p3ぶろぐ おかわり : 糸井正和経済経営研究所

金融・経済・経営の幅広い分析をお届けします。身近な路地裏経済から陰謀渦巻く国際戦略まで、様々なハナシをお楽しみ下さい。

微妙なGDP

2010-10-31 00:00:00 | 金融市場・経済全般
10/29に発表された、FRBによる量的緩和の規模を予測する上での“目安”として注目を浴びた米国の今年(2010年)第3四半期のGDP速報は、年率換算で成長率2%と、“微妙”な結果でした。
メディアによる評価もまちまちで、「第2四半期と比べて回復速度が上がった」とポジティブに評価するものあり、「回復の足取りは遅い」と悲観的に見るものあり、という状況です。

一方で市場では、東京ロンドンニューヨークを通じてドル安傾向が見られました。これは、年率2%程度の成長率では、FRBによる量的緩和を妨げる要因とはならないというのが共通認識であることを示すものであろうと考えられます。
G20財務相・中央銀行総裁会議明けの相場で米金融当局の“口先介入”が効を奏さなかったのと同様であり、「緩和の規模は数千億ドルに達する」とするメディアの“予想”によって、更に緩和期待が高まった面もあるものと思われます。

さてこれで、週明けのFOMCで実際にふたを開けたらどうなるか、更に読みづらい状況になりました。
ワタシ自身は、ノーポジでヲチに専念しようと思います。こういう勝負ドコロで市場に参加しないから大儲けできないんだというのは分かってるんですがw、G20明けの相場もハズシちゃいましたし、ココは大人しくしといた方がいいかなぁ、と。
その上で無責任に予想(夢想)させて頂くと…

継続的なドル供給が求められる要因がある以上、米金融当局としては、今回の量的緩和で打てる手が“打ち止め”となるコトは避けたいでしょう。
また、G20財務相・中央銀行総裁会議で貿易不均衡是正策を根回し無しで提出することで各国に“宿題”を出した形にある米国としては、面子上、あまり派手なドル安誘導がしづらい状況もあります。
当局側から再三“冷やし”の“口先介入”が入っていますし、実際に行われる緩和の額は、市場の“予想”を下回るコトになるのではないでしょうか。
一方で、米国としては市場における“逆回し(=ドル高転換)”も最小限に抑えたいトコロでしょう。供給額にして1,000~2,000億ドル程度というあたりが、バランス的にいいトコロではないかと推測します。
その上で、市場の逆回しが進むようであれば、どこかしらからドル売りの玉が出てきたりするのではないかなぁ…などと思ったりしますw

いずれにせよ、FOMC明けの相場は、波乱が予想されます。
見てるだけと決めたワタシですが、それでもワクワクしちゃいますw

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンの方にも、是非一票を!

労働市場改善?

2010-10-29 20:20:20 | 金融市場・経済全般
本日(10/29)発表された9月の完全失業率は5.0%と、3ヶ月連続となる前月比0.1%ポイント改善を見せました。
有効求人倍率も上昇を続けており、統計上、労働市場は緩やかな改善傾向が継続していると言ってよさそうです。
でもねぇ…

ワタシは毎月一度、失業手当を頂くための再就職活動報告の書類提出にハロワに行ってます。
その際に、フロアで手続き待ちの人数が徐々に減ってきている感じは、確かに受けます。
ただ、ソコで減ってるのは、若いヒトたちなんですよねぇ。

で、減ってる中には、再就職できたヒトも多いのでしょうが、そうでないヒトもそれなりにいるのではないかと思うのです。
先日の書類提出のトキに、ワタシの手続きの前に失業手当の“期限切れ”のヒトたちの手続きがあったんですが、コレが結構、人数がいたんですょ。
かくいうワタシも、延長分も含めて年内には期限切れになってしまうワケです orz

期限切れから失業者カウントに入らなくなるまで、半年(6ヶ月)でしたっけ?
最近の失業率の改善には、そういう背景もあるんではないかと思ったりします。

ワタシの探してるカテゴリでは、35歳までの求人案件は確かに増えていると感じるのですが…
中年層まで募集増加の傾向が及ぶのは、ちょっと期待できそうにありません。
なんとか失業手当切れまでの間に、再就職先を見つけたかったんですけど、かなりムリそうです orz

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンの方にも、是非一票を!

