銀座という街は、ふとした細い路地に、なんとも趣あるお店があるんだな・・・
と、ちょっとした散策をして思ったことがある。
並木通りから、これまた細い路地の「こんなところにお店が?」 という辺りに 卯波 もある。
この日は卯波の常連さんでもある方に連れていってもらえたから良かったのだけど、
こんな小娘一人だったら、入るのに勇気が要ってしまいそうな、年季ある “こぢんまり”とした佇まい。
とはいえ、格子の小さな入口から漏れている淡い光と暖簾に、なんとも懐かしい匂い。
お店の中に入ると、いきなり若い店主とバチっと目が合った。
にっこりと笑顔で 「いらっしゃいませ。」 という穏やかな雰囲気に、ほっ・・・と。
小さな入口の幅はそのままだけど、奥にひろい。
2Fもあるらしい。
でも、L字の小さなカウンターがとっても良い感じなのだ。
何よりも、そこから見える大皿料理が美味しそう〜〜〜。
まずは生ビールのエビスで乾杯。
お通しは、茹でた空豆、これがウマイ。皮まで食べられる。
この日の料理は店主の今田さんにお任せにしたという。
最初は 筍 。
「今年初めて作りました。お味、大丈夫ですか?」 と聞いてくれる、その真摯な姿に感心してしまう。
筍の旨味がしっかり味わえて、歯ごたえもシャクシャクシャクシャク。
充分美味しいです。
こういうお料理には、やっぱり熱燗が飲みたくなってしまう。
置いてあるのは白鷹 本醸造 と あさ開 純米酒 。
冷酒用もあったけど、忘れてしまった。
お連れさんが先に一杯やっていた白鷹がなくなったので、
白鷹 と あさ開 を一本ずつ追加、お猪口も2つ用意していただいて、飲み比べなんかも。
白鷹の後にあさ開を飲むと、違いが全然違うのが分かる!
白鷹のツルンとした女性らしい味わいに比べ、あさ開はどっしりした男らしい感じ。
お連れさんの 「何でこの2本なんだ?」 という言葉に、
すかさず 「え?本醸造と純米酒の違いで2本なんじゃないすか?」 と自分。
今田さんもウンウンと頷いた。
やっぱり本醸造が好きな方と純米酒が好きな方と、に合わせてなんだろうな。
でも・・・白鷹さん、ごめんなさい。
自分は、あさ開の後に白鷹だと、薄ーく感じてしまってダメだぁ。
さて、飲むお酒も決まったし、お料理は今田さんにお任せするだけ。
こんな何も考えなくて落ち着ける飲み方もいいものだなぁ。
この日一番オススメという エテカレイ は良い色に焼かれている。
ふっくらした身は、ほんのり甘く、上手な塩加減。
やけにお腹が太ってるな、と思ったら卵が入っているではないか!いいですね〜。
それに、一人一匹ずつというのも嬉しい。
最初は多いかな?と思ったけど、なんのその。
ちょびちょびつまんでいると、止まらない。
エンガワもしゃぶり付き、お頭まで箸でつつき、背骨と頭骨だけになってしまった。
BGMは何も無いけど、飲みながら喋っているお客さんの声や、
今田さんの調理している「カチカチカチ・・・」というガスの音、鍋を置く音、水の音がうま〜く混ざって、
なんとも心地よく耳に入ってくる。
不思議な空間だな〜。
今田さんも手が空くと、お話しに喜んで混ざってくれるから嬉しい。
卯波は、もともと今田さんの祖母であり俳人でもある 鈴木真砂女 さんが開いたお店という。
数年前にお亡くなりなってからは、今田さんが受け継ぎ、今日に至るんだとか。
恥ずかしながら、俳句の世界のことは自分は良く知りません・・・。
でも、このお店にやってくる昔ながらの常連さんや、飾られている俳句や写真、
そして、この小さな厨房にあるもの一つ一つを見ると
真砂女さんが築き上げてきたもの、それを守ろうとしている今田さんの努力を垣間見れた気がした。
[ 卯波 ]
銀座一丁目から徒歩1分
東京都中央区銀座1-5-14
03-3561-3408
5時〜10時半
定休日:土・日・祝
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます