百合とオレンヂ城Ⅱ

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天地明察

2012-10-08 23:20:00 | 映画

天地明察(てんちめいさつ)

 現在公開中の映画『天地明察』、
原作は『マルドゥックスクランブル』
の沖方丁が書いています








 碁と算術の達人・安井算哲(主人公)が
(保科正之や水戸光圀などの後押しを受けて)
新しい暦作りに挑むお話です。



 算術や天文など、ともすれば難しくなりがちな
テーマを監督の滝田洋二郎や中井貴一などの
芸達者な人たちのお陰でエンタメ性の強い娯楽作に
仕上がっています。


 また保科正之や水戸光圀などの実在の人物が
出てくる楽しみもあります。







 
 不思議な縁でだんだん結ばれていく算哲と妻のえん。
 
 算哲を妻えんは待ち続けます。

 個人的には安井算哲と妻えんが迎えた不思議な
不思議な結末が印象に残りました。
 
  
 宮崎あおいさんは可愛いですよ♪








 出番は少ないですがコメディリリーフの2人
です。

 この味は、おじさんとおじいさんにしか
出せないと思います(笑)


 江戸から小田原まで歩数と算術だけで天文を予測する
岸部一徳が笑えます(行進がまたおかしいw)
 あと魚を間違えたりとかw


 
 



水戸光圀(水戸黄門) 

 中井貴一が水戸光圀を良いキャラにしています☆
水戸光圀が水戸黄門なのはわかりますよね?


 水戸光圀公は世界地図や地球儀、望遠鏡を
安井算哲にあげたり、といろいろ協力したり
また、かばってもくれます。


「肉うまいか?」「はい」「うそつけ」

と軽妙な会話もあります。


 光圀公は西洋かぶれで部屋にワインや西洋甲冑が
あるんですが本当なんですかね?


 沖方丁は光圀公がお気に入りのようで『光圀伝』も
執筆し現在サムライエースでマンガ版が連載中です。







保科正之

 この人も実在の人物です。

 3代将軍・家光の弟で4代将軍家綱を補佐し
後に会津藩(新撰組で有名)の藩主となります。


 『八重の桜』の会津藩の家訓を作ったのは
この人です。



 安井算哲は朝廷や幕臣に睨まれることもあるので
こういう偉い人にかばってもらう必要があるのです。




 それと私は神主の資格を持っているのですが
山崎闇斎が重要人物の1人として出てきたのが
嬉しかったです。


(神主の勉強をすると山崎闇斎は必ず習うのです)


 今『儒家神道』の本を引っ張り出して山崎闇斎の項を
読んでいますがそこに主人公の安井算哲の名前があり
ビックリしました!








 そして算哲の前に立ちふさがる京都の公家や幕臣

 ものすごい屁理屈で邪魔をしてきます。


 しかし、そこは囲碁の達人の安井算哲。


 自らの理論の正しさを証明するために、
持ち前の勝負っ気と、民衆を巻き込んでの
一か八かの大勝負に持ち込みます。


(囲碁などの勝負は見せてなんぼなのですね)

 


 以下、余談ですが・・・


 なぜ安井算哲は水戸黄門などの
エラい人たちとの付き合いがあったのか?


 それは囲碁を通じて、いろいろな人たちと
付き合うことができるから。


 つまり囲碁の人付き合いのネットワーク


 これなかなかたいしたもんで、知識人
だけでなく、囲碁を通せば身分の低い人と
高い人でも対等に付き合えるからいいんですよ。


 その典型が大久保利通(るろ剣にも出ました)
大久保利通は囲碁でネットワークを作ることが
できることを知っていたから囲碁を学んだのです。



 で本作に出てくるのが囲碁の本因坊戦で有名な
本因坊道策。


 『ヒカルの碁』にもちょっと関係があります。






暦について
 
 天地明察は江戸時代・4代将軍家綱の治世。

 古い暦を800年の長きに渡り使用し続けてきた
ので暦にズレが生じてしまいました。


 例えば日蝕月蝕を予想しても当りません。
つまり日蝕月蝕は不吉なので避けたいのに
当らないのは困る、という訳なのです。


 また大安吉日など吉凶の日もズレるので非常に
困るのです。



 800年も使い続けているのが『宣命暦』


 算哲が新たに用いるは『授時暦』は中国の
元の暦です。


 『授時暦』は正確なんですが、測定されたのが
北京なので、その分ズレがあります。

 
 測定する場所が北京と日本というズレです。


 これは光圀公の地球儀や世界地図でわかるのですが。

 ズレているならば自分たちで新しい暦を
作ってしまおう、ということになりました。




 幕府の役の天文方は1年かけて来年の暦を
調べます。
 
 それは日本全国を歩きまわり星、日月、月蝕日蝕を
測定し続け年末に結果を出して来年の暦を決定します。


(これに吉凶の日にちも決めてのせます)


 日本でカレンダーが年末に出るのは、このなごり
らしいです。


 ただ、どうしても若干のズレが生じます、
これを4年に一度のうるう年=2月29日を
設けることで修正するそうです。


 暦を作るには数学が必要な訳です。



 なにわともあれ安井算哲は新しい暦の
『貞享暦』を作ることができました。
 ちなみに最初は『大和暦』だったんですよ。



 新しい暦の『貞享暦』を作った安井算哲は
日本地図を作った伊能忠敬、樺太が島であることを
発見した間宮林蔵に似ていると思います。
 

 どれも数学が必要ですし、測定のために
全国を歩きまわるのも似ていますね。



 というか本作に登場した関考和(市川猿之助)の
数学を用いて、伊能忠敬や間宮林蔵は日本地図や
樺太の地図を制作したのです。