p3ぶろぐ おかわり : 糸井正和経済経営研究所

金融・経済・経営の幅広い分析をお届けします。身近な路地裏経済から陰謀渦巻く国際戦略まで、様々なハナシをお楽しみ下さい。

米土経済戦争

2018-08-19 23:59:59 | 国際政治・金融・経済
アメリカによる対トルコ関税引き上げの“トランプ・ショック”に端を発した世界同時株安も、週末には一服。
今週(8/13週)末の日経平均株価は、先週(8/6週)末に近い水準まで回復しました。
…ですがもちろん、“危機”が去ったワケではありません。

アメリカによる制裁の“理由”となった拘束された牧師の解放はならず
トルコ・エルドアン大統領によるアメリカ製電子機器のボイコットの呼び掛けを受けて、iPhoneを締め出す動きが始まりました
アメリカによる追加制裁が実施される可能性が高まっています。

そうなると『敵の敵は味方』というワケで、これまで“オセロゲーム”においてブルーチームの一角であったトルコが、レッドチームへの接近を強める可能性が高いでしょう。
これまでであれば、ソレで中東において露中をバックとしたトルコ&イラン&シリア対イスラエル&サウジアラビア&エジプトの親米派という対立構図が鮮明化し、地政学的リスクが高まりるであろう状況です。
ですが…

レッドチームの“ケツ持ち”である露中両国とも、自分の尻に火がつきかけている有様です。
中国は自身がアメリカとの貿易戦争でタジタジになっています。その中でこの4月以降、人民元の下落が続いています
ロシアも金融市場における“質への逃避”のアオリを受けて、4月と8月にルーブルが大きく下落
両国とも、自国経済が危機的状況に陥るおそれを抱えています。北朝鮮やトルコには“暴発”して欲しくない、と首脳陣が考えていても不思議はないと思います。

一方のブルーチームにとっても、今回のトルコ危機は追い風というワケにはいきません。
欧州地域にとっての“エマージング・マーケット”である同国には、欧州の金融機関が貸し込んだり投資したりしています。
特にスペイン、フランス、イタリアの金融機関による貸し込みが多いもようで。
万が一トルコが“トンで”しまった場合、トルコ発欧州経済危機になりかねません。
彼ら欧州金融機関は、トルコがなんとか“暴発”しないよう、陰に陽に働きかけることでしょう。

それでもここまで深刻化してしまったアメリカとトルコの“亀裂”を修復するのは、簡単なコトではないでしょう。

トルコは親日国として知られた国ですし、一方のアメリカは我が国にとって最大の同盟国。
なんとかうまく収まって欲しいトコロではありますが、この“危機”、当分続くものと考えざるを得ないでしょうねぇ…


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有機のちからカムズ・トゥルー

2018-08-06 00:00:00 | 企業・産業
上方修正が無かったためかソニーほど反響は無かったものの、今や“外資系”となったシャープの2019年3月期第1四半期も好調
事業別では電子デバイスの増収(頁№5,19)とディスプレイの増益(頁№20)が目立ちます。

そのうちディスプレイ分野では、同社がこの6月からスマホ向け有機ELパネルの量産を開始していたことが明らかにされました
2年ちょっと前に試作ライン向け投資を行いこの年初には量産開始に向けた動きが見られていたワケで、順調な経緯と言えるでしょう。
国内競合のJDIが運転資金の調達に四苦八苦する状況と、明暗がハッキリ分かれてしまったカタチです。

とはいえ同社には今後、有機EL生産を拡大してくるであろう中国パネルメーカーとの競争が控えています。
ソレに向けてなんらかのアドバンテージを同社が持っているか、というコトが気にかかるトコロです。
例えば以前にとりあげた、フットプリント(製造ライン面積)を縮小させ得る技術としてのブイ・テクノロジーの“縦型”蒸着装置。
それが実用化されていて、同社が有利な条件で利用できるのであれば、それは一つのアドバンテージになるでしょう。

今のワタシがその辺りの状況を訊きに行けるポジションでないコトが残念です。
誰か教えてくれませんかねぇ…


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ソニーサプライズ

2018-08-05 23:59:59 | 企業・産業
先週(7/30週)このブログで、ソニー関連のエントリへのアクセス件数が急増しました。
2019年3月期第1四半期(4-6月)の好業績を受けて同社が業績予想を上方修正。それと共に株価が上昇したことが“サプライズ”であったのでしょう。

中身を見てみると、とにかくゲームが絶好調(頁№8)。
売上も伸びていますが、利益率の改善が大。おそらくはPSNを通じた配信売上の伸びが大きかったのではないかと推測されます。
ネットワークサービスへの注力の方向性が明らかな同社ですが、その背景にはコレがあったんだろうなぁ、と。
で、今回は通期予想を引き上げてるワケですが、こんなもんじゃないだろうというのが、正直なトコロ。
今期中に更に大型タイトル投入が予定されているようですし、クリスマス商戦で更なるハードの拡販も期待できるでしょうから。

それから半導体も堅調(頁№14)。売上前年同期比ほぼ横這いで利益減ですが、前年度の特殊要因を除くと実質増益(頁№15)となっています。
スマホ市場の伸びはピークアウトした感が強い今日この頃wですが、ハイエンド機の差別化要素として撮影性能がフォーカスされており、デュアルレンズやトリプルレンズなんてモデルまで出てきている状況は、同社にはむしろ追い風。
高性能センサ需要を背景に、同社の同事業が堅調な状況は、当分続くでしょう。

一方でダメダメなのがスマホ(モバイル・コミュニケーション分野、頁№13)。
Z3→XZと使っているペリアユーザとしては寂しい限りですが、音声配信された決算説明を聞いてみると、トップアナリスト氏から撤退(とハッキリは仰っていませんが)の可能性に対する質問まで出てくる有様。
中国メーカーなどがカメラやフレームレス大画面化などで差別化を図っている中で他社に対して勝てるような新機種の投入は難しいでしょうし、今回の通期予想引き下げ以上に状況が悪化する可能性は高いんじゃないでしょうか。

それでも、全体としては、引き続きゲームが牽引するカタチで更なる上振れを期待していいだろうと思います。
ネットサービスでは米国企業の後塵を拝するトコロが多い我が国にあって、ゲームという限られた分野であっても“勝てる”可能性を感じさせてくれる同社に対する期待(=株価)も、更に上を目指して欲しいトコロですネ。


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株価予想について

※当ブログで2011年4月~2012年1月に開示していた株価予想は、日経平均株価の当日大引け値が、前営業日比で高くなるか安くなるかを、ワタシの独断と偏見で予想したものです。また、それ以外の株価に関するコメントについても、同様のものです。 投資判断は、あくまでも自己責任でなさって下さい。その上で、参考になれば幸いです m(_ _)m

Disclaimer

当ブログは、私、糸井正和の個人的意見を記したものであり、現在・過去・未来における所属企業もしくは契約先企業の公式見解を表すものではございません。また、書かれた内容に関する完全性、適時性等を保証するものではありません。なお、投資にあたっては、自己の判断と責任において行って下さいますよう、お願い申し上げます。直接・間接に関わらず、投資に関する一切の結果について、責任を負うものではございません。