ことばと学びと学校図書館etc.をめぐる足立正治の気まぐれなブログ

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遊びに満ちた、アートとしての学びを求めてpart1(大人のための絵本サロンスペシャルin勝沼を振り返る)

2013年10月15日 | 「学び」を考える

 

 台風の影響で雨模様の今日とちがって、さわやかな秋晴れに恵まれた13日と14日に第3回大人のための絵本サロンスペシャルが開かれた。参加者は、勤務の関係で途中から合流された人も含めて18名。神戸、奈良、群馬、神奈川、地元の甲州市や甲府市、笛吹市から図書館や学校関係者、大学の教員など多彩な人たちが集まった。今回は日本在住13年のドイツ人、インバルト・ラルフさんが『モモ』を使った作戦をやってくださったこともあって、参加者のバリエーション、ロケーション、プログラムの充実度など、過去2回の絵本サロンスペシャルをしのぐものとなった。

今回の案内文にこんなことを書いた。

・・・わたしたちの「大人のための絵本サロン」は「読書へのアニマシオン」の手法を用いて、本を介して出会い、語り合う、大人のためのプレイフルな学びの場をつくることを目指しています。今回は、勝沼の自然や文化的風土とそこに参加されるみなさんが相互にかかわりあって生み出される場の全体をひとつのアートとして楽しもうと思います。(第3回大人のための絵本サロン-秋の勝沼でプレイフルな学びの場を一緒につくりませんか?

この短いフレーズに込めた想いを具体的なかたちにするために、青柳啓子さんがこんんなスケジュールをつくってくださった。

「大人のための絵本サロンスペシャル Vol.3 秋の勝沼編 日程表」

もちろん、すべてが予定通りにおこなわれたわけではない。最初と最後の列車の到着時間と出発時間をのぞいて、途中の時間配分は、大まかな目安に過ぎない。大幅に予定時間より遅れることはあったが、焦ることもなく、ゆったりとした時間の流れのなかで余裕と充実感をもってプログラムを終えることができた。

 この二日間で体験したことを一度に書くのは難しいので、今日は、まず全体の流れと各スポットの紹介をさせていただき、アニマシオンのセッションで考えたことは、後日に報告させていただくことにする。

甘草屋敷子ども図書館

JR中央線塩山駅を下車すると、すぐ眼の前に旧高野家住宅がある。甲州に現存する代表的な民家で、江戸幕府の命を受け漢方薬の原料「甘草」を栽培したことから甘草屋敷と通称される。その母屋の裏にある文庫蔵を改装して現在はこども図書館(甲州市立塩山図書館分館)として使われている。
 
ここでの体験をFBで山本敬子さんが以下のように報告してくださっている。

甘草屋敷と子ども図書館を見学。子ども図書館ではパークライブラリを実施中。敷地内の木陰などに椅子などが番号をふられて置かれていて、同じく番号のふられた絵本セットをその番号の場所で読んでみよう、というイベント。申し込むとスタンプラリーカードをもらえて、ぜんぶ制覇すると、ちょっとしたプレゼントがもらえるほか、参加者は100円で飲み物とクッキーを頂けます。私は4番、ちょっと分かりにくい場所でしたが、魔法をキーワードにした絵本が3冊入ってました。ハンモックやテントも用意されていて、場所の楽しさと自分では選らばない絵本の組み合わせという新鮮さがよかったです。読書後にコーヒーとともに頂いたクッキーは見た目もかわいくて美味♪これで100円とは…!
子ども図書館は、手作り小物の様子や、書架や全体の印象からも、愛情かけて手入れされているように感じられました。大型絵本が集められた小部屋もあり。

ぼくは5番、旧高野家住宅の縁側にざぶとんが敷いてあるところで柿をテーマにした本を読んだ。

 (画像をクリックしてください)
(ブログ甘草屋敷 子ども図書館には、2階内部の様子をパノラマ撮影したものが掲載されている)

