p3ぶろぐ おかわり : 糸井正和経済経営研究所

金融・経済・経営の幅広い分析をお届けします。身近な路地裏経済から陰謀渦巻く国際戦略まで、様々なハナシをお楽しみ下さい。

風は海へと

2019-01-28 01:23:45 | 国際政治・金融・経済
先週(1/21週)の日経新聞は、月曜(1/21)夕刊、火曜(1/22)朝刊、水曜(1/23)夕刊、木曜(1/24)朝刊と一面の記事で中国経済の危機的状況を繰り返し取り上げていました。
ハイテク分野を中心とした産業育成策「中国製造2025」を追い風として、日本の資本財メーカーは中国向け販売を伸ばしてきました。
これが米中貿易戦争に巻き込まれて急停止。その影響が日本電産安川電機が業績予想を下方修正するカタチで出てきたのが大きなサプライズとなったワケです。
ワタシが証券アナリストとして比較的近い時期(~2017年春)に主要カバー先としていた半導体製造装置の分野では、パッケージング(後工程)関連のディスコとかTOWAあたりが影響を受けそうだと思います。

その米中貿易戦争、昨年(2018年)末に一旦は“停戦”というカタチになりはしましたが…
中国側としては“宿題”をこの(2019年)3月初めまでに提出しなければなりません。

これまで“売り先”としていた米国から「相当量」の製品を輸入しなければならなくなったコトは、中国の国内産業には痛手です。
ただでさえマイナス成長に落ち込んだとの見方も出ている状況下、経済成長を背景に国内をまとめてきた共産党政権が指導力を維持するためには…
米国に代わる新たな“出口”を見出す必要があるでしょう。

貿易戦争の影響による鈍化が懸念されるものの、人口ボーナスによる経済成長の継続が期待される東南アジアは、その第一候補となるでしょう。
足下では停滞気味の「一帯一路」戦略をテコ入れし、消費財からインフラまで幅広い分野で東南アジアを“出口”とする動きを見せる可能性が考えられます。
その際、最大のライバルは我が国、というコトになるでしょう。

一方で昨年(2018年)末に発効したTPPが、今年(2019年)は東南アジア各国においても発効する予定です。
中国との競争においては、中国側の人件費上昇(=コストアップ)に併せて、TPPによる交易条件の改善が、我が国を競争優位に近づけるでしょう。

貿易戦略においては米国に追随せずに自由貿易を推進する立場を取った我が国の選択が、結果として正しいというコトになる可能性が高まりつつあるように感じられます。

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進化した葉っぱのハナシ

2019-01-15 00:00:00 | 企業・産業
この週末(1/13)開催された電気自動車レースのフォーミュラE第2戦マラケシュGPは、は、一旦はBMWチームがブッチギりの1-2体制となったものの同士討ち。大波乱のレースは、マヒンドラレーシングチームのJ.ダンブロジオが表彰台の真ん中に立つ結果となりました。

同レースシリーズは今シーズン(2018/19シーズン)から第2世代の車両が採用されています。
昨シーズン(2017/18シーズン)までの第1世代車両では約1時間のレースを1台のクルマで走りきることが出来ず、途中で車両を乗り換える展開。ソレが順位が入れ替わるキッカケになったりで、ショウとして面白いモノでした。
コレに対してここまでの2戦において第2世代車両は、約1時間のレースを走りきってもバッテリーに余裕がある状況です。バッテリー自体もその使い方も、大きく進化したコトがうかがわれます。

さて、ソレに先立つ1/9、日産が電気自動車「リーフ」の追加モデル「e+」を発表しました。
その動力性能は最大出力160kW(≒217.5馬力)最大トルク340Nmと、ガソリン車であれば2㍑ターボクラスに相当。走行距離も458km(WLTCモード)を謳っています。
10年近く前に発表された初代モデルからは、随分と大きく進歩したものです。

そのリーフ新モデルは充電速度の向上も謳っていますが、電気自動車を推進しようとしている欧州では、より高速な充電を実現する強力な電気自動車充電網が計画されており、昨年(2018年)にはそのための製品投入が始まりました。
併せて、自動車に関する環境規制の強化が着実に進んでいます
また、米国メーカーの中で最も欧州において強みを発揮するFordが、来年(2019年)からの電気自動車ラインアップ強化の方針を明らかにしました

正直なハナシ、電気自動車の普及は次世代電池にメドが付いてから徐々に進む可能性が高いと思っていましたが…
欧州が先行するカタチで、その予想以上に早く普及が進むコトになるかもしれません。
そうなれば、予想される自動車産業における“ルール変更”も前倒しになるでしょう。
日本メーカー各社には、しっかり対応して頂きたいトコロですネ。

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マッチせずにZOZOっとするハナシ

2019-01-03 21:21:21 | 企業・産業
この御時世、色んなヒトがSNSで新年の情報発信してますが、ワタシが面白いと思ったうちの一つが、ZOZO前澤社長の“ZOZOSUITはじめ”TWEETでしたw
前澤社長は、良くも悪くも注目度の高い人物です。
“炎上芸”で注目を集めるというのは、イーロン・マスクCEOの米テスラをはじめとした新興企業に散見されるスタイルではありますが、ワタシは決して悪くない“手”だと思います。
特に消費者向けの差別化ビジネスの場合は。テスラは高額EVですし、ZOZOはセレクトショップモールですからネ。
同社長の場合、ソレが意識してのモノかどうかは分かりませんけどw

さて、そのTWEETで扱われているZOZOスーツ。発想としては素晴らしいモノです。
先進国の成熟した消費市場において、流通業の大きな課題が個客対応です。だからこそビッグデータを使ったIT技術の有用性が高いのですネ。
ブランド横断型のサイズ表記とか、コーディネートSNSサービス「WEAR」とか、同社は早い時期からはソッチを向いたサービスを展開してきました。
アパレルの場合、本来は個客それぞれが独自のサイズであるワケで。IT技術でソレを計測した上で、そのサイズに出来るだけ合わせた服を提供できれば、顧客満足度の向上とそれがもたらす高いロイヤリティが期待できることでしょう。
ただし問題は、ソレがうまく行けば、というコトでして。

現行のZOZOスーツ、使い勝手に対する評価はイマイチ出来たモノに対する評判はそれ以下という有様。
なんとなくですが、生地の伸縮に関する計測がうまくいってないのではないかなぁ、という気がするトコロです。
初期に予定されていたニュージーランド企業の技術を採用したZOZOスーツの大量提供が出来ていれば、結果はまた違ったものになっていたのかもしれませんけどネ。
この状況を受けて同社長は、ZOZOスーツの廃止に向けた方針を明らかにしています
2019年3月期上期決算は大幅減益、通期予想引き下げはしていませんがその実現には黄信号が点っています。そのため、急遽コストダウンの方向性を打ち出したものと推測されます。
株価が急落する状況下、その選択もやむなし、といったトコロではあります。が…

アパレルECの普及が加速する過程であった2010年代前半、同社はその“壁”を打ち破るために四苦八苦というか七転八倒というか、色んな“手”を打ってはイマイチな結果に終わってきました。
ちょっと変わったテレビCMを打ってみたりリアルのイベントを開催してみたり、SNSでの炎上芸も大きな話題になったモノはその頃のが初めだったと思います。
それ(大規模広告戦略)を一時中断することがコストダウンをもたらし、利益拡大が株価上昇に繋がったのが2015年から、と言えると思うのですが…

ワタシが同社(当時のスタートトゥデイ)を証券アナリストとしてカバーしていたのが2012年半ばから2015年初めまででして。同社の広告戦略転換のタイミングで評価を下から上に切り上げさせて頂きました。
カバーを続けていたら、前年度に続いて小売分野でいい結果を出せていたかもしれないなぁ、とか思ったりもします。
同社をカバーしていたコトでテレビにも出させて頂きました(15:35~「MプラスExpress」)し、実は個人的には好感情を持ってる企業だったりしますw

ワタクシ事はさておき、ZOZOスーツに関する戦略転換は、当時の広告に関する戦略転換との類似性を感じさせます。
コストダウンによる利益回復の実現で、株価の相対的(株式市場全体がキツい状況にある中、ココが厳しいトコロですが…)な上昇も期待できるのではないでしょうか。

一方で、同社の長期的な成長に対する影響としては、今回の戦略転換は如何なものかなぁ、と思うトコロです。
短期的な増収への寄与度という面では結果として不正解であった2010年代前半における同社の積極的広告展開ですが、アパレルEC普及過程で同社の知名度を向上させたコトで、同社がアパレルEC分野で他を圧する存在となって現在に至る状況をもたらした一因であろうと、ワタシは評価します。長期的にはプラスになった、というコトですネ。
ZOZOスーツについても、今回は一旦蹉跌を味わうカタチとなりましたが、個客向けカスタムフィットツールとしてある程度の精度が出るまで続けていけば、同社はアパレルITサービス企業としてのポジショニングをより強く確立できるだろうに…と、もったいなく思ったりするワケです。

