p3ぶろぐ おかわり : 糸井正和経済経営研究所

金融・経済・経営の幅広い分析をお届けします。身近な路地裏経済から陰謀渦巻く国際戦略まで、様々なハナシをお楽しみ下さい。

Recall of TOYOTA

2010-01-31 17:15:00 | 企業・産業
トヨタ車のリコール騒動が拡がりを見せています。
米国で始まったリコールは、欧州や中国にもその対象を拡大しました。
今回のリコールの原因をトヨタでは米CTS社製のアクセル・ペダルに帰する方向で考えているようです。
CTSに対して保障を請求する一方で、CTS社製以外のアクセル・ペダル部品を使う日本韓国向け車種はリコール対象に含まれません。
こうした動きを受け、やはりCTS社製アクセル・ペダルを採用している米Fordは、中国工場で一部車種の製造をストップしました。

これに対してCTS側は、「トヨタの仕様に完璧に従ったものだ(=トヨタの設計ミスだ)」「トヨタとの取引は2005年からであって、2002年以降のモデルを対象とした(2009年11月の)リコールとは関係ない」と、自社の責任を否定しています。
…後者については、“カーペット”を理由として行われたリコールと、2008~2010年モデルを対象とした今回のリコールは別モノと考えれば、説明になっていませんが。

国内でもトヨタ車のリコールは少なからずありますし、今回の症状に近い事例も報告されています
トヨタとCTS、いずれの言い分が正しいかは、現時点では分かりません。

但し今回の問題は、自動車という産業ピラミッドの一つの頂点として影響を及ぼす範囲が広い産業における、単体としては世界一のメーカーの製品に生じた、生命に関わるレベルの信用問題です。
展開次第では、企業の国際化・巨大化や産業の“グローバリゼーション”自体に対する疑問が投げかけられるコトになりかねません。既にそれに近い論調も出ています。
COP15やダボス会議といった国際経済会合の不調と同様、世界経済が“多極化”する中で、象徴的なものと成り得る“事件”と言えるでしょう。

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

米国の“回復”は本物か

2010-01-31 02:15:00 | 国際政治・金融・経済
2009年第4四半期(10~12月期)の米国のGDP成長率は、年率換算で5.7%と、事前予想を大きく超えるものとなりました。
但しその3分の2は在庫増によるもので、成長の継続性には疑問が投げかけられています。また、同第3四半期の成長率がそうであったのと同様、後に下方修正される可能性も指摘されています。

米国の景気回復が“本物”になるには個人消費の増加が重要で、それには雇用の回復が必要であるという点は、衆目の一致するところでしょう。
その意味において、オバマ大統領が打ち出した中小企業向け雇用促進のための課税控除策は、悪くないタイミングであったと思われます。
ただ、それだけで雇用が促進されるかというと、少々疑問なわけで。
就任当初に打ち上げた、新エネルギーや教育分野等への労働シフトをもたらすような雇用創出策を、今このタイミングで打ち出せれば、高い効果が期待できるでしょう。
予算の制限で厳しいとは思いますが…

さて、一つ危惧されるのは、“景気回復”を口実として米国の“出口戦略”が加速されることです。ただでさえ、週明けから流動性供給の絞込みが始まりますし。
そうした政策の加速は、相場には当然マイナス要因になりますし、“景気回復”の中身が継続性を期待できないものである状況下では、実体経済にもマイナスの影響をもたらすおそれがあります。

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

李克強氏の経済論

2010-01-30 13:45:00 | 国際政治・金融・経済
またまたTelegraphから、ダボス便りです。
昨年来日し、天皇陛下の政治利用問題を巻き起こした習近平副主席のライバル、李克強副首相がダボス会議で発言しました
「将来的に中国は、消費促進とセーフティ・ネット強化を通じて内需拡大に焦点を絞ることになろう」と。加えて、知的財産権保護の強化を含む、市場改革促進と対中投資開放にも言及したとのことです。

