百合とオレンヂ城Ⅱ

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バットマンビギンズ&ダークナイト

2008-12-10 21:44:00 | 映画

バットマン ダークナイト

 
 
◆はじまりのバットマン ビギンズ

 前作バットマンビギンズで、
何故大富豪ブルース・ウェイン
がバットマンとなるかが
語られます。

 
 ブルースは少年時代、両親がチンピラのチルに
撃たれます。 
 
 その後の聴聞会でチルは無罪となり、ブルースは
怒り心頭、チルを撃ち殺そうとします。
 この時ブルースの心の中には殺意という悪の心
がありました。

 この時ブルースにとっての全ての悪はチンピラの
チルでしたが目の前でチンピラがゴッサムシティの
マフィアのドン・ファルコーネの部下に撃たれた事
により更に上の悪の存在がいる、と
気づいたかもしれません。
 
 ファルコーネは映画の中ではたいした敵では
ありませんが、この時のブルースは全く歯が
立ちませんでした。

 更に強い力を手に入れる、その為に世界を
放浪したり自身の恐怖の根源であるコウモリの
姿を模した訳です。
(ブルースは子供の頃、井戸に落ちて暗闇から来る
コウモリを怖いと思いました)



 
 思うに監督のクリストファー・ノーランは
人の心には誰しも悪がいる、と言いたいのかも
しれません。
 
 ビギンズではブルース自身悪を知ろうと自ら
世界を放浪し犯罪にも手を染め収監されて
いた訳ですし。
 
 また恐怖も克服できるし悪にも染まらないで
克服できる、とも言いたいかもしれません。
 
 ビギンズのデュカードとの修行のシーンや
ダークナイトのクライマックスの二隻の船の
シーンで人々がついにジョーカーの悪の誘惑に
打ち勝ったシーンからうかがえます。


 

 そしてラスト、ゴードン警部からジョーカー
のカードを渡されてビギンズからダークナイト
へと行く訳です。 



◆ビギンズからダークナイト

 
 アメコミには、普通の人が薬品やら光線で
怪人や超人に変身する、一回死んで復活する、
というお約束があります。


 スパイダーマン、ファンタステイック4、デアデビル
等ほとんどの作品が当てはまります。
 
 ダークナイトのジョーカーは特異な存在で
、最初から怪人として登場します。
 
 そして指紋もDNAも存在しない事から私には
ジョーカーが人間だった頃を想像できませんでした。
 
 あの顔の傷の話もウソでしょうし素顔が出る事
もないからです。

 
 まるで、ゴッサムシティのマフィアたちの願い
を聞いたランプの精やティンカーベルの様に
ふっ、と現れたのでは?
とすら思えました。
 
 ただし、かなり邪悪な妖精さんでマフィアたちが、
その邪悪さに気づいた時は遅すぎましたが。



◆ダークナイトは傑作?

 映画のブログを周ると好意的な意見が多いです
しダークナイトは全世界で
『ロード・オブ・ザ・リングス』
『タイタニック』
『パイレーツ・オブ・カリビアン』
に迫る勢いの興行だったそうです。
(日本では並みのヒットに留まる)

 
 ジョーカーの目的が人の心に潜む悪を呼び覚ます、
というテーマがあるのもわかります。
 
 ビギンズで復讐心にとり付かれたブルース
の心に悪の心があった、という演出にも
つながります。
 
 だからジョーカーは自らの身をバットモービル
の前にさらしてまでバットマンを悪の道へ堕と
そうとする訳です。
 
 悪でも殺さない、というバットマンの
誓いを破らせる為にです。
 
 バットマンは悪の道へ堕ちないからこそ
ジョーカーを殺さなかった、というのも
わかります。
 
 バットマンに「レイチェルとデントのどちらかを選べ」
という二者択一を迫り、

(グウェンと市民の乗ったロープウェイという
選択を迫られたスパイダーマンみたいです)

その結果ハーヴィ・デントがトゥー・フェイスに
堕ちた、のもわかります。



 ただ監督のクリストファー・ノーランは良い題材
があっても、テーマがあっても見せ方が平凡すぎて
あまり面白く見えません。

 
 ビギンズは、両親を撃ったチンピラ・チルの
聴聞会から、マフィアのボス・ファルコ-ネ
チルの精神鑑定をしたクレイン博士=スケアクロウ、
 そして意外な黒幕と計画、だんだんと糸が
つながっていく展開は面白い…ハズなんですが
撮り方が平凡すぎて全然面白く見えません。
 
 
 ダークナイトも他に怪しいアジア系IT実業家とか
小物なマフィア軍団とか、ブルースと執事の
アルフレッドの癒し系(笑)な関係とか
面白そうなんですが全然面白く
見えないんですよね。



「アメコミとか普段見ないけど、これは例外で面白かった」
とか言われるのが一番嫌ですかね。




 余談ですがアジア系IT実業家の演出はあきらかに
ウサンくさい奴にしか見えません。

 アメリカ人は裏でこそこそ隠れて陰謀を巡らす人間を
特に嫌いますが、それがアジア系IT実業家に現れて
います。

 だからこそ『Aチーム』のハンニバルのように
「裏でこそこそしてる奴を表に引きずり出してやる!」
と叫ぶ訳です。

 そしてモニター越しに指示を出していたIT実業家を
引きずり出して火あぶりの刑にするのです。

 中世では火あぶりのまきの代金は受刑者の親族が
払ったそうですが、IT実業家を火あぶりの刑にした
まきがIT実業家の札束というのも何か皮肉めいて
いますね。




◆最狂ハーヴィ 最強バットマン 最凶ジョーカー

 ちなみに私はどのキャラも淡々と見ていました。
バットマンとジョーカーが一枚のコインの裏表、
という意見をよく見ますが全然そうは
思えませんでした。


 「コウモリや道化のカッコウをしているオカシイ奴」
という共通点しかないと思います。

 『バットマン ゴッサムナイト』の一編に
バットマンが体から変なオーラ(?)を出してる
のがあるのですが、もしかしたら一般市民の
中には「バットマンは変な人?」と思う人がいる
のかもしれません?

 

 
 ハーヴィも最初コインで運試しをしていた、
のが伏線で、トゥーフェイスになってからは
裏切り者とマフィアを次々と手にかけていく
(これもビギンズのブルースの復讐と対比して
いるんでしょうが)
訳ですが、その時も「お前の運命をこれで決める」
とコインチェストをし、それで殺すか、殺さないか
を決めますが…。
 
 どう見ても「殺したい奴は絶対殺す」とムキに
なってる様にしか見えないんですが?
 
 それは運は全く関係ありません。
 
 ハーヴィを同情的に描いていますが、全く
共感のできない人物でした。



 
 
 ジョーカーも、そんなに手強い相手には見え
ませんでした。
 
 戦ったらバットマンの方が強いのは間違い
ありませんし。
 
 遠隔からの精神攻撃を得意としているジョーカー
ですが、どれもハリウッドの映画の派手で大味な
アクションにしか見えませんでした。
 
 どうもダイ・ハード以降ペラペラと喋るだけの
悪役が増えた事が映画をつまらなくしている
気がします。
 
 
 それぞれの演技は、上手いとは思いますが
騒がれている程、唯一無二の演技とも
思えません。





 ジョーカーの「何をかんがえてるかわからない気まぐれ」
トゥーフェイスの「善と悪の二面性」「法と正義、運命」
は実はアメリカの映画ではよくある演出です。


 例えばジョーカーとトゥーフェイスを足すと
『ノーカントリー』の殺し屋みたいになりますし。



 オチの『ダークナイト』の意味もこじつけに
しか見えませんでした。