになって大騒ぎしている人々の姿であろう。

しかし、この映画の発想は、停電になったことで普段慌ただしく動いている都会の生活に一種の安らぎが与えられ、みんな慌てることなくゆっくりと停電のクリスマスを過ごすだろう、というものだ。

いつもと違うクリスマスだから、特別な想いを大切な人に打ち上げたり、優しい気持ちになれたりするのでは…というもの。

この発想だけでも、なんてセンスのいい映画なんだ、と思えるだろう。
まさに慌ただしく過ごす現代人が、ホッと疲れを癒すのにピッタリの映画なのである。

内容は、様々なショートストーリーによって織り成されるが、短篇集ではない。

クリスマスの夜に、複雑な想いを抱いた人達によるちょっといい話が繰り広げられる。
ずっと言えなかった隠し事を打ち明けたり、自分の本当の思いをつぶやいたり。
停電の夜だからこそ言える大切な言葉が静かでロマンチックな舞台の上に溢れる。

それは時に町外れの小さなロウソク屋でだったり、星空の下でだったり、思い出の場所でだったり…

停電の夜という設定を生かして、綺麗でロマンチックなロウソク屋の風景や、明るかったら見えない満天の星空を惜し気もなく映し出している。


そして抜群の設定上で、抜群の役者陣が映画を描き出す。停電の夜が憎らしいほど似合う男「豊川悦司」や、演技派ベテラン俳優「田口トモロヲ」、また渋い演技が映画にマッチした「宇津井健」まさに、オシャレな映画を彩るためのドリームキャストが集結しているのだ。

他にも、熱演が光っていた「吉川晃司」や、緊迫感溢れる台詞回しが上手だった「阿部力」と「井川遥」、ロウソク屋の素朴さが似合う「田畑智子」など、脇を固める役者も凄い。

急激な展開もないし、派手な演出もない。
しかし、芸術性溢れる雰囲気と、切ないセリフにすぐに入り込める作品である。

たまには、こんな映画でもゆっくり観てはいかがだろうか。 

【洋画】「SAW2」について

2006-05-30 01:20:13 | 映画
今回紹介するのは、シチュエーションスリラー映画「SAW2」である。

これは事件である。

前作の「SAW」は結末に衝撃を受け、かなり楽しめた映画であったが、それに加えショッキングな映像も多く含まれていて、その上マイナーな映画だったので、あえて紹介しなかったが、今回のSAW2は知名度も上がり、有名になったのでここに紹介しておく。

知名度が上がったからといって、ショッキングな描写が少なくなったワケではない。

前作に増して、ショッキング度は倍増したといっても過言ではない。
殺人ゲームというテーマのもと、部屋に閉じ込められた人間たちの極限状態を描くという、前作の要素はそのままに。

今回は、犯人がバレている(前作のラストで判明した)という設定の下で、ゲームに参加させるために連れ去られた息子、の父親(警察官)と犯人であるジグゾウの駆け引きが大きなポイントとなってくる。

また、時間内にゲームに勝たなければ死ぬというサバイバルゲームも、参加人数が前作の二人から、8人と一気に増えた。

衝撃シーンに目を奪われていると、必ず最後の予期せぬ大どんでん返しにしてやられるであろう。

衝撃的な結末、というキャッチフレーズがここまでぴったりな映画はなかなかない。
「あっ、そういうことか!」とスッキリしてしまう結末には本当に驚いてしまう。

と、まあ謎解きも結末も抜群におもしろいのだが、残虐シーンはけっこう酷い。
ショッキングなシーンを観ていられないという人には、かなりキツめの映画であることは間違いない。

ただし、2作目でここまでおもしろい映画に仕上げられていることは高く評価したい。
いろいろな所に張り巡らされているトリックのうまさも、楽しめる。

一歩進んだスリラーをお探しの方は、迷わずSAWを見て欲しい。

【邦画】「青い車」について

2006-05-30 00:58:46 | 映画
今回紹介するのは、ARATA主演の映画「青い車」についてだ。

心の傷や心と心の距離は、様々な演出によって表現される。
この映画では、そんな繊細な表現を全体にかもし出される雰囲気によって、大切に描かれている。

まるで、薄いガラス板のように壊れやすい人間の弱い部分を、90分という短い時間のなかで巧みに映像化されていることには感激してしまう。

といっても、誰にでも楽しめるような軽い映画ではないので注意。
ただ、ボーッと見ていると、何が何だか分からないまますぐに終わってしまうに違いない。

登場人物のセリフに隠された真の想いを受け止めつつ、じっくり見たい映画である。

じっくり見ることが出来るほど、出演役者の演技はレベルの高いものである。

まず、「ピンポン」での演技が有名なARATAは、無口で掴みきれないリチオという人物を、静かでも感情のこもった演技で演じきっていた。
また、演技派女優の宮崎あおい、麻生久美子の素朴で切ない演技も見ものである。

