音次郎の夏炉冬扇

思ふこと考えること感じることを、徒然なるままに綴ります。

MとKの物語

2008-06-17 23:02:11 | 事件
「妙な言い方だが、自信と責任を持って執行できるという人を選んだ」とは鳩山法相の弁です。相変わらず人をそらさないトークの持ち主ですが、この人じゃなければ執行へのGOサインは出せなかったかもしれません。

最初の事件発生(今野真理ちゃん殺害)が88年8月ですから、既に20年近くの歳月が流れています。裁判員制度導入も司法のスピードアップを眼目にしていますから、今後は大事件といえども長期裁判は減っていくのでしょう。でも90年の逮捕から判決確定まで16年、そこから執行まで2年半ですか。18年も事実上の監獄生活を送ることになった宮崎元死刑囚ですが、月刊誌『創』へ寄せられる手記などを読むに、どこまでも人を食っているというか、およそ反省している態度は感じられず、こういう事例を前にすると、死刑廃止の代替案である終身刑というのも何だかなあと虚しく思えてきます。

改めて宮崎事件を振り返ってみましたが、来歴に焦点を当てると、意外にも先日この国を震撼させた容疑者との共通点が浮かび上がります。

【小中学時代は優等生】
M:五日市中学では学年230人中20番前後をキープ、欠席も殆どなし
K:青森の市立中学で学業成績はトップクラス、軟式テニス部でも活躍

【進学に有利な高校へ】
M:明治大学付属中野高校入学
K:県立青森高校入学

【高校入学時に語った夢】
M:明大文学部から英語教師
K:北大工学部から自動車メーカーの設計職

【実際の進路】
M:東京工芸大学短期大学部
K:中日本自動車短期大学

【就職先】
M:印刷会社 ~印刷機オペレーター
K:自動車組立会社 ~派遣で塗装工程担当

【クルマ好き】
M:過保護な親に買って貰った日産ラングレーで徘徊、犯行の重要な道具
K:かつての愛車はインプレッサ、借金で自家用車持てずも犯行はレンタカー利用


MはKほどには自らの境遇や社会への不満を強調していませんでしたが、秘めている部分はかなり近いでしょう。20歳も年が離れた二人ですが、ともに地頭は悪くない、オタク系で長じてからは周囲にほとんど印象らしきものを残していない、生身の女性への興味を抑圧しているところetc. なんか妙に近いものを感じてしまうのです。

女性になりすまして書いたMの長文の犯行声明文と、ケータイ掲示板に書き込んだKのおびただしい数のモノローグとの違いだけは時代を感じますが、Mも現代に生きていたならば、きっと携帯ジャンキーになっていたでしょう。M的なものというのは普遍ではありませんが、動機なき無差別殺人の元祖だったとはいえるかもしれません。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« タイガー・ウッズの底力 | トップ | ザ・マジックアワーと田宮二郎 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

事件」カテゴリの最新記事