その発言をそのまま受け止めるなら、信用バブル期に米国が果たした「世界の消費地」「世界の投資先」としてのポジションを、中国がある程度は引き受けるとの宣言として考えられます。
そうなるのであれば、世界経済にとっては好ましい展開と言えるでしょう。
しかし中国はむしろ、先進国がエマージング・マーケットとしての中国や東欧に投資して成長を享受したのと同様、自国の農村部および東南アジアやアフリカをエマージング・マーケットとして投資することで成長しようとする戦略を志向しているような動きを、これまで見せてきました。
本当にそうした方針転換が為されるかについて、私は少々懐疑的に感じるところです。

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

Appleのライバルたち

2010-01-30 06:30:00 | 企業・産業
日米共に2009年10~12月期の決算が出揃いつつあります。我々投資家は、手持ちの銘柄の業績に一喜一憂なわけですが…
そんな中で、二社の米国IT企業に関する情報が目を引きました(私自身はいずれも投資していませんが)。

一社は通信用LSIのファブレスメーカーとして代表的な企業であるQualcommです。
2009年10~12月期においては前年同期比で倍以上の売上を上げていますが、2010年1~3月期における業績がアナリスト予想より悪いものになるとの予想を発表したことから、株価が急落しました。
日欧における回復の遅れと安価な携帯電話の需要拡大をその理由としていますが…
それは裏返せば、スマートフォン向け高機能LSIが売れないということですね。
多くのスマートフォンがQualcommのチップを採用しているのですが、韓国Samsung製チップを採用したAppleのiPhoneがシェアを拡大したことの影響を受けてしまったということでしょう。

もう一社はAmazonです。
やはり2009年10~12月期において売上が前年同期比42%増、事業利益が同75%増と、好調な業績を残しました。
その上で「Kindle所有者は数百万人に達し、彼らは多くの電子書籍を購入する」と、電子書籍事業について強気な態度を見せています。

Apple製品の影響を既に受けている企業とこれから受けるであろう企業で、これからの業績に関する見通しは対照的です。
尤も後者は、今後の「iBookstore」の展開次第ということもありますが。

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

「金、高すぎ」by ジョージ・ソロス?

2010-01-29 20:15:00 | 金融市場・経済全般
ダボス会議ネタをもう一つ。
米CNBCのインタビューに対して、著名ファンド・マネージャーのジョージ・ソロス氏は「低金利下では資産バブルが生じるが、現状では金がその際たるものだ」と答えたそうです。
加えて「世界同時不況からの回復は十分ではなく、政府はもっと救済策を打ち出すべきで、さもなければ“二番底”のおそれがある」と。

政府救済の拡大は、彼にとって更なる利益機会の拡大に繋がりますから、そのような言葉が出てくるのは、自然なことでしょう。
尤も、彼の言う通りに政府が動いた場合、金価格は更に上がることになるでしょう。彼としては、そうした状況こそ、望むところではないでしょうか。

上記記事に先立ってTelegraphは、「金の次は何(の金属)か」と題した記事を掲載しました。
このブログで取り上げた、ゴールドマン・サックスの「金の次はプラチナだ」との観測も、元ネタはTelegraphでした。
金属全般へバブルの波を拡げようとの“思惑”があるように感じられます。
ソロス氏に関する記事に対しても、彼の本意とは異なる趣旨の標題を、敢えて付けたのではないでしょうか。

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

バラバラ ダボス会議

2010-01-29 14:25:00 | 国際政治・金融・経済
スイスのダボスで、毎年恒例の世界経済フォーラムが開催されています。
2009年のダボス会議では世界同時不況や金融システム不安への対策について熱心な議論が行われたようですが…
今年はどうも、様子が違うようです。

オバマ大統領や大手企業の代表を含めた米国勢は、専ら国内の雇用問題の話に終始し、顰蹙を買っているもようです。
継続的に高成長を実現したことで世界経済の牽引役として期待されている中国に注目が集まる一方で、「(中国の通貨政策を)修正してやる!」とばかりに気炎を上げるフランス大統領もいます。
日本の鳩山首相は、出席さえしません。
どうにもバラバラでまとまりが無いというのが、今回のダボス会議の傾向のように見受けられます。

