p3ぶろぐ おかわり : 糸井正和経済経営研究所

金融・経済・経営の幅広い分析をお届けします。身近な路地裏経済から陰謀渦巻く国際戦略まで、様々なハナシをお楽しみ下さい。

炭素のちから

2010-05-31 22:00:00 | 企業・産業
今日(5/31)の相場で目立った銘柄として、JASDAQのタカギセイコーが挙げられています。
日本経済新聞で、「金属並みに加工が容易な自動車向けの炭素繊維材料を開発することに成功した」と報じられた(リンク禁止なので張りません)のが材料視されたからです。
炭素繊維は軽量で強度が高いのが特徴で、航空機材料に取り入れられていることからも分かるように、輸送機器素材としての適性が高い素材です。
しかし加工やリサイクルが難しく高価であることから、自動車用としては、レーシング・カーをはじめとした、一部の車種に用いられてきたに過ぎません。
それが容易に加工できるようになり、大量生産でコストを引き下げることができるのであれば、高い期待が持たれても不思議はありません。

…それでも、今日の反応はちょっと大きすぎのような気がします。
“様子見”の雰囲気が拡がる中での数少ないポジティブ・サプライズ要素として、強く反応したものと思われます。

というのも、炭素繊維は有望な素材ではありますが、よいコトばかりではないのです。

炭素繊維の問題の一つが、耐衝撃性の低さです。
炭素繊維が使われている製品の一つに、スキーのストック(ポール)があります。かつての鉄やアルミ製より軽いので、ワタシも使っています。
ただし、派手に転んだりしてストックに強い力がかかったトキ、金属製のストックは「ぐにゃっ」と曲がるのに対して、炭素繊維製のストックは、ポッキリと気持ちヨ~く折れてしまいます。ワタシも一本、折っちゃいました(汗
自動車レースで事故が起こった際にも、ぶつかった車のボディ・パネルが割れて飛び散ることがよくあります。これは危険です。

従って、一般用途の自動車に炭素繊維を用いる場合、まずはボンネットやドアパネルなど、外板の一部への適用に留まることになるでしょう。
その際にも、シャシーやサイドインパクトバーの強度を上げることが必要になるでしょうから、その分の重量増加を考えると、軽量化効果は限定的であろうと思われます。

とはいえ炭素繊維は日本発の技術で、今回のプロジェクトのメンバーや、クレハや三菱樹脂といった日本企業のシェアが高い素材です。
日本企業が新興国メーカーの存在感に押され、原料としての鉄鉱石も新興国の資源メジャーに支配されることで、日本が主導できない分野になってしまった鉄鋼を炭素繊維が代替することを通じて、日本企業の存在感が再度高まることに期待したいところです。

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鉱工業生産の増勢続くも…

2010-05-31 13:00:00 | 金融市場・経済全般
本日(5/31)発表された4月の鉱工業生産指数は、前月比1.3%増と2ヶ月連続の増加となったものの、事前予想(2~3%)を下回ったことや、自動車セクタで頭打ち傾向が見られることから、先行きに不安感を述べる記事が多いように感じられます。
そうしたネガティブな評価の背景には、この4月末から続く株安などネガティブ要素が増えつつあることがあると思われます。
直近でも、先週末(5/28)に格付機関の米Fitchがスペインを格下げしましたし、中国におけるストライキがホンダ以外に“延焼”を始めました

こうした状況でも、本日の東証前場は僅かな下落で引けました
しかしこれは投資家の根強い買い意欲の現れではなく、休み明けの欧米市場の様子を見ようとの“思惑”を反映したものであろうと思われます。
日本時間夕方以降の、欧州市場の動向に注目が集まることでしょう。

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行き過ぎ買い手市場

2010-05-30 23:00:00 | 金融市場・経済全般
マンパワー・ジャパンの調査によると、企業の76%が人材の不足感を感じているとのことです。前年(2009年)調査時の55%から21ポイントと、大幅な増加となっています。
これが足下の“景気回復”を反映したものであれば良いのですが、必ずしもそうとは言えません。先月(2010年4月)の完全失業率は5.1%と、2ヶ月連続で上昇しているのですから。

この「人材不足感」の上昇の背景には、人材を求める企業側の要求水準の上昇があるのではないかと思います。
求人情報を見ていて感じるのですが、「若くて、求人業務に対して“ストライク”な経験を十分積んだ、能力の高いスーパーマンを、極めて安価に雇いたい」という案件が増えているようです。
そんな要求に応えられる人材が、そうそういるワケがありませんw
その状況が、企業側の「人材不足感」に繋がっているのではないでしょうか。