中国奪首

2010-10-29 13:30:00 | 企業・産業
中国製スーパーコンピュータ「Tianhe-1A」が、世界一の座に躍り出る見込みとのこと。
多くのCPU及びGPUによる並列処理という、現在の“標準”である手法によるその構成は、CPU14,336個とGPGPU7,168個という膨大なもの。
ソレにより東工大の「TSUBAME2.0」の2倍近い、約2.5ペタフロップスの演算能力を叩き出します。

前回のランキングで2位の座を得たのに続いて、とうとうトップを獲得するというのは、確かにたいしたものではあるのですが…
結局は、並列演算機の数を増やしただけの力技に近いものです。世界一であるという「パフォーマンス」以上の意味は、然程ありません。
その意味において、文部科学省のスパコン事業を切り捨てた蓮舫センセの言 「一番じゃなきゃダメですか?」は妥当性の高いものと言えるでしょう。
蓮舫センセ自身は後に「一番を目指すのが当然」とヒヨっちゃいましたが、一番を目指すべきカテゴリについては、やはり「選択と集中」が重要だろうと思うのです。

さてその蓮舫センセ、現在は事業仕分けの第3ラウンド、特別会計仕分けに臨んでいらっしゃいます。
イロイロと切り捨てるその有様を報じるニュースに、溜飲を下げている方も、少なからずいらっしゃることでしょう。
ただし、問題は切り捨てたその予算を、どこに割り振るかということです。

雇用と経済成長を生み出す分野に、「選択と集中」をうまく進めて頂きたいものだと思います。

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンの方にも、是非一票を!

風向きに異変あり

2010-10-29 10:30:00 | 企業・産業
風力発電機の世界最大手であるデンマークVestas社が、工場閉鎖と3,000人規模のリストラ策を発表しました。

地球温暖化論の盛り上がりを背景に注目を浴びたエコ産業ですが…
COP16を来月(2010年11月)に控えるこの時期でも、経済問題に出口が見えない中、話題に上がることが少ない状況です。

更に自然エネルギーについては、太陽光、太陽熱、バイオ燃料など多様な手法に細分され、個々の市場拡大ペースが高まりづらいという構造があります。
中でも風力発電は、国内の日本海側で落雷被害が多発するなど、自然環境の制限を強く受け易い仕組みです。ただでさえ、需要拡大に強い制限がかかっているワケです。
また英国で洋上風力発電が成長戦略に挙げられるなど、市場が無いワケではないのですが、先進国の多くが財政問題を抱える中、公共事業としての大規模風力発電の案件増に疑問が呈される状況であると言わざるを得ないでしょう。
結局のところ現時点では、大量生産・大量販売の道筋がある程度立っている太陽光発電以外は、産業として成立するのは難しいかもしれません。

次に自然エネルギー産業が注目を浴びるのは…
新興国で環境破壊の弊害が大きくなってそちらに向かわざるを得なくなるか、先進国の財政問題に改善が見られて新興産業による雇用吸収を重要視できるようになってからではないでしょうか。
いずれにせよ、ちょっと先のことになるであろうと思われます。

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンの方にも、是非一票を!

やるやるかもかも

2010-10-29 02:45:00 | 金融市場・経済全般
本日、というか日付的には昨日(10/28)行われた日銀の政策決定会合では、やはりたいした内容は発表されませんでした。
前回の会合で実施が決まった5兆円の追加緩和の内容が決まった中で、低格付け社債やCPの購入が含まれたのは評価できると思いますが、いかんせん金額が少ないですねぇ。

それ以上に重要性が高いと思われるのは、次回日銀政策決定会合の日程前倒しでしょう。
FOMCの直後に日程を持っていくことで、「FRBの出方次第では、更に追加の金融緩和やるかも」との“思惑”を市場に抱かせ、米国の金融緩和が十分な規模であったトキに生じるであろう更なる円高の進行を、少しでも食い止める狙いでしょう。
その狙い自体は、決して悪いモノではないと思います。

とはいえ…
このblogで重ねて述べていますように、来月初のFOMC時点では、米国の追加金融緩和の規模は然程大きいものではない可能性が考えられる状況です。
それが実現したトキに、安心した日銀が何もしなかった場合、日本側の追加緩和が無いと確認されることで円高が更に進むという“シナリオ”も考えられるでしょう。

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンの方にも、是非一票を!

