p3ぶろぐ おかわり : 糸井正和経済経営研究所

金融・経済・経営の幅広い分析をお届けします。身近な路地裏経済から陰謀渦巻く国際戦略まで、様々なハナシをお楽しみ下さい。

東芝の手の平返しはNANDめ?

2017-08-28 00:00:00 | 企業・産業
東芝メモリ売却の優先交渉先が、有力視されてきた“日米韓連合”=産業革新機構&日本政策投資銀行+米ベイン・キャピタル+韓SKハイニクスから一転、“日米連合”=産業革新機構&日本政策投資銀行+米コールバーグ・クラビス・ロバーツ+米ウェスタン・デジタル(WD)になる見込みとのこと。
株式の取得比率が半分より下になると共に役員派遣が見送りになるようで、だいぶ条件が緩和されたと言えるでしょう。

現在の東芝のメモリ事業は、主力製品がNANDメモリで、元はといえばWDが買収したサンディスクとの協業事業
NANDメモリの需要が急拡大する中で、ソレを引き継いだWDも、ソレを成長が期待できる事業として訴求していました(資料p.68~)。その中で東芝との協業も重要であるとのアピールもなされています(資料p.108-109)。
WDが東芝メモリの“日米韓連合”への売却に反対するのも当然なら、多少の“譲歩”已む無しとの結論に達するのも自然な成り行きでしょう。

一方の東芝側から見れば、WDは提携先のサンディスクを喰って“割り込んで来た”相方。あまりいい感情は持っていないでしょう。
それでもNANDメモリ市場におけるシェア争いで韓サムスンに差を広げられつつある状況下で、そのサムスンが更なるメモリ投資拡大に動いています
提携先の“組み換え”に時間をかけている余裕は無い、という判断に到るのも不思議はないと思われます。

両社の“妥協”で折り合う結果となった今回の売却案件、うまくいくことに期待したいトコロです。
ただ、急いでキャッシュを積上げる必要があるとはいえ、国内でも海外でも“注意”を受けた医療機器事業売却のトキの失敗を繰り返さないようにして頂きたいですネ。
また、どうせならHDD事業もWDに売っちゃうなり資本投入を求めてみるなりしたら、少しはキャッシュの足しになりませんかネ?どうです?

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ドンキとコンビに、ファミリーマート

2017-08-27 01:02:03 | 企業・産業
…という↑のタイトルはNHKのニュース番組で見掛けたのですが、ダジャレスキーなワタシとしては、嬉しくなりました。

しかしそのファミマ、昨年(2016年)買収したサークルKサンクスとユニーが、特に売上面でパっとしません(資料ページ番号5-7)
そのテコ入れは待った無しという状況で、6月に“検討”を発表していたドンキとの提携を、今週正式に発表した、というコトです。
内容は大雑把に言って、“お荷物”となった総合スーパー業態「ユニー」のドンキ化と、ドンキ店内へのファミマ出店。

ドンキ側にとっては、業績拡大の牽引役が食品+日用雑貨品と総合スーパーに業態が近付く(資料ページ番号9,23)中で、“居抜き”の低コスト出店が期待できます。
同社としては、コンビニ業態への“選択と集中”に向けたリストラを、良いカタチでできる、というコトになるでしょう。また、共同仕入で食料品商材の価格競争力訴求も可能になってくるでしょう。ただドンキ店内併設ファミマという新フォーマットについては…扱う商材次第でしょうが、効果は限定的なような気がします。

一方、ライバルであるセブンアンドアイはというと…
既に前期(2017年2月期)末時点で、コンビニ業態と食料品商材への“選択と集中”の方針を明らかにしています(資料ページ番号2,4,7他)。
今回示された同社の方針は、方向性としてはコレに近いモノ。半年遅れではありますが、同社もライバルをフォローアップする体制が整った、と言えるでしょう。

ファミマはワタシにとっても、最寄り駅から自宅までの経路にある一番使い易いコンビニです。
今回の提携の効果で、より便利になるコトに期待したいトコロです。

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楽天のブランド力

2017-08-24 00:00:00 | 企業・産業
楽天の三木谷社長が先月('17/8月)末に開催された同社のイベント「楽天EXPO2017」で語った、ブランド力向上を目指す方針が、遅れて話題になっています。
特に某巨大掲示板ではν速(嫌諸)でもビジν+でも、ネガティブな反応が大部分。
ブロガーの間でも、否定的な意見が多いように感じられます。

同社はECモール「楽天市場」を中核として、各種の消費者向けサービスを横展開する多角化サービス企業
現在は楽天ポイントをフックとして複数サービスを“繋ぐ”コトで顧客を囲い込み、決済や証券などの金融サービスで稼ぐ、というビジネスモデルです。
テクノロジーで高い便益を提供して顧客のロイヤリティを高めていくという、テクノロジー志向のサービス事業者とは、方向性が違います。
これに対して今回のイベントで目標というか比較対象として挙げられたのがGoogleやFacebook、Appleといったテクノロジー志向の企業ですから、テクノロジー信仰度が高い(であろう)ネット界隈のヒト達からは「そりゃ違うだろ」という反応が出てくるのも、不思議ではありません。