「世界の工場」中国において人件費上昇の可能性が高まりつつある状況下、日本においても人材市場に変化が生じる可能性も考えられます。
良い方向に変化が生じて欲しいものですが…

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デフレ政策、続けます

2010-05-30 06:25:00 | 金融市場・経済全般
2010年4月の消費者物価指数(コアCPI)が前年比-1.5%と14ヶ月連続のマイナスであったことを受け、管副総理は、政府と日銀が共同でデフレ脱却に向けた政策を打つことを表明しました
しかし、「バーナンキさん」のデフレ政策擁護演説が行われたこの26日の日銀・国際会議で、白川総裁は「バーナンキさん」に合わせる形で(事前に打ち合わせていたんでしょうけど)、インフレ誘導には否定的なハナシをしています
政府が景気対策を拡大しても、金融引締めでその効果を削ぐとか、やってもおかしくないでしょう。少なくとも、金融緩和で協力することはなさそうです。

尤も、我々から見て腹立たしくさえ感じられる彼らのデフレ金融政策は、法律に則った行動なんですよね。
日銀法第二条で、日銀の理念は「“物価の安定を図ること”を通じて“国民経済の健全な発展に資すること”」と定義されています。
つまり日銀にとっては、物価の安定が日本経済の発展よりも優先すべき課題であると、法律で決まっているのです。

鳩山内閣の為すべきことは、まず日銀法第二条改正なんではなかろうか、とか思ったりするワケです。

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中国版・女工哀史

2010-05-29 20:30:00 | 企業・産業
台湾OEMメーカー大手のHon Hai Precision Industry(鴻海精密工業)が、中国の工場における人件費引上げを検討していることを発表しました。
Hon Haiは、傘下の中国事業「Foxconn(富士康)」で製造を受託しているiPhone製造ラインの工員による飛び降り自殺が続いていることが問題視されています。
そうした中、未だ解決を見ないホンダのストライキと同様の状況に陥ることを防ぐねらいがあると思われます。

中国における製造工場の劣悪な環境は、液晶ディスプレイ製造のWintekや、Microsoft製品の製造受託で知られるKYEなど、メディアでも度々取り上げられています。
これらの企業も同様な対応を取ることで、中国全体において人件費が上昇する可能性が考えられます。

企業にとっては、脱・中国の動きを進めるか、留まるかの意思決定を求められる時期が早まることになります。

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NPT、一応の合意成る

2010-05-29 12:30:00 | 国際政治・金融・経済
米ニューヨークで行われた核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が、合意文書を採択して終了しました。
米英仏中露の“核五大国”の核軍縮加速を求め、2012年に中東の非核化を目的とする会議を招集すると共に、北朝鮮には早期のNPTへの復帰とIAEAの査察受け入れを求める内容となっています。

地球温暖化論によって動き始め、新興国の石油需要増による原油価格高騰で加速した“脱・石油”の動きの一環として原発建設が世界中で増加する中、安全保障としてのNPTの重要性は高まっていると言えるでしょう。
その意味において、まがりなりにも国際合意が為されたことは重要ではありますが、その中身は「結論先送り」との感が拭えません。

そうした中、米国は核戦略において「世界の警察」としての役割を続けることを決めたのかもしれません。
イランと北朝鮮に対して“最後通牒”を突きつけました。曰く「国際合意に従わないのであれば、どのような手段でも講じる用意がある」と。
もちろん、その“裏側”には、自国の原子力産業の輸出拡大という“思惑”があることでしょう。
イランや北朝鮮を米国の原子力技術の輸出先にすることは失敗に終わりましたが、少なくとも両国が新たな原子力技術“輸出国”となることは、なんとかして防ぎたいところであろうと推測されます。
ペルシャ湾内で米原潜が活動しているようですし、米国の「本気度」は高いと言えるでしょう。

両地域において高まったままの地政学リスクは、当分収まらないであろうと思われます。

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Appleチャネル対抗馬出現

2010-05-28 20:14:14 | 企業・産業
日本でiPadが発売されました。
熱狂が伝えられる一方で、iPadを“チャネル”としたコンテンツ販売サービスが未だ立ち上がっていないことから、否定的な見方も為されています。
iPadを扱うことができなかったNTTドコモは、それでもiPadユーザを取り込むべく、自社回線でiPadを使えるようにするためのWi-Fiルータを発売します。グループ会社も光回線接続用の類似機種を発売するようですし、iPad用途には期待しているものと思われます。

