地理バカ日誌 ☆*:. 地図の園 .:*☆

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             by まつおか秘密研究所

今年のセンター試験「地理B」の問題から・・・

2016-01-25 20:17:37 | 学問
 また授業ネタを探してて・・・2016年の大学入試センター試験(本試験)の「地理B」に良さそうなのが出題されていました。

 第6問、地域調査の問題、岩手県北上市とその周辺地域が対象の、「問1」です。

  

 この範囲の南部には日本最大級の扇状地とされる胆沢扇状地があります。ただし、この扇状地自体は問題のネタになってないようですね。

 で、問1は、図1中の「エ」の上空からそれぞれの矢印方向を見た場合に、どのように見えるのかを図2の①~④から選ぶというもの。

  

 「エ」からだと目の前に胆沢扇状地の扇頂から扇状地上部が見えて、そこから右手に扇央、扇端、北上川の沖積面となだらかに広がって見えるはずですから、①だとすぐ見分けがつきますが・・・受験生一般にとっては、どうですかね。

 もし、そうじゃなければ、「ア」と「ウ」は視野の右半分に山地・丘陵地、左半分に平地、という位置関係、「イ」と「エ」は逆に視野の左側に山地・丘陵地、右側に平地、という位置関係になりますから、「ア」「ウ」は②④、「イ」「エ」は①③です。さらに、「イ」と「エ」の大きな違いを言うと、「イ」はちょうど山地・丘陵地と平地の境の上空から見ているのに対し、「エ」の足元は山地・丘陵地ですから、すぐ眼下にはそれが見えるはず。そう考えると、正解は①と絞れますね。

 なお、上の図1は新聞に載っていたものをスキャンしたため見づらいですが、本物の問題冊子だともっと見やすいはず(?)。
 ということで、図1と同じ範囲の地形陰影図を数値標高データ(10mメッシュ)を使用して描いてみました。

   マップ048
  

 そして、あらためて「ア」~「エ」から見た(数値標高データを用いた)鳥瞰図を描くと、
 ※ 高さ方向を2倍に強調して描いています。
  「ア」
  

  「イ」
  

  「ウ」
  

  「エ」
  

 という具合。図2のものとは、視点の位置や高度、見る方向がちょっとずつ違うので、見え方も全く同じにはなりませんが、おおよそのところは解るかと。
 ※念のため、図2の①は「エ」、②は「ア」、③は「イ」、④は「ウ」と対応します。


 最後に、胆沢扇状地は、学校の地理の授業で習う普通の扇状地とは性格が異なります。普通の扇状地は約1万年前から現在までの完新世(沖積世)にできたもので、沖積平野の一部として存在します。でもこの胆沢扇状地はもっと古く、約
万年前より古い更新世(洪積世)に形成された扇状地で、その意味では扇状地というよりは授業で「台地(洪積台地)」として習うものと同質とも言えます。また、胆沢扇状地は形成後に台地と同じように侵食を受けて段丘化しており、何段もの段丘面からなる階段状の地形になっているという面白い地形の場所でもあります。

  
 ※ 扇状地の北側から見ています。黄色い線は図1の南側図郭線にあたります。
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