磁石の力だ♪

2010-10-28 17:00:00 | 国際政治・金融・経済
日本電産が好決算予想とレアアース不要のモータ量産報道を受け、株価を伸ばしています。
同社のレアアース不要モータは、「SR(Switched Reractance)モータ」に分類される、永久磁石を電気磁石に代替したものです。
振動や騒音、制御面での問題など課題はあるものの、低コストと高信頼性といった点が利点とされています。

…とはいえ、基本的な仕組みは古くからあるこの技術が注目を浴びるのは、やはり中国によるレアアース禁輸の影響でしょう。
それに対して、様々な対応策が動き出しています。
止む無く中国生産にシフトする企業がある一方で、今回のような代替技術を打ち出す企業がある他、米国やアジアなど世界各地でレアアース採掘開始の動きが広がっています。

中でも、レアアース生産の中国集中から世界各地への拡大の動きは、「系(システム)」としての分散の動き…ではなくw、独占的供給源としての地位という優位性をみすみす手放すことになった、中国の戦略の失敗と言えるでしょう。
中国の打つ“次の一手”が気になるトコロです。

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンの方にも、是非一票を!

日銀無視

2010-10-28 09:00:00 | 金融市場・経済全般
本日(10/28)は今月2回目となる日銀の政策決定会合があるワケですが、総じて注目度は低いようですネ。
そりゃあ、前回(10/4~5)において追加の量的緩和が発表されたばかりですし、来週初にはFOMCが控えています。
多少何かをやったところで、米国の量的緩和によって影響を打ち消されてしまうでしょうから。
多くのヒトが、どうせ何も無いだろうと思っているでしょうし、ワタシもそう思います。

こんなトキにこそ、百兆円くらいの量的緩和を発表でもすれば、見直されることもあるのでしょうがw

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンの方にも、是非一票を!

利回りマイナスの意味

2010-10-27 17:30:00 | 金融市場・経済全般
米国において、物価連動債(TIPS:Treasury Inflation Protected Securities~新発5年物)の利回りが史上初めてマイナスになりました。
これは市場の「インフレ期待」の高まりと評されていますが…
逆に言えば、米ドルの減価が続くとの見方が広く為されている、ということでもあります。
足下で進行する長期金利の目安の一つである、30年債の利回り上昇傾向も、同じ理由によるものであろうと推測されます。

直近では来月初のFOMCにおける量的緩和策の発表に注目が集まっていますが、それだけではありません。
2008年のリーマン・ショック以降米国は、国債を大量発行してこれを元手に財政政策を打ってきました。
統計上では、2008年以降の国債流通残高が急増する形で現れています(リンク先p.35参照)。
このことは、今後中長期的に、償還のための米ドル供給増圧力が残ることを意味します。
今回のTIPSのマイナス利回りによる落札は、そうした状況を背景にしたものと言えるでしょう。

直近では来月初のFOMCで目先のドル安要因が“打ち止め”となることで一時的に相場の流れが反転する可能性が考えられますが、貨幣数量説の観点からは、中長期的なドル安要因が維持されることを忘れるべきではないでしょう。

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンの方にも、是非一票を!

大きな林檎の木の下で

2010-10-27 03:00:00 | 企業・産業
先月(2010年9月)中国油化を抜いて時価総額で世界2位になった米Appleの「次の一手」が話題になっています。
510億ドルにのぼる現金資産の使途について、同社CEOのスティーブ・ジョブス氏は、企業買収の可能性を示唆したとのこと(リンク先記事の“Third surprise”部ですネ)。

買収対象の候補として同記事では、Adobe、Sony、Disneyを挙げています。
このうちWeb上の動画技術で敵対するAdobeや、製品カテゴリでかぶる部分が多いSonyの買収は、統合後の大規模リストラが避けられず、期待できる買収効果よりもリスクの方が大きいものと思われます。
それよりも、Disneyのようなコンテンツ企業を買収することで、コンテンツ配信の垂直統合モデルにおけるカバー範囲を拡げた方が、理に適っていると思います。
現在、コンテンツ作成から出口としてのエンターテインメント機器までをカバーしているのはSonyくらいなものですが、それと“がっぷり四つ”に組むようにするのが、同社の正当進化だろうと思うのです。