なかなか深くて掴みきれない映画のため、あまり映画を見ない人には薦められないが、セカチューのようなスタンダードな恋愛映画に飽きてしまった人にはぜひ見て欲しい映画である。

ちなみに宮崎あおい繋がりで映画「ギミーへブン」のDVDがついに発売されたこともお知らせしておく。
7月にはこちらも宮崎あおい出演の映画「エリエリレマサバクタニ」のDVDも発売される。
こちらについては、また機会があれば紹介したい。

【邦画】「変身」について

2006-05-27 01:18:39 | 映画
今回紹介するのは、東野圭吾原作の映画「変身」についてだ。

玉木宏が主人公、蒼井優が主人公の彼女役といった今をときめく役者陣で製作された今作は、原作者東野圭吾も認める最上級のラブストーリーである。

ストーリーはこのブログ内で小説「変身」について書かしていただいているので、そちらを参考して頂きたい。

なんといっても高く評価したいのは、細かい部分までこだわって製作されているところである。

彼女との距離感をさりげなく表現する高度な技術と、それを見事に演じきっている役者陣には拍手を送りたい。
戻らない過去がどれだけ輝いていて、どれだけかけがえのないものだったのかを伝えるシーンでは、自然な演技の中で主人公を取り巻く情景や、台詞など、ぴったりっとマッチした美しい描写が印象的だった。

叫べども叫べども戻らない時間を、胸にストレートに突き刺さる台詞で訴えかけた蒼井優の演技は、一見の価値があるし、次第に凶暴になっていく玉木宏の切羽詰った演技も見ものであった。

やはり、最終的には演技派の役者陣に支えられた映画と言える作品である。
特に、最後の蒼井優と玉木宏の感動的なシーンは、芸術的でもあり、ストレートに涙腺を刺激する上質なものであった。

名作「変身」の映画化は、今までずっと待ち望んでいたものであったため、期待も大きかったが、見事に期待通りであったといえるだろう。
医学的な部分にも足を踏み込んだ作品であるが、堅い作品ではなく誰でも楽しめる映画だと思うので、ぜひ、たくさんの人に見ていただきたい。

【邦画】「LIMIT OF LOVE 海猿」について

2006-05-04 11:56:53 | 映画
今日は、この間試写会に行ってきた「LIMIT OF LOVE 海猿」について紹介したい。

海猿は、映画もドラマもおもしろかったので、完結編の「LIMIT OF LOVE 海猿」には、かなり期待していた。

結論から言うと、見終わった後、かなりの満足感があった。

今回のストーリーは、鹿児島沖で1万トン級の巨大フェリーが異常を起こすといった前代未聞の大事故が発生し、そこに全国の海上保安庁から救助チームが終結するというもの。

迫力満点のシーンの数々に、テンポのいいストーリー展開が重なり、だれる場面は一秒もなかった。

特に、伊藤英明が乗客を助けるために、階段を上がっていくシーンは、ハラハラさせられよくできたシーンであった。

また、ヒロイン(加藤あい)に向けての、伊藤英明の告白シーンは、ドラマなんかで観るよくあるものと違い、これまで見たこともないほど感動的で、ロマンチックであった。

テンポがいいので、映画全体が短くも感じたが、それだけ夢中にさせられたということだ。
「これこそ海猿の世界だ」と漫画の世界にも劣らない、すばらしい作品に仕上がったいた。

また、これはどうでもいい話なのだが、ちょくちょくかなりの脇役として登場するテレビレポーターの「荒川良々」が、個人的にはなかりツボであった。

彼は、映画「ロボコン」や「ジョゼと虎と魚たち」に出たときも、ドラマ「タイガー&ドラゴン」に出たときも、微妙におかしなキャラクターで独特の雰囲気をかもし出している。
今回も、一番感動的なシーンで2秒ほど出てきた荒川良々が、なぜかおもしろくて笑ってしまった。
周りの人が感動に包まれて泣いたりしている場面だったので、一人だけ笑っていたのは、かなり気まずかった。

