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まさおレポート

インドネシア人はなぜ唐辛子をたべるのか モロッコのハッカクキリン追記

ドライバーのRが毎食に唐辛子10本を食べると言う。私は一本もたべられない。せいぜいチリ醤油にしてたらすくらいで、それで充分においしい。しかし多くのインドネシア人は10本程度を平気で食べる。単に辛い物が伝統的に好きという事ではない。ドライバーRが唐辛子を食べると多幸感に襲われると説明してくれた。自らもカプサイシンオイルで経験し、またどこかで聞きかじったことはあったが実際にインドネシア人からその効果について聞くのは初めてであり、なるほどそうかとおおいに納得できた。

かつてタイでカプサイシン入りのマッサージオイルを体に塗ったことがある。猛烈に刺激が強く痛いので驚いたが数分後には痛みが完全に引き、そのあと確かに体が軽くなり多幸感ともいうべきものを味わった経験がある。

唐辛子は単に食物を超えた存在なのだ。βエンドルフィンを放出するメカニズムが唐辛子の辛み成分カプサイシンにはある。カプサイシンが体に入るとカプサイシン受容体が火傷とおなじシグナルととらえ体がエマージェンシー信号を出す。このカプサイシンによるエマージェンシーは一時的なものである。わさびも似たように一時的だが唐辛子はやや長い。

火傷と異なり実際には体を損傷していないので身体に実害はなくすみやかにエマージェンシー信号は消えるが、体温の上昇や快感物質βエンドルフィンのみが残り多幸感をもたらす。この価格が上がるとインドネシア人は大騒ぎするのは単なる食べ物の域をこえた重要なものだからだ。

似たようなメカニズムを足裏マッサージでも経験する。足裏や足指の間に痛点がありそこをぐりぐりやられるともうやめてくれと言いたくなるほど痛いが、すぐに快感に変わる。これも同じように理解することができる。痛点はカプサイシン受容体と同じく実際には身体に危害はないのだが痛みを感じる点が足裏周辺にはあり、そこを刺激することでβエンドルフィンを出すのだろう。

われわれの体は騙しの痛点や受容体をもっている。じつに不思議で神秘なメカニズムだと思う。

追記 2018/11/26

火傷と異なり実際には体を損傷していないので身体に実害はなくすみやかにエマージェンシー信号は消えると書いたが、程度の問題らしい。そして強烈な辛味は鎮痛剤にもなるという。https://wired.jp/2018/11/24/resiniferatoxin/によると

モロッコに分布するサボテンに似たハッカクキリンにあるレシニフェラトキシン(以下RTX)は、辛さの指標である「スコヴィル値」で160億もの値を示し世界一辛いトウガラシ、キャロライナ・リーパーの10,000倍、ハバネロの最も辛い品種の45,000倍、ハラペーニョの450万倍。

RTXを関節痛の患部に注射すると、痛みを伝える神経末端が破壊され この鎮痛剤はオピオイド中毒から人々を救うツールになる可能性がある。

感覚ニューロンは軽い接触に反応するもの、関節の位相を伝えるもの、火傷刺激にだけ反応するものがありRTXは火傷刺激にだけ反応する「TRPV1」に結合する。

TRPV1は通常 温度に反応するが唐辛子の活性成分であるカプサイシンにも反応するがRTXはカプサイシンの500~1,000倍の活性をもつ。触覚や歩行能力を損なうことなく痛みだけを選択的に除去できるのでオピオイド鎮痛剤の削減に貢献する可能性を持っているという。

追記 2020/10/25

バリのキーワードはなにかと問われたら迷わずトランスと答える。バリは生活のあらゆるところでトランスに結び付いている。日々に食するチリ唐辛子の多食はトランス効果があることも学んだ。

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