そのAppleは今年7月の第3四半期(4~6月期)決算発表において、「年内に素晴らしい製品を用意している」と明かしています
発表されたばかりの新型ノートPC「Mac Book Air」がソレである可能性もあるのですが、正直“目新しさ”という点でイマ一つ感が拭えません。
ソコでちょっと調べてみると、気になるコトが…

ジョブス氏が、競合他社が発表しているタブレット製品に多く見られる7インチサイズの画面を「小さすぎ」として批判しているとのコト。
日本のマンガを見るには見開き表示が重要であって、iPadの10インチサイズはむしろ“最低限”といったトコロであるのは確かですが…
新書やコミックサイズに近似する7インチ画面は、片手で保持してもう一方の手で操作するには、“絶妙”なサイズだと思うんですよネ。電子書籍を単ページ表示で見るには、最適だろうとも思います。
当然の如く、iPadにも7インチ版の“ウワサ”が。その投入予定は来年(2011年)であろうとされていますが…
年末には「他所の7インチは“クソ”だが、ウチの7インチは“最高”だ」と言っているジョブス氏のプレゼンが、ネット上で流れることになるかもしれませんw

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンの方にも、是非一票を!

ハイブリッド三国志

2010-10-26 20:20:20 | 企業・産業
日産は本日、来月から高級セダン「フーガ」のハイブリッド版を発売することを発表しました。
同社は電気自動車で先行する一方で、ハイブリッドについては北米でトヨタからハイブリッドシステムを調達した「Altima Hybrid」を投入しています。
ハイブリッド戦略については消極的に見えていただけに、今回の自社開発のハイブリッドシステム投入は、少々意外な感じを受けます。

同社がハイブリッド車を投入せざるを得なくなったのは、ビジネス上の観点からは、結局のところ“過渡期の技術”であるハイブリッド方式が現時点において最もバランスがとれている、というコトでしょう。
現状の電気自動車はシティ・コミューターの域を超えることが困難な上、充電インフラの普及が遅々として進まない以上、仕方のないトコロでしょう。

とはいえ、コレで同社がハイブリッド戦略を中心にすえるかというと、そうは思えません。
今回採用されたハイブリッド・システムは、1モーター2クラッチタイプで、トヨタのスプリット式ほどではありませんが、ホンダの電動ターボとも言える仕組みよりは複雑なものです。また、バッテリーに高価なリチウム・イオン電池を採用しています。
従って、このシステムを小型車を中心とした量販車種に搭載することは、考え難いと言えるでしょう。
転用するとしても、スカイライン、Z、ムラーノと、あとはインフィニティ系高級車くらいではないでしょうか。

それでも、同社のハイブリッド・システム投入は、“過渡期の技術”であるハイブリッド技術の“技術の寿命”が伸びる傾向にあることの現れと言えるでしょう。

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンの方にも、是非一票を!

仕分けから成長戦略へ

2010-10-26 13:20:00 | 国際政治・金融・経済
今年5月の総選挙で財政再建を掲げることで政権交代を実現させて成立した英国のキャメロン政権は、様々な財政再建策を打ち出してきました。
消費税を増税し、空母売却原潜の更新遅延などで国防費を削減し、子供手当ての削減を打ち上げるとともに、公務員の削減計画を発表しました
とはいえそうした、増税と歳出削減だけでは、経済が収縮してしまうワケです。

そこでキャメロン英首相は、新たな成長戦略を発表しました
インフラ整備(公共事業)とかグリーン・ニューディール(洋上風力発電)とか、産学連携による技術革新促進や規制緩和で民間雇用の増加を目指すという方針は、ありきたりではありますが…
“脱・金融”で実業へという、大きな方針が明らかになったと見てよさそうです。

こうした動きは、“モノづくりニッポン”にとっては、“輸出倍増”を掲げる米国に続き、先進国内における新たなライバルの登場に繋がりかねません。
医療・健康・観光などのサービス業重視を掲げる菅内閣の「新成長戦略」は、そうした動きの中で、競合を避けるという意味において、ロジックとして間違ってはいないと言えるかもしれません。
しかし、その実現に向けた具体的な動きは、依然として見受けられません。一方で、円高の進行によって製造業の“脱・ニッポン”が加速しています。
そろそろ、具体的な動きを見せていただきたいトコロです。

株式投資課税を強化して投資家を退出させることによって、外資金融機関の撤退を促すようなマネをしている場合じゃないと思うんですけどねぇ…

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンの方にも、是非一票を!