信用バブルの形成を通じて一体化した世界経済は、その崩壊後に、サルコジ大統領の言にあるように、多極化する局面を迎えています。
そうした中、国際協調がうまくいかない状況が続いています。昨年末のCOP15もまとまらずに終わりましたし、今回のダボス会議も上のような有様です。
とはいえ、いつまでもこうした状況が続くわけではないでしょう。
いずれはまた、「みんなで“うまく”やろう」という雰囲気が醸成される局面もあろうかと思います。
ただし、そうした状況が成立するためには、“牽引役”ないしは“旗振り役”が必要です。

信用バブル期には、“世界の消費地”であった米国がその役割を担いました。
しかし現在の米国は、上記のように完全に“内向きモード”です。
足下では中国にそれを期待する向きが多いようですが、自国のバブル抑制で手一杯の中国に、その余裕は無いでしょう。
世界経済に“まとまり”が見られるようになるまでには、もうしばらく時間が必要なようです。

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

iPad登場

2010-01-29 06:30:00 | 企業・産業
長い間“噂”であった米Apple社のタブレットPCが発表されました。
名称は、事前に噂されていた「iTablet」でも「iSlate」でもなく、「iPad」。
あちらこちらのサイトやブログで、大きな反響を呼んでいます。

「名前にセンスが無い」とか「マルチタスクでないので、仕事には使えない」とか、悪評もありますが…
名前はすぐに馴染むでしょうし、基本的に“大きな「iPhone/iPod Touch」”なので、コレで仕事をしようとする方が間違いでしょう。
仕事に使うのであればコチラ(コレはコレで、結構魅力的かも)を選ぶべきですね。

それより驚きであったのは499ドル~という価格。事前予測では10万円前後と言われていましたが、それは仕事にも使えるレベルのPCが期待されていたことの現われでしょう。
娯楽用途に割り切ったことで、完全に“Kindleキラー”としての商品性を前面に押し出した感があります。

さて、ガジェットとしての「iPad」が魅力的であることは多くのメディアによって伝えられているのですが、このブログ的に気になるのは、“ビジネスとしての「iPad」”です。
こちらの方は、新設予定の「iBookstore」が本格的に展開されてからでないと、これまでお伝えしてきた“メディアの囲い込み合戦が行われている”という状況以上のことは言えないところです。

ただし、現時点で既に見られるApple側のユニークな動きとして、McGraw-HillやHachetteという米国のビジネス書/教育書大手を取り込むことで、教育分野への進出を図る構えを見せている点が挙げられます。
以前のエントリで取り上げたように、教育現場への食い込みには先行しているものの、教科書として使う用途においては評価が低いKindleに対して、後発のiPadは優位性を明確化してシェアを伸ばせるでしょうか。
コンテンツとアプリケーション次第ではありますが、十分に機会はあると思います。

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

エコ・カーに動くマネー

2010-01-28 21:20:00 | 企業・産業
電気自動車向けインフラの運営を目指すベンチャー企業である米Better Placeが、香港HSBCを中心とする金融機関グループから3億5千万米ドルの資金調達に成功しました。
HSBCは、Better Place社が進める、イスラエル及びデンマークにおけるバッテリー交換ステーション運営の成功とその世界的拡大に期待しているようです。

Better Place社は日産・ルノーと提携して2008年初より、イスラエル及びデンマークで電気自動車の運用実験を展開しています。
但し、同社の運用実験は、必ずしも順風満帆というわけではありません。
当初の予定では現状より数多くのバッテリー交換ステーションを展開する予定でしたし、米ロサンゼルスなど、他の地域でも実験を行うはずでした。
また、日産のお膝下、日本における電気自動車タクシーの運用実験では、その日産ではなく、試作車やレースカーの製作を行う東京R&Dと提携しています。

