ある映画に出会い、新潟に足を向けた。
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おらシラケ世代、フィクションや作りもんに感動することはまず無い。映画もほぼそーなのだが、、久しぶりに良質の作品に出会いツボってしまった。
それは、瞽女(ごぜ)と言われる盲目の女旅芸人・小林ハルの半生を描いたドキュメント映画。2020年公開だったが、配給力が弱く埋もれた名作と化そうとしている。
おらが小学校上がりたての頃の記憶に残ってるんです・・・
うちは田舎の旧家で、毎年決まった時期になると、どこからともなく正体不明の物乞いのような人が訪れる家、地域でした。
とーちゃんは仕事行って不在、かーちゃん一人しかいない時にやってくるんです。その不気味さたるや半端なく、おら怖くて家の奥に隠れ、かーちゃんは無言で米櫃から一升の米を取り出し、時にはおにぎりを作って、その突然の訪問者へ渡すんです。
この訪問者には3種類がいて、大人になってその違いが分かりました。言葉は悪いですが乞食、虚無僧、そして今回映画の瞽女(ごぜ)さまです。
瞽女(ごぜ)さまは、知らぬ間に玄関に立ち、三味線と共に大声で意味不明の歌を歌います。かーちゃんは直立で聞いた後、施しと労いの言葉をかけると、、瞽女(ごぜ)さまは深々と頭を下げ去って行きます。
子供のおらには全く異世界の恐怖でした。何されるかわからないし、押し込みや山賊の類の無法者に見えたんです。。戻ってくるかーちゃんの顔にはいつも涙があり、、怖かったんだろうなあと思っていました。
大人になり、日本には世界にも類を見ない瞽女という文化があることを知りました。そして、、あの時のかーちゃんの涙の意味もやっと理解できたわけです。
知らねば通り過ぎる歴史の一片、どんな国にも民族にも地に根ざした風習があり。しかし、瞽女さまたちが残した過酷ながらも人間愛に満ちた精神の高尚さは、私たちが決して忘れてはならない、、ガラパゴスジャパンが生んだ唯一無二の世界遺産だと思うのであります。
全編新潟ロケ、現場の臨場と文化遺産として残された真実を肌身で知りたく舞台となった各地を訪れてみました。
まず、どんな作品なのか?。トレイラーはこちらです↓
少ないながら今でも公共施設等で小規模上映が行われています。福祉や文化的価値が高く、作品はDVDで皇族(上皇后さま)へも献上されました。
市販DVDがないかと制作会社に問合わせたところ、発売予定は無し。ただ、本社(東京)では今年10月一杯まで週末のみ上映してるとのこと。
行ける方は是非足を運んでみてください!
株式会社キッズ 映画 瞽女 GOZE 製作委員会
東京都江東区牡丹3-25-8 TEL.03-5621-6622
地下鉄・門前仲町から徒歩で行けます。
どんな内容かと言うと、、
以下、公式サイト&トレイラーからのカットとロケ地訪問画像です。
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↓生後3ヶ月で失明したハルは2歳のとき父と死別。盲目の為に七歳で瞽女になる、それまでは優しい母であったトメは、瞽女になった時から心を鬼にしてハルを厳しく躾けます。それは、母親が子を思う愛情の深さだった。
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その母親の優しさに気がつかないまま八歳でフジ親方と共に初めて巡業の旅に出ます。その年、病が悪化して母トメはこの世を去る。死別の際、ハルは自分を虐めた鬼である母親に涙一つ流しませんでした。
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苛酷な瞽女人生の中でハルは意地悪なフジ親方からは瞽女として生き抜く力を、優しいサワ親方からは瞽女の心を授かります。ハルは言う「いい人と歩けば祭り、悪い人と歩けば修行」と・・・・
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ロケ場所にも行ってみました。
製作委員会や瞽女ミュージアムで聞いた情報を元に、執念で探し出した!!
↓親方(真ん中)と共に瞽女修行に出る少女ハル(後方)
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新潟市「夏井のはさ木」で撮影されました。ここ↓
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↓はさ木はこの地方独特な風景。この作品の重要な重しとなっています。
訪問した際は丁度、稲干し後の取り込みをやってる最中、地域有志による記録映像撮影も行われていました。
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↓大人になったハルが門付け(挨拶周り)するシーン
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↓庄屋さまの屋敷で瞽女唄を披露するシーン
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これらは上越市高田の名家、白田家で撮影されました。ここ↓
今でも居住する民家のため中には入れません。年に1度公開があります。
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↓瀧本家。白田家と同じ庄屋格で高田4名家の一つ。
瞽女文化は各地の名士・庄屋格に大事にされ保護されてきました。
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↓時が過ぎハルは親方となり、弟子の娘に過去の自分を見て行きます。
様々な困難を経て親方になったハルは、初めて幼い弟子ハナヨを向かい入れます。何も知らないハナヨを瞽女として生きていける様にとハルは厳しく躾をした時、自分が幼い頃母から鬼の様に厳しく躾けられる姿が走馬灯のように浮かび上がります。
その時、ハルは自分を愛してくれた母親トメの慈愛の深さを知ることになるのです。
その時、ハルは自分を愛してくれた母親トメの慈愛の深さを知ることになるのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/5d/03d2aec8c943889c78e6203fd465337a.jpg)
↓高田瞽女ミュージアムの玄関上りはなで撮影されました。
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キリがないのでこのへんにしときます。
3日間キャンカーとロードバイクを駆使し巡礼してきました。。勿論、現場ではこんなことやってる人、、ゼロでした。
瞽女さま最盛期の人口は、今回訪問した上越市高田に約80人がおられたそうです。最も多かったの地区は飯田で400人、すごい人数です。
それぞれ、高田瞽女、飯田瞽女と言われています。
彼女たちは豪雪や暑さに耐えながら地方を巡り、唄の形に変えた心を届けてたわけですね。。そのうちの幾人かが、はるばるおいらの埼玉まで巡業に来られてたわけです。
瞽女文化は、人間の精神が成しうる究極且つ非常に高尚な文化であり、この国の歴史に脈々と流れる日本人の豊かなマインドセットが凝縮、体現されたものでした。
映画視聴者のネット上の批評を見ると、大半は高評価なのですが、やはり若い世代は人の慈愛より外形しか見えない方も多く、海外ではただの虐待映画と評する方までいました。それでも、昨年欧州で開催された映画祭では、グランプリに相当する賞を受賞し、洋の東西問わず分かる人には分るってことなのでしょう。
高田にある瞽女ミュージアムを訪問した際、係の方が説く盲目であっても誰でも平等に生きる権利、決して虐げることなくそれを当たり前に受け入れ、支援をしてきた社会、残すべき豊かな史実、愛に満ちた多くの貴重な資料に触れ、見事にそれを実現していた昔の日本に、、想いを馳せずにいられません。
瞽女と地域社会との関わりは、日本の福祉制度の基礎になったとも言われています。互助と慈しみが生活に密着し自然と成立していた世界だったんですね。
荒んだ現代、原点に戻るための最高の作品です。
みなさんも是非ご覧になってください。
新潟に来て一週間、名所旧跡を巡っています。
良寛和尚生誕の地より(^^)/
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