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野平一郎=ベートーヴェン「ピアノソナタ第16〜18番」

2017-09-17 | 音楽 - ベートーヴェン
 先日買ったCDを聴いた.野平一郎のピアノによる,ベートーヴェン・ピアノソナタ第16〜18番ほか.

 どのナンバーも,譜面に正確で,どっしりと重心の低いベートーヴェン像.和声の推移によく耳を傾けた演奏であるが,同時に楽想の変化やなめらかさ,曲全体の勢いも決して失われていない.とくにテンペスト最終楽章はこのように徹底したインテンポで弾かれることで,無窮動の持つうねりや高まりが却って立ち上がってくるのだなと思った.いっぽう,18番ではどういうわけだか,やたらベタベタとしたフレージングやペダリングが目立ち,せっかくのコミカルな音楽の魅力を減じてしまっているのは残念(第1楽章冒頭ではメゾ・スタカートをはっきり区切ってドライな演奏スタイルをにおわせておきながら,この方向性は意外だった).録音は,ホールの残響を美しく捉えて優秀.
 併録のプレリュードは初めて聴くが,バッハのそれをそのまま模したようなシンプルな作風が若き日のベートーヴェンの謙虚さを思わせて微笑ましい.


ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第16番、第17番「テンペスト」、第18番
野平一郎 (ピアノ),
ライヴノーツ,WWCC-7419

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