これらの実験が計画通りにいかなかった背景には様々な原因があるでしょうが、大掛かりな設備を要することが、その主たる要因の一つとして考えられます。
同社のバッテリー交換ステーションにおいて交換されるのは、バッテリー本体だけでなく、フロア下に配される、関連機能部品一式です。
プラグイン型の充電スタンドと比べると、初期投資も運営費用も、かなり大きな金額を要すると思われます。
国家の強力なバックアップが無ければ、Better Place型のバッテリー交換ステーションの普及は難しいでしょう。

さて、我が国では経済産業省が電気自動車普及促進の動きを始めるもようです。
尤も、経産省のみでコトが進むわけはなく、国土交通省や国家戦略室がこの動きをサポートするかどうかというのが、次の着目点ということになります。

個人的には“その次”である、水素内燃機関ないしは水素ベースの燃料電池車に期待するところ大なのですが…
充電ステーションの普及が進んでしまうと、水素ステーションへの再置換は無理でしょうねぇ。

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

米金融政策に大きな変化なし

2010-01-28 12:55:00 | 国際政治・金融・経済
昨日(1月27日)付けで発表された米FOMC声明は、事前に予想されていたものと大きな差はありませんでした。
景気判断はやや上向き、金利も長期的にゼロ金利を維持する方向で、安心感が拡がったことで同日の株式市場も上昇しました。

流動性供給絞込みの計画も、2月から始まって秋に向かって徐々に絞り込む計画に変化はないところです。
足下の株価上昇を見ると、2月分の絞込みについては、“オバマショック”による株価下落で相当分、織り込まれたように思われます。
ただ、流動性供給絞込み策として前回声明で「2010年初めに継続的に縮小していく」としていたTAF(Term Auction Facility:入札型ターム物貸出制度)の終了を3月8日とする方針を明確化しましたから、2月末以降に株式市場が弱含みとなるリスクは、依然として残っていると考えられます。

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

アジアで強まる中国の存在感

2010-01-28 07:00:00 | 国際政治・金融・経済
財務省発表の2009年分貿易統計速報によると、日本の輸出先として中国が米国を抜いたもようです。
米国向け輸出が8兆7,446億円であったのに対して、中国向けが10兆2,391億円と、結構な差が付きました。
ただし、中国との貿易においては輸入額の方が多く、差引では依然として、米国が最大の“お得意様”であることに変わりはありません。
一方で輸出入総額では圧倒的に中国との関係におけるそれが大きく、中国が日本にとって経済上、最重要のパートナーとなっていることが見てとれます。
「日はまた沈む」「日はまた昇る」といった著作で“知日派”として知られるビル・エモット氏が日本を擁護するコラムを発表して話題になっていますが、その中でも日本が再度成長に向かう要素の一つとして、隣接する巨大市場の影響が挙げられています。

とはいえ、東南アジアとの関係においては、日中両国はライバルでもあるわけです。その点において、中国は日本に対して差を付けはじめています。
今年(2010年)初め、中国とASEANの間でFTAが発効しました。
このことを日本のメディアが大きく取り上げない点には、少々危機感を感じます。
また同時に中国は昨年より、ベトナムやラオスといった隣接諸国と物流網を整備すると共に、人民元建て取引を始めています。
東南アジアを舞台に、着々と人民元経済圏が構築されつつあるのです。
一時期盛り上がった“基軸通貨”論は最近では聞かれなくなりましたが、中国は引き続き、その座を狙っている可能性があります。

日本が今後の成長戦略を描くためには、中国のみに依存するのではなく、多くの国々に対して日本のモノやサービスを売ることを考える必要があります。
近い大市場であるASEANとの関係において、中国に遅れをとる現在の状況は、好ましいものではありません。
中国・ASEAN間のFTAに割り込む形を取ってでも、遅れを取り戻すことを考えるべきでしょう。日銀は嫌がるでしょうが、円の国際化を進めることも考えるべきだと思います。

国内の政局は、汚職問題を中心に大変な状況になっていますが、国際競争力の問題をおろそかにはして欲しくないものです。

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

ウィルコムの真実は?

