音次郎の夏炉冬扇

思ふこと考えること感じることを、徒然なるままに綴ります。

阪急西宮ガーデンズ

2008-12-30 15:47:06 | 身辺雑記
私の小学校高学年時のスナップは、何故かたいてい阪急ブレーブスの帽子をかぶって写っています。黒地に「H」のロゴと庇がボルドーカラーの秀逸なデザインです。自我に目覚めてきたので、無意識に皆と同じ巨人帽を避けたんでしょう。それにしても70年代のブレーブス黄金期は、超一流のプレーヤーたち、洗練されたユニフォームと立地ゆえに、かえって海側のセリーグのチームに人気を全部持って行かれた感があります。その2つの親会社が今ではくっついて、阪急・阪神ホールディングスになってるわけですが。


首都圏で次々と出店される複合商業施設に最近はいささか食傷気味で、準地元の越谷レイクタウンのイオンでさえも開店後まだ行っていないほどです(汗) それなのに、わざわざ西宮北口まで足を伸ばしたというのは、あの西宮スタジアムの跡地がどのように変貌したのか、この目で確かめたいという欲求を抑えられなかったからです。かつて南海ホークスの本拠地だった難波の大阪球場の場合は、暫定的に住宅展示場へリニューアルしたため、安っぽいプレハブのモデルハウスが林立する寂しい姿になってしまったことが思い出されてしまうのです。

お世辞にも便利とはいえない西武ドームやGS神戸のような辺鄙な地ではなく、西宮北口駅は大阪(梅田)と神戸(三宮)の中間に位置する有力なキーステーションで、かつ支線ではなくバリバリの本線です。ド郊外の有り余る土地と新しい鉄道を擁しながら、15分以上も来場者を歩かせる埼玉スタジアムとも違って、西宮球場は駅から歩いて3分とかからないという絶好のロケーションでした。これは1937年(昭和12年)開場のなせる業でもありますが、往時の球場宣伝コピーも「行き易く見易い」と、その抜群のアクセスが売り物だったことがわかります。ここは多目的スタジアムのはしりで、古くは闘牛ショー、アメフトの西宮ボウル、宝塚大運動会などのイベントが行われていました。最新の巨大モールが、これほど至便な地に出現した奇跡に興味がそそられ、11月26日にオープンしたばかりの「阪急西宮ガーデンズ」に行ってきました。

阪急西宮ガーデンズは、阪急百貨店とイズミヤスーパーを核テナントとする西日本最大級のショッピングモールで、最近は金太郎飴化が目立つイオンとは少々趣を異にしていました。ここでは動く歩道も不要と思えるほど駅からの短いアプローチは圧巻です。その分駐車場を減らし、売り場にスペースをまわせるわけで、このクルマ離れ時代にマッチしているのかもしれません。客を迎える2Fメインエントランスからウエルカムガーデンはゆったり感と開放感に溢れていて、その空間演出はなかなか練られています。吹き抜けは珍しくありませんが、ふんだんに設置された天窓からの陽光は店内を明るくする効果大です。そういえば昭和62年の西宮北口駅大改装の際に、中央部に可動式トップライトを配して、駅構内に光を呼び込んだという阪急のDNAがここに生きています。屋上庭園はふーんという感じでしたが。

肝心のテナントの顔ぶれはといえば、阪急色の強い成城石井やブックファーストなどの有力店と、所謂モールの常連さんともいうべきおなじみの銘柄の他に混じって、目新しかったり関西らしさを感じるショップが結構ありました。テイクアウト系の食べもの屋で目立ったのは、芦屋発祥の自然派ベーカリー「ローゲンマイヤー」、神戸水野家のコロッケで、結構寒い日だったにもかかわらず、関西初出店のアメリカのアイスクリームショップである「コールド・ストーン・クリーマリー」が長蛇の列で驚きました。なんでも-9℃の冷たい石の上で、アイスとフルーツ、ナッツ等をミックスするんだそうです。

ウィキによれば、


西宮市は、人口40万人を超える阪神間の中核市であるにもかかわらず、今津駅近くにあった小規模映画館「今津文化」の阪神・淡路大震災後の閉館以降、13年間映画館が全くなかった。TOHOシネマズは、西宮市にとって久々の映画館であり、また大規模映画館かつシネマコンプレックスとしては同市初のものである。


だから、もしかしてこの施設の眼目は「TOHO CINEMAS」かもしれません。でもそれよりもルーツおたくのワタクシが心を奪われたのは、5Fシネコン脇にある「阪急西宮ギャラリー」です。 こりゃあいい! つい1時間以上も滞在してしまいますた。


展示スペースの中央には、西本・上田という大監督はじめ、往年の阪急ブレーブスで野球殿堂入りした名プレーヤーの表彰レリーフ(レプリカ)がずらっと並んでいて、そのさまは誠に壮観です。山田久志、福本豊、加藤英司の個人所有物であるペナントやトロフィーが写真とともに飾られ、あの第一期長嶋巨人が3連敗の後に3連勝と盛り返し、後楽園球場での第7戦をブレーブスが足立の好投で制した伝説の76年日本シリーズの優勝記念トロフィーも展示されてありました。今年は埼玉西武が西鉄ライオンズを回顧するライオンズクラシックを企画して話題を呼びましたが、オリックスもこの輝かしい球団史をもっと尊重してもよいかもしれません。

年代ごとの説明パネルを読んでいると、あらためて阪急創始者の小林一三の偉大さを感じます。早くからプロ野球チームをつくり、あの宝塚歌劇団という「傑作」を産み出したのも彼です。その先見性は、輸送需要を増やすための沿線住宅開発にも見ることができますが、首都圏の西武や東急なんて阪急の猿真似にすぎないかと。また、当時の広告も飾ってありましたが、「愉快なる田園生活」と題して、簡潔にして明瞭なコピーとデザインの力で郊外型ライフへ誘っています。頭金50円の後は毎月24円を10年間払っていく割賦方式にしても画期的な販売方法で、わが国の住宅ローンのさきがけになったといいます。


昔の西宮北口駅前周辺を上からとらえたジオラマ模型も見ていて飽きなかったですね。美しい阪急西宮球場もリアルですが、この駅の長らく名物だった「ダイヤモンドクロス」の構造もよくわかるのです。ダイヤモンドクロスとは、世にも珍しい直角平面交差線路のことで、東西を走る神戸線と南北の今津線が、この駅で交わる状態が1984年の高架化で姿を消すまでに57年間も存在していたというのに驚きます。

集客の天才だった阪急創始者・小林一三のことに想いを馳せながら、盛況の館内を一通り廻って、ABCマートでオープン記念価格のプーマのスニーカーと、ルピシアで、最近紅茶に凝っている義母のお土産を買って帰途につきました。




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3 コメント

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良いお年を (TK)
2008-12-31 18:10:12
音次郎さん、お世話になりました。

来年も変わらぬ交流のほど宜しくお願い致します。

良いお年をお迎え下さい。

「TK」
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亀レスですみません (音次郎)
2009-01-05 04:10:59
>TKさん、あけましておめでとうございます。
こちらこそ本年もよろしくお願いします。
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バナナ〓 (花巻)
2011-10-11 18:05:18
バナナの…
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