そんなこんなで、ゴールデンウィークにはぜひ、「LIMIT OF LOVE 海猿」に足を運んでもらいたい。

※写真は「海猿part1」のものです。

【邦画】「この胸いっぱいの愛を」について

2006-05-04 01:56:08 | 映画
今日紹介するのは、塩田明彦監督作品「この胸いっぱいの愛を」である。

この作品は、「サマータイムマシンブルース」と合わせて、二大タイムトラベル傑作の一本と言っていいだろう。

「サマータイムマシンブルース」はタイムトラベルをコミカルに描いた作品であったが、こちらは切ない愛の物語である。

話は、1986年にタイムスリップしてしまった主人公が、難病で死んだ初恋の女性を助けるために手術を勧めるが・・・っといった感じ。

初恋の女性、まだ会ったことのない母親、人生のパートナー、優しかった隣人・・・
過去に戻った4人の人間が、昔、伝えられなかった気持ちを伝える。

人間の感情の描写を得意とする塩田監督ならではの作品である。

温かくて切ない、心の隙間に入り込んでくるようなストーリーは、なんだか心地よい。
そして、今を生きることの素晴らしさ、誰かに伝えてもらわなくちゃ分からない自分の存在価値。

この映画の中に映るすべての展開、登場人物の思いがリアルに伝わる不思議な感覚に、ここまでも引き込まれてしまうとは思わなかった。

人と人とのつながりが、ここまで尊く、すばらしいものだとは・・・

主人公を演じるのは、海猿で白熱の演技を見せた「伊藤英明」
ヒロイン役には、今人気沸騰中の「ミムラ」
その他にも、個性派の「宮藤官九郎」や「勝地涼」など、文句のつけようのないキャスト陣が脇を固める。

自然で親しみやすいキャストがあってこそ、良質なストーリーを楽しめるのだ。

「好きだからです 和美さんのことが昔も今も・・好きだからです」
抜群のタイミングでこの台詞。
この台詞があったからこそ、この映画は傑作と言えるのだと思う。

また、伊藤英明のつぶやき方のうまさといったら、誰もかなわないほどうまい。

で、細かいアナザーストーリー的展開も、短編集みたいで楽しめる。

そうして感動のラストは日本全国老若男女、必見である。

驚きの展開アリで、期待しないで観た人は衝撃を受けるだろう。

純愛ブームとか韓流ブームとか言われているが、まずは「この胸いっぱいの愛を」を観ろ!と言いたい。

気に入ったなら「黄泉がえり」と「カナリア」もぜひ。

とにかく「この胸いっぱいの愛を」は名作だ。


【邦画】サマータイムマシンブルースについて

2006-05-01 01:05:49 | 映画
今回紹介する映画は、本広克行監督、瑛太主演の映画「サマータイムマシンブルース」についてである。

この映画は文句なしで、青春タイムトラベル映画の最高傑作と言っていいと思う。

本広監督と言えば、「スペーストラベラーズ」「踊る大捜査線」「サトラレ」など、傑作揃いでセンスのいい映画を撮っている監督である。

そんな本広監督が地元香川で撮った作品が今回の「サマータイムマシンブルース」だが、彼の作品の中でもNo,1と言っていい出来である。

ゆるめのパロディ映画というか、巧妙なSF映画というか、いい感じにまとめ上げられているのがすばらしい。

始めの約15分間程度の展開の中に、のちに引き起こされるすべてのドタバタストーリーが含まれている。

そんな完璧に作り上げられているストーリーが、しだいに明確になっていき綺麗にまとまる爽快な過程には、たいへん高度なエンターテイメント性が見受けられる。

なんといっても、悪ふざけのようなストーリーにはまってしまう。

ストーリーの何がいいかというと、タイムトラベルの理由が「一日前に戻って、壊れたクーラーのリモコンを取ってくる」といった分かりやすくて馬鹿げた内容というトコがいい。

しかも、そのクーラーのリモコンが原因で自分の存在が消滅してしまうという危機にさらされる、といったありえない展開!