ドル安加速

2010-10-25 23:30:00 | 金融市場・経済全般
G20後の外国為替相場では、ドルの独歩安が進みました。
G20財務相・中央銀行総裁会議におけるガイトナー米財務長官の“リップ・サービス”が効を奏さなかったばかりか、その他の米ドル高要因も無視されてしまいました。
そうした要素よりも、G20で中途半端な合意が成立したことによって、例えば日本によるドル買介入が無いと確認されたことが、“効いて”しまったというコトでしょう。

読みが非常に難しいと思ったもので「おかしくはない」という書き方にしたのですが…
案の定、ハズしてしまいました m(_ _)m

とはいえ、ドル安要因はそのまま残っています。
同時に、米国の量的緩和に対する“期待”が更に積み上がった形になります。
実際に行われる量的緩和が市場期待を下回る規模と内容であったトキに、その反動は、より大きなものになるでしょう。

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンの方にも、是非一票を!

東証陥落

2010-10-25 10:45:00 | 金融市場・経済全般
2010年1~9月における株式販売代金で、東証が上海証券取引所にアジア首位の座を明け渡しました。
2010年1~6月分統計では東証がアジア首位でした。この要因として、リンク先記事では東証の取引活発化を挙げています。
それももちろんあるのですが、むしろ上海や深センが、ドバイショックを機に生じた新興国への不安や欧州における信用不安などを背景に取引を減らした影響のほうが大きかったワケです。
ソレが逆転し、今夏以降、マネーの流れが再度新興国へ向く動きを始めたことが、今回の状況をもたらしたと言えます。

更に、東証は今後も取引高増加への目処が立ちません。
この7~9月期の企業業績は好調だったもようですが、今後、エコカー補助金終了や急激に進んだ円高の影響が出ることで、輸出企業の業績悪化懸念が高まるでしょう。
自己資本規制強化への対応を求められるメガバンクを中心に残る増資懸念も、株式市場への資金流入を滞らせる要因です。
さらに、先週(10/21)発表された証券優遇税制廃止の方針も、昨年(2009年)後半から顕著に見られた個人投資家の市場からの退出を、更に促すことになるでしょう。

こうした状況は、投資家にとっての魅力が失われるだけではなく、企業にとっての資金調達能力の低下がもたらされます。
その結果、最近の傾向として見られるシンガポールでの上場意向を示す企業の増加など、資金調達面における企業の海外市場への“逃避”が加速することになるでしょう。

世帯あたり金融資産は増加しているワケですから、コレを投資に向けるよう、魅力的な株式市場を作る“手”を望みたいところです。

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンの方にも、是非一票を!

G20サプライズ!!

2010-10-24 23:45:00 | 国際政治・金融・経済
一昨日・昨日と行われたG20財務相・中央銀行総裁会議は、通貨安競争を防ぐことにおいて合意に到ったようですね。
ヘタをすれば何の結論も出ないのではないかと思っていたワタシの危惧が外れたのは、なによりです。
尤も、数値目標も罰則規定も無い合意にあまり意味は無く、中韓は引き続きダマで介入を続けるでしょう。
ソレに対して我が国は、忠実に合意を守って、何もしないでしょうね。ただ、ソレがそのまま円高ドル安に繋がるかというと、ちょっと疑問です。

今回のG20財務相・中央銀行総裁会議において最大の“サプライズ”はやはり、米国が根回し無しにぶち上げた「輸出制限ルール案」でしょう。
当然の如く各国から“冷や水を浴びせられた”ワケですが…
先のG7/IMF総会から間もない時期における国際会議の場での“急襲”は、米国の危機感というか本気度を現していると言えるでしょう。