とはいえ、同社の事業が消費者向けサービスである以上、“ブランド力”を強化して消費者のロイヤリティを高めようとする方向性自体は、極めて真っ当なモノです。
日本発のグローバル・サービス企業として、同社には頑張って頂きたいですネ。

ただし現在の外部環境は、同社にとって順風満帆というワケではないのが、難しいトコロです。
サービスの中核である「楽天市場」では、競合に対する相対的な品揃えの強さが、弱まっているように感じられます。
ワタシが最近、クルマの部品をネット通販で購入したのは、Yahoo!ショッピング経由でした。同じ商品は、「楽天市場」では見つからず。
2013年にヤフーが打ち出したYahoo!ショッピングへの出店無料化の影響が強まっているのではないかと思われます。
まぁ、まだまだその差は歴然で、直近の4-6月期における取扱高は同社の8,000億円超(国内EC流通総額)に対してヤフーは「LOHACO」込みでも1,400億円足らず(リンク先資料p.32)
ですが前年同期比の伸び率ではヤフーが上。そろそろ同社にとって無視できない状況になりつつある、と言えそうです。
最大の競合先とみられる(モールは一部で自社販売中心ですが)amazonも、日本での売上を大きく伸ばしています
併せて今度は黒船…ではなく“赤船”がやってくるワケです。

こうした状況下、同社にとってブランド力向上は、喫緊の課題になりつつあります。ソレが分かっているが故の、三木谷社長のお言葉だったのではないかとワタシは推測します。
ソレを実現するための“次の一手”は、同社にとって重要なモノになるのではないでしょうか。
期待して見ていきたいと思います。

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しまラー困惑す?

2017-08-21 01:23:45 | 企業・産業
女性向けを中心とした低価格カジュアル洋品大手である「しまむら」が、ネット通販を検討していると話題になっています。
同社は売上で国内2位世界でも十指に入るアパレル分野の上位企業。
分野が同じというコトもあって、「UNIQLO」を中心に「GU」「Theory」などを展開するファーストリテイリングと比較されるコトも多い企業です。

とはいえビジネスモデルとしては、自社デザインの製品を製造から販売まで一貫して行うファーストリテイリングと異なり、メーカーから仕入れた商品を販売する、純然たる小売業。
その特徴は“一店一品”と言われるほど徹底した多品種少量販売
…でした。最近までは。
ここ数年は、大ヒットとなった“裏地あったかパンツ”をはじめとして、同一商品の大量販売というビジネスモデルを、一部ではありますが導入しています。

一方で出店戦略も郊外ロードサイド中心から都心部重視へと方針転換
…ですが、コチラは店舗数が「思ったほど伸びない」状況が続いています。

そうした中で、競合に対する価格優位を維持するためには、大量販売商品の原価を引き下げるのが、一番手っ取り早い戦略です。
その“出口”としてネット通販というのは、極めて論理的な選択でしょう。
ですが、“一店一品”な従来の同社の特徴からは、また一歩、遠ざかることになります。

個人的には、都心部ドミナント戦略をもっと密にして、しまラーの“買い回り”誘発を狙った方がいいような気がするのですが、どうでしょう?

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続くか経済成長

2017-08-20 12:34:56 | 国際政治・金融・経済
今週の経済関連で一番明るいニュースであったのは、日本の4-6月期GDP速報でしょう。
年率換算で4%とか。
GDP成長率4%つーと、アメリカが“目標”として掲げるくらいで、「どこの新興国だよ?」てなもんです。

構成要素の伸び率で目立つのが公的固定資本形成(≒公共投資)。
前年同期比で実質5%以上の増って…でもそんなに道路工事とか多かった感は無いんですけどねぇ。
まぁ前年マイナスだったし今年はこれから大雨被害対策とか動くでしょうから、4-6月期ほどではなくともプラスが続くんではないでしょうか。

それより寄与度が高いであろうものが、伸び率は1%に満たないものの前期比でも前年同期比でも大きく伸びた(元資料p.2)、GDPの過半を占める民間最終消費。
ワタシ自身は希望職種から外れてしまったコトもあり、消費意欲ダダ下がりですが orz、皆さんおカネ使ってらっしゃるんですねぇ。いいコトです。

この背景にあるのはやはり収入増。特に若年・低収入層のソレでしょう。
有効求人倍率は上がり続けで、人手不足による倒産まで増えだす有様
なんといっても、所属する会社が無くなる状況下でも、ワタシのクビが飛ばない(ソのコト自体は有難いコトなのですけど、ネ)ホドですから、相当なものです。