“騒ぎ”の中で少しでも注目度が高まることを期待したのか、“対立軸”の一つが、体制を発表しました。
ソニーが凸版印刷、KDDI、朝日新聞社の3社と組んで、電子書籍配信事業会社を設立するとのことです。
「様々な端末を通じてお客さまにコンテンツを提供できる、オープンなプラットフォームの整備を図ります」とのことですが、さすがに「iPad」や「Kindle」向けは無いでしょうから、ソニーの「Reader」とKDDIの携帯電話が主たるターゲットということになるのでしょう。

ただ、会社設立が7/1で、事業展開はそれからということで、結局はAppleのiBookstoreに遅れをとることになるであろう点は、不安要素です。
また、参加各社の温度差がどうかという点も、気になるところです。
Googleの開発者向けイベントで「Appleをやっつけよう」と、やや“引き気味”のGoogleの“尻を叩いた”ソニーは本気かもしれませんが…
出版社側からも「設立趣旨に賛同するコメントを頂戴しております」とのことですが、どの程度コンテンツが提供されるのか、その条件はどうなのか、見えない要素も多く残っています。

個人的にはAppleの厳しいコンテンツ・コントロールは好ましくないと感じていますので、このチャネルには、より自由度の高い形で、Apple対抗馬として大きく育って欲しいと思います。

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英国は“失われた10年”を防げるか

2010-05-28 10:35:00 | 国際政治・金融・経済
OECD(経済開発協力機構)閣僚会議が、昨日(5/27)パリで開幕しました。

これに先んじて5/26付けでOECDが発表した経済予測では、OECD加盟国の2010年における経済成長率は2.7%と、前回予測(2009年11月発表)の1.9%(資料p.12参照)より0.8ポイント上方修正しています。
その中で述べられている、英国に関する予測が話題になっています。
「インフレ抑制のために、英国は間もなく利上げせざるを得ないだろう」との予測に対して、多くのネットメディアが否定的な反応を示しています。
利上げは、積み上がった政府債務の金利負担を増すことになります。また、George Osborne財務相の下で取り組む財政再建策は、デフレに繋がる道です。そうした意味で、OECD否定派の方に説得力を感じます。

実際に日本においては、今回のOECDの英国に関する予測とは逆の現象が起きました。
1990年代末の橋本政権による消費税増税を含む財政再建策は、現在に続くデフレを導いてしまったワケです。そして、ゼロ金利政策が2006年の一時解除まで続きました。
日本における“失策”の前例は英国でも認識されているようで、英国中央銀行から「日本のようにはならない」との発言が出ました

その日本に関してOECDは、「輸出主導で回復するが、失業率は高止まりし、デフレも続く」と予測しています。
2003年から2007年にかけての「実感なき景気回復」と同様の状況になるだろう、ということでしょう。
コチラの方は、妥当な予測であろうと思います。

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ブランド買い漁りツアー by China

2010-05-28 07:55:55 | 国際政治・金融・経済
中国が、自国発の“ブランド”育成に注力するとのことです。
中国発の世界企業というと、IBMのPC部門を買収したLenovo、三洋電機との提携でノウハウを吸収した家電のHaiar、米Ciscoの互換製品で成長したネットワーク機器のHuaweiなどが代表的です。
いずれも、競合他社と比べて高い付加価値を実現できる“ブランド力”の面では、弱いと言わざるを得ません。

安価な人件費によって外資の生産機能を呼び込み、中国は「世界の工場」となりました。
しかし、足下ではホンダの部品工場におけるストライキに見られるように、人件費の上昇が明らかになっています。
それは、近い将来に必要となるであろう、人民元の切り上げによって更に加速することになります。

従って今後、中国企業は他国の企業との競争において、これまでほどの価格競争力を維持できなくなるのです。
国内製造コストの相対的な上昇によって困難に直面した日本企業と同様の問題を、中国企業も抱えることになります。
中国が、消費者が高付加価値を許容する“ブランド”の育成を急ぐのは、そのためです。

とはいえ、“ブランド”というものは、一朝一夕にできあがるものではありません。
欧米のブランドは、長い歴史(スイス時計のように“看板”を買い取った新興企業が多かったりすることもありますがw)と多くの“エピソード”(著名な誰かが使ったとか、創業者が特異な才能の持主だったとか)に彩られています。
日本のブランドでも、例えば自動車は、産業として興ってから国際的にブランドを確立するまで約20年かかりました。
新興国ブランドの代表と言える韓国のSamsungだって、電機分野に参入したのは30年以上前です。
「世界の工場」となって5年余りの中国が、それらをフォロー・アップするのは、無理というものでしょう。

