幹事さんのひとりごと

秋田市 土崎港 壱騎町一区 壹友会 非公式ブログ 語ったもん勝ち

あいつは

2007年09月04日 | 記憶のかなた
高校のころの話だけど。

1年のころ、寮に入ってるのは遠くから入学したお勉強のできのいいお方達。
ただし、田舎出身ばかりなんでお坊ちゃまというよりは泥臭い田舎の子。
通学して来るのは地元で試しに受験して間違えて合格しちゃったような、おかしな
連中が多かった。
名誉のために、みんながそうだとは言わないと付け加えておきますが。

仲のよかったやつらは地元通学のあぶれ者達。
5,6人でつるんでるところへ北海道からの転校生。
ちょっとはじけててどこかみんなとは違ってた。
長髪でエレキ持って、バンド結成するんだと仲間を募って音楽部に入ったり。
みんなでスキーに行くと、そいつはどこからでも直滑降でスピード狂。

そいつは2年(3年?)のときまた転校して行った。
4、5年のときにそいつが秋田に遊びにくるというので、秋田の広小路の
ど真ん中の喫茶店で待ち合わせた。
数人でその喫茶店に行ってみると、奥のテーブルの長イスにどかっとでかい態度で
のさばってやつがいる。

背中まで長髪を伸ばし、ひげボウボウでテーブルに缶ピースなど置いて。

「おめぇ**か?」

「おう!久しぶり」

ってなんじゃいその風体は。
話を聞くと、ヒッピーに憧れて東京の駅周辺でホームレスを経験してたんだと。
金は持ってたらしいけど、残飯分けてもらってみんなとワイワイが楽しかったと。
みんな開いた口が閉じない。

「この中で総理大臣になるやついねぇか?」

っていきなりなにを言い出すんだ?
お前らがそっちに興味ないなら俺やろうかな?
ってをい!!

ノー天気を絵に描いたようなやつで、あんな人目につく喫茶店で会うような
やつじゃなかったと、そいつと待ち合わせした友人が悔やんだ。
やっぱ他の客の視線が気になってたんだな。

帰り際、「ダンボール生活もなかなかいいぞ。生きてるっていう実感がある」
と言い残し、帰って行った。
後に残った俺達は速攻でその喫茶店を後にした。

その後そいつの消息はわからない。
総理になってないことだけは確かだ。


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