2010-01-28 00:30:00 | ニュース雑感
日本経済新聞から、「ウィルコム、更生法活用で再建へ」との報道がありました。
これに対してウィルコムはそれを、「憶測によるもの」として否定しています。
ただし、更にそれに遅れて毎日新聞徳島新聞など、複数のメディアがウィルコムの会社更生法適用を報じました。
「一体どっちなんじゃい!」と思ってしまう状況です。
私個人としては、以前のエントリで書いたように成長戦略が描きにくく自力再建は厳しいことから、再建を考えるのであれば素直に他社の支援を受けるべきと思うのです。その相手としてソフトバンクがよいかどうかはさておいて。

日経新聞は憶測記事の多さから「“飛ばし”のニッケイ」の異名を持ちますが、その中で最も私が印象深く記憶しているのは、「三菱自動車が本田技研を買収」というものです。
1990年代前半だったと思います。当時はオデッセイのヒットでホンダがミニバン・メーカーとしてのポジショニングを確立する以前の状況でしたので、実現してもおかしくないと思われましたが、今や立場はすっかり逆。ありえない話になってしまいました。
これからもニッケイには、面白い“ネタ”をお願いしたいところです。

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

イスラエルの挑発

2010-01-27 16:00:00 | 国際政治・金融・経済
イスラエルがレバノンでの戦争に突入する可能性について“警告”しています。現在、レバノンとの国境地帯に、イスラエル軍が「演習のため」として集結中です。

先週、パレスチナ地域のイスラム教シーア派系組織「ハマス」が、これまでの方針から一転、イスラエルの存在を認めるとの声明を発表したことは、驚きをもたらしました。
一方、レバノンを拠点とするシーア派組織「ヒズボラ」が昨年末に新たな政治方針を発表したことが報じられています。
そこでは“民主主義”を標榜しつつも、反イスラエル・反欧米の方針を覆すことはありませんでした。

これまでイスラエルと敵対してきたイスラム教シーア派系組織の間で方針に差が生じたのは、イラン国内の混乱が加速する中で、それらの組織への支援が行き渡らなくなっていることが背景にあるものと推測されます。
欧州における“反イスラム”の動きも、影響しているかもしれません。
そうした状況下、ハマスを“抑えた”イスラエルが、残るヒズボラに対して矛先を向け、挑発行為に出たというのが、現在の状況と言えるでしょう。

実際の戦闘が行われるかどうかは予断を許さない状況ですが、これでヒズボラに対する“抑え”に成功した場合、イスラエルがシーア派の“本丸”であるイランに対して“決定的な”行動に出ることで、中東地域全体の地政学リスクが高まる可能性が危惧されます。

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

日米地銀模様

2010-01-27 08:00:00 | 金融市場・経済全般
米国における地銀の破綻が止まりません。今年に入って既に9件の地銀が破綻し、2008年以来の地銀破綻件数は174となりました。(WSJが見られない方はコチラをどうぞ)
これは、ウォルマートですらリストラせざるを得ない実体経済の状況、特に地方におけるそれが未だ回復しないことを現す、典型的な事象であると言えるでしょう。
足下の経営状況こそ弱含みなものの、2009年を通じて大きな利益を上げたウォール・ストリートの大銀行とは対照的な状況です。

これと比べると、日本の地銀が直面する危機は“ぬるま湯”的ですらあります。
バブル崩壊後、彼らが不良債権の増加に苦慮してきたのは確かです。経済状況に変化が生じるたびに「地銀再編、加速か」との声が再三再四、上がりました。
しかし、“共倒れ”を恐れてか日本の地銀各行は、完全に統合して合理化するような手段を取らず、“ゆるやかな提携”や“持株会社化”によって既存の組織を極力生かす道を選択しました。
その結果、多くの地方で「なんとかホールディングス」「かんとかフィナンシャルグループ」が林立することになったのです。
そうこうしているうちに、2006~2007年頃には不良債権問題も一段落し、同時に英米系ファンドの出資を受けて財務状況が改善されてしまい、根本的な経営改革を行う機を逸してしまいました。