そうした中で賃金水準が、20代前半は2013年を底に、同後半は2010年を底に、それぞれ緩やかではありますが、回復傾向を続けています。
最低賃金は更に顕著で、ここ数年で上げ幅が徐々に拡大今年も昨年と並び過去最大の上げ幅となっています。
(実質的な)借金してまでおカネを使いたい彼ら・彼女ら若年層の収入増は、そりゃ経済効果ありますワナ。
雇用対策をはじめとする労働関連の諸課題を解決するコトが経済政策の一丁目一番地だというのは、経済学を少しでもカジったヒトにとっては基本だと思うのですが、ソレがあらためて実証されたカタチと言えるでしょう。

今週お邪魔させて頂いたお客様(取材先、ではないのが残念です orz)も「新人さん採るのが大変」と仰ってましたし、この傾向は続くでしょう。
…何も無ければ。

さて、消費が牽引する経済成長を阻害するのは、消費を抑制する政策です。
そうした中、ちょっと先とはいえ「消費税増税は予定通り」行った上で継続的な経済成長を実現するには、他の牽引役が必要なワケですが、その実現性は低いんじゃないかと思うワケです。
アベノミクスは消費税増税で失敗」と評される状況の再現が危惧されます。
安倍首相の“お言葉”は、本気なんですかね?

前回の“手の平返し”の再現を期待したいトコロですが、さて…

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インド人もびっくり

2017-08-14 00:00:00 | 企業・産業
まずはしばらく間が空く前に書いた予想の結果検証から。
まぁ半分はずれ、なんですけどネ(苦笑

インドのスマホ市場ですが、2015年後半は確かに大きく伸びました。とはいえ第4四半期の台数ベースで、前年同期比約3割増
世界市場への寄与度を考えた場合、中国市場の成長減速を補う程ではなく。
…というのは、地域(Circle)毎に電話規格が違うんですねぇ。
結果として国全体では、多くのキャリアがシェアを争う(リンク先6ページ)一方で、スマホの普及スピードは抑えられた、と。
中国の次の大市場として期待されて久しい同国ですが、こうした“競争重視”な経済政策を考えると、我々のような彼らから見て“海外勢”にとっての成長性の面では、少々割り引いて考えた方がいいかもしれません。

これに対して、スマホ市場の継続的拡大の担い手となったのは、やっぱり中国でした。
その中でも、限定モデルのネット通販で人気を煽った小米から、地場ストアのチャネルを押さえて地方で販売を伸ばしたOppoやVivoへの“主役交代”が目立ちました
AppleとSamsungの二大巨頭に加え、Huaweiを加えたそれら新興メーカーがスマホの性能競争を続ける状況下、“APUもメモリもカメラ用CMOS/ISも足りないという状況”が現出したのですが、株式市場がソレに気付いたのは2016年後半。
それ以降、半導体製造装置やディスプレイ製造装置メーカーの株価が大きく上昇するコトとなりました。
足元ではさすがに一段落、といった感じになっていますが。

というコトで、ワタシのブログ中断前の予想は、半分当たり半分はずれ、くらいの結果と評価…していいですょネ?(笑

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再開、するかも

2017-08-09 00:00:00 | 日記
前々回エントリの後、とある会社に正社員として拾って頂き、証券アナリストとしての仕事を楽しんでおりました。
しかし同社が無くなるのに向けて、私はそのポジションを喪失。現在は同社が属する金融コングロマリットの別企業で、違う職務に就いております。

これまでは、このブログや“本家”ブログで書いていたような個別企業の戦略や産業の状況などについて偉げなコト(ついでにw株価予想なんぞも)を書いて給料を頂けていた(それで本業以外にブログで似たような文章を書く気力も無くなっていた)のですが、もうそういうワケには参りません。
でもそういう偉げなあやしい文章を書きたいという欲求は、残っています。
幸いなコトに現在の仕事先は、ブログやSNS禁止ではありません。

というワケで、久々にこのブログをいじってみようかと思っています。
以前の様な頻度というワケにはいきませんが、たまに何か書ければいいなあ。

たまたま見掛けたら「バカなコトを書いてるヤツがいる」と笑って頂ければ幸いです m(_ _)m

株価予想について

※当ブログで2011年4月~2012年1月に開示していた株価予想は、日経平均株価の当日大引け値が、前営業日比で高くなるか安くなるかを、ワタシの独断と偏見で予想したものです。また、それ以外の株価に関するコメントについても、同様のものです。 投資判断は、あくまでも自己責任でなさって下さい。その上で、参考になれば幸いです m(_ _)m

Disclaimer

当ブログは、私、糸井正和の個人的意見を記したものであり、現在・過去・未来における所属企業もしくは契約先企業の公式見解を表すものではございません。また、書かれた内容に関する完全性、適時性等を保証するものではありません。なお、投資にあたっては、自己の判断と責任において行って下さいますよう、お願い申し上げます。直接・間接に関わらず、投資に関する一切の結果について、責任を負うものではございません。