そうした状況下で過剰な流動性供給を行ってドル安誘導を行うことは、各国の反発を招くこと必至です。
11月初のFOMCで発表されると思われる量的緩和が、市場予想を大きく下回る可能性が出てきました。

以前のエントリでも取り上げたように、ガイトナー財務長官は、ドル安誘導が既に十分であるとも受け取ることができる声明を発しました。
ハト派寄りであるブラード・セントルイス連銀総裁ですら、量的緩和の“目安”として、“市場予測”の5分の1である1,000億ドルを挙げています。

財政面からも、量的緩和の必要性が低まる“シナリオ”が強くなっています。
9月後半に民主党が一旦共和党を上回る支持率を獲得したものの、再度共和党が民主党を上回り、足下ではその差が拡大傾向にあります
オバマ政権は“ねじれ国会”の現出で、大規模な財政出動に対して枷をはめられることになる可能性が高まっていると言えます。
それは即ち、資金調達のための国債発行とそのFRBによる引き受けを通じた流動性供給の必要性の減少を意味します。

実際に量的緩和策が発表されるまでは動きづらい状況になるとは思いますが、一時的にドル高方向への動きが出てもおかしくはない状況と言えるでしょう。

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンの方にも、是非一票を!

go, g.u. go

2010-10-23 03:00:00 | 企業・産業
カジュアル衣料SPA大手のファーストリテイリングが展開するディフュージョン・ライン(ユニクロがもともとボリュームゾーン向けなので、そう呼ぶのも抵抗があるのですがw)「g.u.」の旗艦店が、大阪・心斎橋にオープンしました。
出店もこれまでのショップ・イン・ショップ中心から、大型店を中心に加速するもようです。

ファーストリテイリングが、価格戦略に打って出ました。
話題になった990円ジーンズをはじめとして、品数は少ないものの、ユニクロ・ブランドの半分から3分の2位の価格の商品が多いですかネ。
製品バリエーション増の一方で価格上昇傾向が見えていたユニクロ・ブランドに対して、大きな方向転換と言えるでしょう。

気になるのは加速する出店の有り様ですが…
新規出店の場合と、既存のユニクロ店からの業態転換あるいは既存ユニクロ店におけるg.u.ブランド製品の取り扱い量増加という、2パターンが考えられます。
前者では同一社内における異フォーマット店舗間のカニバリズムが生じますし、後者なら売上単価の減少が生じることになるでしょう。原価率については分かりませんが、販売コストは然程変わらないでしょうから、利益率についても下落することになるでしょう。

一方で同社は、ユニクロ・ブランド勃興期から続いてきた中国への生産委託を、バングラデシュやカンボジアといったアジア新興国に移管する動きを進めています。
当分の間は、生産レベルの低下は避けられません。それを消費者に受け容れてもらうためには、販売価格帯の引き下げは、妥当性の高い選択肢でしょう。

従ってワタシは、後者の戦略~ユニクロ店からg.u.店への転換ないしはユニクロ店におけるg.u.ブランド製品増~が選択される可能性が高いと見ます。
そうであれば、不自然とも思えた今期の減益予想が、より整合性の高いものとして理解できることになります。

g.u.店は未だ少ないこともあり、ワタシの生活圏では、見ることがありません。
ただ、ダジャレスキー(ロシア…ではなくさいたま出身)としては、「自由なg.u.」店が近場に出来たら、ぜひ一度見に行かねばならないと思いますw

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンもヨロしく!

株価予想について

※当ブログで2011年4月~2012年1月に開示していた株価予想は、日経平均株価の当日大引け値が、前営業日比で高くなるか安くなるかを、ワタシの独断と偏見で予想したものです。また、それ以外の株価に関するコメントについても、同様のものです。 投資判断は、あくまでも自己責任でなさって下さい。その上で、参考になれば幸いです m(_ _)m

Disclaimer

当ブログは、私、糸井正和の個人的意見を記したものであり、現在・過去・未来における所属企業もしくは契約先企業の公式見解を表すものではございません。また、書かれた内容に関する完全性、適時性等を保証するものではありません。なお、投資にあたっては、自己の判断と責任において行って下さいますよう、お願い申し上げます。直接・間接に関わらず、投資に関する一切の結果について、責任を負うものではございません。