結果として、既に“ブランド力”を持つ日米欧の企業を対象とした買収を加速することになるものと思われます。
…とはいえ、買収対象としてレナウンを選んじゃうあたり、“選択眼”は今一つのような気がします。

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林檎は更に育つか

2010-05-28 02:00:00 | 企業・産業
iPadの日本での発売が、いよいよ本日(5/28)になりました。
都内のApple Store前には、既に行列が発生しているもようです。
店頭で余裕を持って買えるようになるには、しばらくかかるんでしょうねぇ。

そのiPadを販売する米Appleが、資本市場において時価総額(株価×発行済株式数すなわち“会社の価値”…といっても、実際にその値段で会社全体を買収できるワケではありませんけどね)が2,221億ドルとなり、同2,192億ドルのMicrosoftを抜いて、米国のIT企業として「最も高く評価されている企業」になったことが話題になっています。

企業規模としては、前期末時点ではMicrosoftの方が大きい存在です。
売上・純利益・総資産を比較してみると、Microsoft(2009年6月期)が58,437/14,569/77,888(百万ドル)であったのに対し、Apple(2009年9月期)は36,537/5,704/53,851(百万ドル)です。
特に“儲け”の面では、MicrosoftがAppleの倍以上も稼いでいるのですが、市場の評価は「Appleが上」というワケです。
両者の違いで際立つのは、Appleの“成長力”です。世界不況の中でも、Appleは売上・利益共に伸ばしています。

その要因は、「ヒット作」の連発です。
iMac・iPod・iPhone・iPadとヒットさせてきたことが、同社の成長をもたらしたものと言えます。
逆に、同社の課題は“その次”です。
iPod以降はその延長(DAP→通信機能付加→大型化)で連続ヒットを飛ばしてきましたが、その“手”はそろそろ限界であろうと思われます。

カリスマ・リーダーであるSteve Jobsが健在のうちに、次の成長をもたらす製品を投入できるかどうかが、同社が成長を継続し、市場での高い評価を維持できるかどうかの“鍵”になるでしょう。

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アッチには正論

2010-05-27 21:35:55 | 国際政治・金融・経済
米中戦略・経済対話の後、欧州に向かったガイトナー米財務長官は、金融規制改革を巡ってバラバラの欧州に対して「行動」を求めたそうです。
英国がEMF(仮)への加入を拒んでみたり、フランスがユーロ脱退をちらつかせてブチ切れてみたり、ドイツが単独で裸売り規制をブチ上げてみたり…
バラバラの欧州諸国に対して、協力姿勢を見せることが重要だと感じるのは、誰でも同じもようです。
そして、Telegraph記事の掲載写真解説にある、オバマ大統領のセリフである「市場が求めているのは“行動だ”」つーのは、まったくの正論です。

それにしても、日本へは「バーナンキさん」が一種の“褒め殺し”で金融政策の牽制に出たのに対して、欧州には正論をぶつけるというのは、米国にとっての“パートナー”としての日欧に対する信頼度の差が、如実に現れている感じがします。
現政権には、米国のみならず諸外国から「trust」してもらえるような行動を望みたいものなのですが…
もう遅いかな。

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ホンダにチャイナ・ショック

2010-05-27 18:10:00 | 企業・産業
ホンダの中国生産が、部品工場のストライキによって停止しているとのこと。
部品工場のストライキについては、5/17に発生して1日で終了したと報じられていたのに加え、一昨日(5/25)には中国生産の増強をホンダが発表しており、情報が錯綜している観があります。

ストライキを報じたサーチナ記事によると、組立工と日本から赴任した技術者の給与を比較して不満を述べていたり、25%増~倍増近い要求がなされている点など、いかがなものかと思うところはありますが…
いずれにせよホンダは、大幅な人件費増に応じざるを得ないでしょう。

中国で物価上昇が続く状況下、同様の状況が他の企業にも広がる可能性が考えられます。
近い将来に想定される人民元切り上げで、中国における人件費は、更に高騰することになります。
新たに顕在化したチャイナ・リスクに対して、どう対応するかということが、各企業にとって課題となるでしょう。

一つには、タイやベトナムやカンボジアなどに生産拠点を移すという“手”があります。既にそうした動きを見せている企業もあります。
しかし、それらの新興国も、今後の成長によって、いずれ今回の中国と同様の問題を生じることになるものと思われます。
とはいえ、より人件費の高い日本国内への回帰は考え難いでしょう。
結局のところ、人件費増に応じることによって、中国における消費拡大を通じた収益機会の拡大に期待することになる可能性が高いのではないでしょうか。