そこから、ドタバタコントの幕開けである。

何度も何度も今と昨日を行き来し、ついにはとんでもない展開へとストーリーは進められていく。

もはや、やりたい放題。

タイムトラベル映画のおもしろさをすべて詰め込んだかのような、夢の物語が狭い部室の中で繰り広げられるのである。

キャストもテンポのいい演技で、この映画を盛り立てている。

「ウォーターボーイズ」で白熱の演技を見せた瑛太や、「スウィングガールズ」でコミカルな演技を見せた上野樹里はもちろん、演技派俳優、佐々木蔵之介もおもしろい。

またお笑いコンビ「ホームチーム」の与座喜秋、「救命病棟24時」の川岡大次郎、「交渉人 真下正義」のムロツヨシの三人から成る「Z-3」もいい味を出している。

結末も、すべての物語を締めくくるのに抜群のものだし、細かいトリックにも手を抜かない演出にも注目だ。

青春SFコメディという難しいジャンルをここまで上手に完成させてしまう監督の力
量には感心してしまうし、何より誰にでも楽しめる良質な娯楽映画だと思う。

あまり期待しすぎるってのもよくないが、肩の力を抜いて、軽い気持ちでみてほしい。


日本映画の傑作、それがサマータイムマシンブルースである。

【洋画】シンデレラマンについて

2006-03-07 17:39:51 | 映画
今回紹介するのは、オスカー俳優ラッセル・クロウ主演の感動作品「シンデレラマン」である。

奇跡の半生を歩んだ実在のボクサー、ジム・ブラドックを見事に演じきったラッセル・クロウはとにかく凄い。

静寂の時間に見せる表情から、戦いの中での鋭い目まで、その巧みな熱演には世界中で誰も文句を言えないだろう、と思うくらい完璧である。

また、ロン・ハワード監督の演出もレベルが高い。

一人の男の生涯をただドキュメンタリー風になぞっていくだけでなく、周りの人々の感情の細やかな部分までしっかりと、そして自然に表現できている。

その上、時代背景に恐ろしくマッチした雰囲気とニューヨークの様子もパーフェクト。

と、製作側の技術にも驚くが、何より感動するのはやはり「ジム・ブラドック」の生き方である。

大袈裟に演出されているのではないか、と疑ってしまうくらい感動的で真面目な彼の生き方には、様々な人の心を打つであろう。

家族のために命を懸けてまで戦うその姿には、誰もが見習うべき大切な精神が息づいている。

数え切れない愛に支えられながら、明日が見えなくても戦い続ける・・・なんて男らしい人間なのだろう。

最後になんといってもこの映画の見所は、ボクシングの試合のシーンである。

緊迫感はもちろん、長い試合のシーンをこれほどまでに飽きさせない監督の技術を通して、ほんの数分間であるが、最高峰の才能を垣間見ることになるだろう。


【邦画】ニライカナイからの手紙について

2006-02-22 19:17:49 | 映画
今回紹介するのは、熊澤尚人監督、蒼井優主演の「ニライカナイからの手紙」についてだ。

この映画を見終わった後、かなりの名作に出会ったなぁ、としみじみ感動してしまった。
なんといっても主演の蒼井優が「タイガー&ドラゴン」のときとは違った素朴な役を、とても器用にそして自然に演じきっていたなぁというのが、第一印象である。

そして涙を誘うストーリーとそれを惜しげもなく引き出せていた構成、脚本。

観る前は、もっと退屈なものになると思っていたが、ダレる場面は一秒もなく、ただストーリーをなぞるだけでも感動するのに、細かい演出がたいへんうまかった。

脇を固める役者陣も、才能溢れる顔ぶれだ。
まずは、「学校Ⅳ」でほぼ一人舞台のストーリーを見事に演じきった「金井勇太」

温かくて無口なおじい役がぴったりだった「平良 進」
少々出番は少ないが、重要な役を好印象で演じきった「南 果歩」
その他にも厳しい都会のカメラマンを演じた「斎藤 歩」や、作品上キーパーソンとなる「前田 吟」なども好演。
キャストにもストーリーにも非の打ち所がない。

この作品でもっとも重要となってくるのが「母から届く手紙」である。
主人公、風希が6歳の頃、自分を置いて東京に行ってしまった母。
そんな母から毎年誕生日になると届く心のこもった手紙。
ある年、風希は母からの手紙の中で「20歳になったらすべてを打ち明ける」と告げられる。
そして二十歳の誕生日、母と再会する日がやってくる・・・

ストーリーは手紙と共につづられていく。
手紙の温かさ、沖縄の人たちの温かさ、いろんな温かさが詰まったハートウォーミングなストーリーにぜひ、浸ってみて欲しい。

ラストは絶対感動するはず。