信用バブル崩壊によって再度、不良債権が拡大する局面を迎え、不良債権をグループ内の有力銀行に集中して処理するスキームを通じてグループ内の各地銀の統合強化に繋がる動きもありました。
しかしそれも一部で終わってしまい、全国に拡がることはありませんでした。信用保証協会の保証枠拡大などによって、抱えるリスクは極小化されることになったのです。

米国における状況は、金融機能を大銀行に集中させようとの、ウォール・ストリートの“思惑”が現れている側面があるものと思われます。
それに対して日本は、地域における既得権益者の“思惑”が交錯することで、根本的な改革が出来なくなっている状況にあるのでしょう。
危機的な状況にあるときこそ、金融システムの抜本的な再設計を行う好機なのですが…

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

楽天マネー

2010-01-27 01:30:00 | 企業・産業
電子マネー「edy」を展開するビットワレットの新たな社長を、楽天社長の三木谷氏が兼任することになりました。
2009年11月に楽天がビットワレットを買収したことを受けてのものです。
前社長を含め旧経営陣4人及び旧監査役3人が退任した上で、三木谷氏自身に加えて、NTTドコモで「iモード」「iアプリ」「おサイフケータイ」を立ち上げたことで知られる夏野剛氏を取締役に迎えるという、大掛かりな人事です。

楽天は、既存のスーパーマーケット各社に対してネットスーパー機能を提供する形で、リアル・ビジネスへの関与を深めてきました。
ビットワレット買収も、その一環と捉えることができます。
但し、今回の人事を見ると、電子マネー事業に対する楽天の意気込みが伝わってきます。単なるリアル・ビジネスにおける決済手段の多様化以外のサービスも考えられるのではないでしょうか。
ネットスーパー事業の支援先である紀ノ国屋がJR東日本に買収されたことで、電子マネー「suica」を持つJR東日本との関係強化も期待できるでしょう。
これからどのようなサービスを展開するか、期待を込めて見ていきたいところです。

私自身も、昨年失業する直前に、“会社員”という肩書きで楽天カードを作りました。
楽天の顧客の一人として、edyへのオートチャージ機能付きのデュアル・カードなんぞを作ってくれると便利だなぁ、とか思ったりします。

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

“看板”架け替え検討中

2010-01-26 23:45:00 | 日記
みなさま、いつもこんな辺鄙なところへお越し頂き、ありがとうございます。
御蔭様で、ご覧下さる方の数も、徐々にですが増えており、嬉しく思っております。

ご支援いただいている「人気ブログランキング」の方も、ここのところカテゴリ(社会・経済全般)内で13~14位で安定しております。
ですが…

近いランクにいる、あるいは以前近いランクにいたものの上位に行ってしまった他のブログと比べると、当該ランキングからの訪問(「週間OUT」数)が少ないのです。
それらとウチの違いの一つに、タイトルがあります。
それらのタイトルはというと、「経済なんでも研究所」「ニュース裏読みブログ」「ネトウヨにゅーす。」…
比べてみると、ウチのタイトルは地味というか、インプレッシブさに欠けるなぁ、というのが、正直あります。

で、試しにタイトルを替えてみようかと思っているのです。
「糸井正和経済経営研究所」とか「非株式会社糸井総研」とか…
何か面白いタイトルがあれば、お教え下さい m(_ _)m

人気ブログランキングへランクアップにご協力下さい。貴方の1日1クリックを是非。

株価予想について

※当ブログで2011年4月~2012年1月に開示していた株価予想は、日経平均株価の当日大引け値が、前営業日比で高くなるか安くなるかを、ワタシの独断と偏見で予想したものです。また、それ以外の株価に関するコメントについても、同様のものです。 投資判断は、あくまでも自己責任でなさって下さい。その上で、参考になれば幸いです m(_ _)m

Disclaimer

当ブログは、私、糸井正和の個人的意見を記したものであり、現在・過去・未来における所属企業もしくは契約先企業の公式見解を表すものではございません。また、書かれた内容に関する完全性、適時性等を保証するものではありません。なお、投資にあたっては、自己の判断と責任において行って下さいますよう、お願い申し上げます。直接・間接に関わらず、投資に関する一切の結果について、責任を負うものではございません。