…ソレもまぁ、証券アナリストという立場のソトから言えるコトなのが残念ですけどネ(苦笑

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Huawei, Far Away

2019-01-02 01:23:45 | 企業・産業
昨年(2018年)後半の世界経済を動かした最大の“ネタ”が米中貿易戦争であったコトは言を待たないでしょう。
特に年末に向けての展開は急。
G20に併せて行われた米中首脳会談で貿易戦争は“一時中断”となったように見えましたが…
その3日後、アメリカの要請に応じてカナダが中Huaweiの孟副会長を逮捕容疑はアメリカによるイランへの制裁措置を回避する“詐欺”とのことですが…
コレ、関税合戦を“表”とする米中貿易戦争の“裏試合”と見るコトが出来るでしょう。

その有り様は、次世代に向けた情報インフラの覇権争いとも言えます。
タイミング的には無線通信インフラが現行の4Gから5Gへの移行が近付くトコロ。そしてソレは従来の携帯電話の域を超えて社会インフラになる可能性が見えてきています
ビッグデータが使えるようになったコトで、情報インフラはマーケティングの重要な武器になりました。5G世代になれば、ソレはより重要性を増すコトになるでしょう。

その5G世代に向けて競合の先を行っていたのがHuaweiであるワケですが…
競合との競争が“真っ当”なモノになりそうであれば、アメリカの出方も違ったモノであったように思えるんですョねぇ。
というのは、Huaweiは中国共産党の下部組織として見られるコトすらある存在。
先進国より一世紀遅れで国家資本主義を推進している中国の情報インフラ企業が他国企業より優位な立場を得た場合、ソレを武器に他の産業においても中国の国策企業が競争を優位に進めるコトになりかねません。
特にIT分野において、その可能性は高いでしょう。GAFA(Google / Apple / Facebook / Amazon)を中心にIT分野を制するアメリカにとって、ソレは許し難い状況でしょう。

国としての産業競争力、というのもありますが…
歴史的にもそうですが、アメリカは現在でも“真っ当”な企業間競争を旨とするトコロがあるんですョねぇ。
PC時代を制したMicrosoftは、独占禁止法と戦うコトを強いられました。ソレがスマホ時代においてGAFAが大きく伸びた一因であると、ワタシは考えています。
コレに対して独禁法との戦いを経たMicrosoftは、スマホ時代の成熟期とも言える現在において、クラウド・サービスで先行するAmazonを超える存在となりました
国の産業政策が、新興企業と既存の独占企業の間における“真っ当”な競争を導いたワケです。
そんなアメリカが、放っておけば“世界征服”を目指しかねない中国共産党系企業が産業において支配的地位を築くコトを許さないのは、自然な成り行きと言えるでしょう。

さて、日本もアメリカに追従して、Huawei排除に動きました。
イギリスフランスにドイツオーストラリアと“西側”でコレに同調する動きが拡がっています。
5Gインフラの市場は、世界の“あっち側”と“こっち側”で二分される流れが出来つつあります。
ただコレ、我が国企業にとっては必ずしも悪いコトとも言い切れません。

旧電々ファミリーを中心とする日本の通信機器メーカーは、無線通信インフラの世代が進むにつれて存在感が希薄に。5G世代ではドコモの一部のみになるハズでした。
ソコからHuaweiが(ZTEも)排除されるコトで、ソレら企業に時間的“猶予”が与えられるコトになりそうです。
ココで国が各メーカーの無線通信機器事業を統合させる方向で動いてくれれば、世界シェアでも一定の存在感を示せるくらいの“復権”も不可能ではないのではないかと思うのですが、そういう動きが出てくる可能性は低いでしょうねぇ…

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年賀状

2019-01-01 00:00:00 | 日記
今年のぁゃιぃ年賀状はこんな感じで。
戦闘員の服装は白黒逆だろつーのはナシでお願いしますw

仕事とほぼ無関係になってしまったこのブログを週一ペースくらいでアップできるくらい、今年はココロに余裕が持てるようになれるといいなー、と思ってはいます。

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株価予想について

※当ブログで2011年4月~2012年1月に開示していた株価予想は、日経平均株価の当日大引け値が、前営業日比で高くなるか安くなるかを、ワタシの独断と偏見で予想したものです。また、それ以外の株価に関するコメントについても、同様のものです。 投資判断は、あくまでも自己責任でなさって下さい。その上で、参考になれば幸いです m(_ _)m

Disclaimer

当ブログは、私、糸井正和の個人的意見を記したものであり、現在・過去・未来における所属企業もしくは契約先企業の公式見解を表すものではございません。また、書かれた内容に関する完全性、適時性等を保証するものではありません。なお、投資にあたっては、自己の判断と責任において行って下さいますよう、お願い申し上げます。直接・間接に関わらず、投資に関する一切の結果について、責任を負うものではございません。