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アッチもコッチも「同床異夢」

2010-05-27 11:00:00 | 国際政治・金融・経済
米Financial Timesが報じた、中国による「ユーロ売り」検討が注目を浴びています(FTが見られない方はコチラをどうぞ)。
中国側は“火消し”に動きましたが、一度下落に動いた“勢い”を逆に向けるのは、容易ではありません。東京市場でも、ユーロは安値圏を推移しており、市場の見方は弱含みです。
株の方は、やはり日経平均9,500円前後が一つの“壁”となって支えられているようですが、上に抜ける勢いは見られません。

米中戦略対話では欧州支援で合意との報道がなされましたが、中国側からそれとは逆の動きが出たことで、米国の顔に泥を塗った形になりました。
米中協力が、所詮は「同床異夢」ではないかとの疑問が噴出しても不思議はありません。そのことは、世界経済における不安の拡大に繋がります。

欧州において協力姿勢を見せることが重要とこのブログでは述べましたが、太平洋側でももう少しきちんとした“摺り合わせ”が必要でしょう。

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日産の新工場竣工

2010-05-27 06:25:00 | 企業・産業
昨日(5/26)、米国テネシー州ナッシュビルで、日産の新工場の竣工式が行われました。
電気自動車「LEAF」向け工場なのですが、敷地内でバッテリーも生産するとのこと。
LEAF用バッテリーは、NECとの合弁会社によって製造される予定だったハズですが…
米国エネルギー省からの支援(低利融資)と引き換えに、NECの技術を米国に提供する、というコトですかね?

半導体や液晶の技術を日本から買うのは、主に中韓のメーカーでした。
しかし、ハイブリッド車・電気自動車用バッテリーについては、米国も技術の“買い手”として参戦しています(要登録なので転載先もリンクしておきます)。
純粋なメーカー間の競争ならともかく、競合相手国の多くが国家戦略として支援している以上、日本としても何らかの対応を採るべきだろうと思うのですが…

NEDOの呼びかけによる共同開発も、放っておけば、その「果実」が海外に流出してしまうでしょう。
そのような事態は、なんとか防いで頂きたいものです。

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SEDテレビ逝く

2010-05-26 21:15:00 | 企業・産業
精密大手のキヤノンが、「液晶の“次”」の技術として期待されていたディスプレイ技術「SED(Surface-conduction Electron-emitter Display:表面電界ディスプレイ)」方式を採用した家庭用テレビの開発を断念したことを発表しました。
この2月にソニー製有機ELテレビの販売中止が明らかになったことに続く、「次世代テレビ」の挫折です。

医療用などプロフェッショナル用途で開発を続けるとのことですが…
プロ用は高単価が見込めるものの“数”が限られることから、開発コストを回収することは難しいでしょう。
ソニーからスピンアウトしたベンチャー企業が開発していた類似技術「FED(Field Emission Display:電界放出ディスプレイ)」を買収した台湾AUOもプロ用途での開発続行を目指しているようですが、同様の問題を抱えていると思われます。

液晶ディスプレイの技術進化と価格下落は、「次世代ディスプレイ」の出現を容易には許さない程にまで達しました。
かつては様々な技術が提案された「次世代ディスプレイ」ですが、現時点で可能性があるのは、小型ディスプレイの主役になりつつある有機ELだけになったと言えるでしょう。
それも、発光素材の問題や大型化に向けての課題を解決し、安価なコストを実現できるようになってはじめて、液晶と並ぶ存在たりえるワケで、その“壁”は高いです。

今後10年程度は、液晶の“王座”は揺るがないかもしれません。

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株価予想について

※当ブログで2011年4月~2012年1月に開示していた株価予想は、日経平均株価の当日大引け値が、前営業日比で高くなるか安くなるかを、ワタシの独断と偏見で予想したものです。また、それ以外の株価に関するコメントについても、同様のものです。 投資判断は、あくまでも自己責任でなさって下さい。その上で、参考になれば幸いです m(_ _)m

Disclaimer

当ブログは、私、糸井正和の個人的意見を記したものであり、現在・過去・未来における所属企業もしくは契約先企業の公式見解を表すものではございません。また、書かれた内容に関する完全性、適時性等を保証するものではありません。なお、投資にあたっては、自己の判断と責任において行って下さいますよう、お願い申し上げます。直接・間接に関わらず、投資に関する一切の結果について、責任を負うものではございません。