万葉集ブログ・2 まんえふしふ 巻九~巻十

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1757 高橋虫麻呂歌集

2010-10-24 | 巻九 雑歌
登筑波山歌一首(并短歌)

草枕 客之憂乎 名草漏 事毛有哉跡 筑波嶺尓 登而見者 尾花落 師付之田井尓 鴈泣毛 寒来喧奴 新治乃 鳥羽能淡海毛 秋風尓 白浪立奴 筑波嶺乃 吉久乎見者 長氣尓 念積来之 憂者息沼

草枕 旅の憂(うれ)へを 慰(なぐさ)もる こともありやと 筑波嶺(つくはね)に 登りて見れば 尾花散る 師付(しつく)の田居(たゐ)に 雁(かり)がねも 寒く来鳴きぬ 新治(にひばり)の 鳥羽(とば)の淡海(あふみ)も 秋風に 白波立ちぬ 筑波嶺の よけくを見れば 長き日(け)に 思ひ積み来し 憂へはやみぬ


筑波山に登る歌一首(ならびに短歌)

「“草枕”旅の憂いを、慰めてくれる、こともあるだろうと、筑波山に、登ってみる。ススキの花穂が散る、師付の田に、ガンが(飛んで)きて、寒々と鳴いている。新たに開墾された、鳥羽の湖も、秋の風に、白波が立っている。

筑波山の、よい(風景を)見れば、長い(旅の)日に、(さまざまな)思いが積み重なってできた、憂いはすっかりなくなった」