勝沼図書館

 ワイナリーやブドウ畑に囲まれた勝沼図書館は甲州市の中央館で、全国一のワイン関連資料のコレクションを誇るという。児童コーナーの資料も充実していて子どもたちが快適に利用できるように工夫を凝らしたつくりになっている。ここは青柳さんの職場で、アニマシオンを通して本の世界を体験する、子どものためのカムカムクラブの拠点でもある。
 ちなみに10月30日まで下記の資料展が開かれている。
平成25年度ぶどうとワインの資料展『みつけよう!平成ワイン文化の芽!~ワイン文化と共に成長する勝沼~』

以下は山本さんのFBより。

その後、葡萄畑やワイナリーに群がる観光客を横目にしながら勝沼図書館へ移動。入口正面の展示コーナーではワイン特集!生産者のコメントも壁にきれいに掲示され、これだけでも読みごたえあり。掲示内容をまとめたオールカラーの手作り冊子も備え付けてあるという力のいれよう。勝沼図書館のワイン関連コレクションは日本一で、文献複写依頼なども多いそう。しかもワインについての記述の多い小説やマンガも収集されており、『美味しんぼ』のワインを取り上げた巻も書架に並んでいました。 

 (画像をクリックしてください)

大善寺

 今回の絵本サロンのメイン会場となる柏尾山大善寺、通称ぶどう寺に到着。養老2年(718年)行基が開いたと伝えられているが正確な創建年代は不明だという。薬師堂は国宝、本尊で平安時代の作風をもつ木造薬師三尊像、干支にちなんだ木造十二神将立像、木造日光・月光菩薩立像は国の重要文化財に指定されている。13日は、その宿坊で宿泊させていただき、広間を利用して、夕食とお茶の時間を挟んで延べ5時間以上にわたって絵本サロンを楽しんだ。

フットパスと縁側カフェやまいち

 翌14日は大善寺から次のセッションの会場となる縁側カフェやまいちに向かう。JR中央本線勝沼ぶどう郷駅の裏手に回ると大日影トンネル遊歩道がある。1999年に新トンネルの開通とともに廃線になったJR中央本線の二つのトンネルのひとつで、2005年に旧勝沼町が無償で譲り受けてフットパスとして活用。トンネルを抜けた先にある次の深沢トンネルはトンネルワインカーヴ(貯蔵庫)として活用している。ワインカーヴの手前200mは個人用、奥の900mはワイナリー各社のセラーになっているという。わたしたちは、その内部の20mほどを見せてもらった後、少し山道を登って下りたところにある、ぶどう農家の三枝喜久子さんのお宅を訪問。三宅さんは数年前から縁側カフェ「やまいち」として地元の産物を使った料理をふるまっておられる。
 
この旧家の仏間で『モモ』を使ったセッションをした後で、食事をいただく。一人1,500円で10数種のお惣菜に味噌汁とクルミごはん。デザートは葡萄のゼリーでした。とても食べきれないので、余った料理はみんなで手分けして残さず持ち帰らせていただいた。手つくりこんにゃくとほたてときのこの煮物。千切りにした人参にたらこがまぶした人参シリシリ(?)。たたきごぼうを素揚げしてカレー風味の甘酢に漬けた牛蒡のたたき揚げ、マヨネーズを使わないポテトサラダなどは、家族への格好のお土産となった。
 
食事の後、お料理を作ったくださった三枝貴久子さんに先祖代々受け継いでいるという30もの三枝家の年中行事などについて話していただいた。お話の途中でぴ~という、長い鳴き声が何度か聞こえたが、あれは鹿の鳴き声ですと言われて、あらためて、このあたりの山の深さを知った。
 この三枝家のしきたりについては、かつてNHKが一年間にわたって取材をして、1時間半の番組を制作、放映されたという。

 (画像をクリックしてください)
 (わたしたちと同じコースを辿った写真がネット上にありました)
勝沼の大日影トンネルと農家で食事

 

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