町並み情景工房

⑥命名鬼切りの太刀


「申し渡す!」
「勅命により、大江山の鬼の統領以下,配下500討ち果たし候!」
「なお、当地離散せし者は追うにあらず、帰参は叶わずものと心得よ!」
秀郷の終息宣言”です。
 砦近くに隠れ潜んでいる、鬼の婦女子に、事の顛末を知らしめるべく、大声で叫びました。
 鬼おさの傷の手当に相応期間の滞在は認め、帰り仕度です、
鬼おさの腕の血を、将兵たちは、甲冑や刀、手足、顔に塗り付け、激戦の様を作ります。
両将は、別れを惜しむでもなく、大仕事を終えた満足感だけでした。
 切り落とした腕は、刀を握らせたまま、荷ゾリに乗せ山を下りました、

矢をつがえたままで、待って居る本陣にもどるも、将たちは無言でした、
秀郷も言葉少なく「勝ち戦である、ご苦労であった、戻るぞ」それだけ言い、隊列を組み京へ向かいました、もちろん先頭は「覆う事もせずの鬼の腕」と、馬上の秀郷そして、20人の将、弓隊、

 時は真昼、200人の隊列は目立ちます、家々から飛び出す者も、
道行く者も足を止めて、鬼の腕を指さし、ヒソヒソ・・・
 都に近づくにつれ、その数は増え・・・

隊列を組んだまま、宮中に入り、上皇に鬼長の首を持ち帰らずの、お詫びと火に飛び込んだ顛末の説明と報告、
 陣に居た、検分役の公家は「私もいくさ場で恐ろしい事でした、秀郷殿が長の腕を切り落とすと、無念!の言葉を発し燃え盛る火に・・・」
「それはそれは、見事な最後でごじゃりました」
 すぐそばで見ていたように話しました。

腕は供養のために貰い受けを願い、了承、「但し、与し太刀は”、鬼切りの太刀”と銘し、国の宝とし、内裏に置くゆえ我に返せ」・・・褒美と引き換えもありなので、承知!

その後、弓隊は解散させ、その足で20人の将を連れ、山科の和尚の庵へ報告に行きます、もちろん、荷ゾリにむき出しで置いた鬼の腕と太刀を引いてです、その目的は「無言の20将」とつながる、「鬼の引き回し」です、

和尚は手を合わせ「山城国から山科まで都を横断し、多くの人目にさらされた鬼の腕は、それだけで、充分な供養になったようじゃのう!」
と、腕から太刀をはずしながら、話しかけて、太刀は秀郷に渡し、役目を終えた腕は庭の片隅に埋め、小さめの庭石をのせ、もう一度手を合わせ、

あとは、血染めの甲冑のままの20将が、庭、縁側にも座し、褒美の宮中御用達の上酒で、暗くなるまで過ごし「おのおの戦の顛末無言あるべし!」を申し合わせ、別れました。
  「折れた鬼丸の太刀は、宅の晩酌の定位置である縁側から眺められる庭に深く埋め込みました。

   つづく














町おこしのためのジオラマです。

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