maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

年神(トシガミ)-1

2015-01-18 12:06:25 | 支離滅裂- 迷想迷夢-年神(トシガミ)

あんた誰?
<お断り>
例によりまして、記事の内容は特定の団体や個人とは全く関係ございません。
たまたま同名団体や個人が実在しておりましても、全くの偶然です。
アレレ?と思い当たられる方があってもそれは思い過ごし、決して貴方がモデルでは有りません。
</お断り>


「お茶にしょうや、ささ、皆んな来て座りなはれ。」
「マゴも一丁前に『要る~!』言うやろうから、え~っとオバァちゃんとでお茶が十やねぇ」(*1)
「うえ~ん、ない~っ!」
「何でやねん?ちゃんと孫のも用意したやろうに?誰か欲張って両手に湯呑み持ってる奴がいてるんかいな、ひいふうみいと、ん九つしかお茶が出てないで」
「そんなことあれへんでしょ。ちゃんと十いれたよ!」
「淹れたも、惚れた、腫れたも、有れへん、十までの数勘定を間違うかいな、念の為に指折り勘定して小指が折れてないのや。」

ズズズッ、ア~ッ、!ズズッ、ア~ッ♪
「オイオイ、机の下で誰かお茶飲んでるで」
「えっ?皆んな居てるやんか、他に誰が居るねんな、気色の悪い事言わんといてや。それにこの低い机の下に誰にも気付かれんと入れるわけが・・・、ワ~ッ、あんた誰や!
「熱~ッ!突然大きな声出すよって、ビックリした拍子に熱いお茶をゴクッと呑んでしもたがな!大体折角のエエお茶やのにお湯が熱すぎるよって、渋みが出てしもてまんなぁ。ねぇ奥さん、番茶やないねんから、こういうお茶は八十度くらいのお湯でいれんと勿体無いでっせ。」

「えらい納まってはるけど、あんさんホンマに誰で、、何故、何処から何時どんな風に入ってきましてん?」
「これは又物知らずな、この姿(ナリ)を見て判りまへんか?」
「勝手に入ってきといて”物知らず”とはご挨拶でんなぁ、なんです?その安手の神主みたいな貧相な扮装(ナリ)は!」
「もぉ、判ってるのに知らん振りして、イケズ!」
「気色わるいなぁ・・・。あんたみたいなオッサンにイケズ言われても、判らんもんはしょうおまへんがな。」
「今日は何の日か、よもやお忘れでは無いでしょうなぁ?ハイ、何の日!」
「机の下から人を指差しなや。どついたりせぇへんよって、とにかく此方(コッチ)へ出てきなはれ。」
みよぉ~ん♪

「怪体な出方したねぇ!もがきもせんとヌルッと出て来たやんか。それに何やいな、顔が大きいからもっと背があるかと思うたら、マゴと大して変わらん背丈でえらい頭でっかちのブッサイクなおっちゃんやねぇ。」
「お言葉なれど顔の大きさと不細工加減では貴方が上。」
「さっきの約束取り消し、何が何でも一発どつかして貰う!」
「ひぇ~っ!」
「おっ!飛んだ。カミさん蝿叩き!」
「はいよ♪」
ペシッ、ポテ。

「他愛の無い、もうちょっと手応えが有るかいなと思えば、ドン臭い奴やなぁ。待てよ落ちついて考えたらコイツ宙に浮かんでたで。ひょっとしたら只者や無いかも知れんぞ!」
「え~ん、え~ん、罰当たりめが・・・」
「えらいすんまへん、大体サッと蝿叩きを出されたもんやから、つい何時もの癖でペシッと・・・」

「あらっ、私が蝿叩きを渡したのが悪いとでも?」
「いやいや、そうやないけど、お前等ゲタゲタ笑うてんと、何とかせぇよ!」
「おろっ、とばっちりが来ましたよ。お義兄さんどうぞ、」
「えらいすんません、うちの親父は後先考えんと行動するのが若い時からの悪い癖ですねん。ところで改めてお訊きしますが、一体全体あんさんはどなたさんです」

「そやから、言うてるやろな、今日は何の日?」
「何と言うこともない普通の日曜日でっせ。」
「そうやねんなぁ、それでわたいも要らん苦労をしてますねん。後十日ほどの辛抱やが、この中休みがダレまんねんなぁ」
「もしもし、何を訳の判らん事をぼやいてますねん。あんた一体何です?」
「よっく聞け、我は年神なるぞ」
「何やねん、通し紙て、落し紙の仲間かいな」
「失礼な、年紳(ネンシン)!」
「仮面ライダーの出来損ない?」
「何で?」
「今、へんし~ん(変身)言うた」
「”へんしん”ちゃう”ね・ん・し・ん!”一年二年の年にカミサマの神。正月の神やがな。」

「え~っ、それが又なんで時期遅れに今ごろウチに!」
「そないに迷惑そうに言われると、かなわんなぁ。実は私イラチでね、一本早い便に乗ったら暮れの二十九日についてしもてん。さぁ、来ては見たものの、赴任 を指示されてる大晦日の夜明け前後までには間がありすぎる。困ったなぁ、野宿かいな、悪餓鬼のオヤジ狩りにでも遭うたらワヤやなぁ、と思いつつ、赴任先の お宅はイラチでやたけたの家系だけに『苦を呼ぶ』てな事も気にせんと、ひょっとして29日に松飾の着陸準備ができてるかも知れんぞ、と来てみたらやっぱり 早手回しに着陸場所の印がついてたねぇ。是幸いとお邪魔して、かれこれ一月になりまんねやわ。」
「おいおい、だれぞ何か印付けたか?ところでそれはどんな印ですねん。」
「玄関に男松女松を付けたであろう。あれこそ年神招来の印、依代(ヨリシロ)なるぞ。」
「急に口調を変えなはんな、如何にも言い難そうでっせ。へぇ~あれがそうでっか。」

「何やねん、知らんとしてるんかいな。今日日(キョウビ)はこういう”やたけた”なんが増えて、やり難うてどもなりまへんわ。ほんでも、まだ門松してるだ けましや。最近はそんなん無しの家が増えて、おまけにマンションなんぞ鉄扉が多いから、強行着陸するのん命懸けでっせ。皆難儀してまんねん。」
「それにしても、もう正月はとっくに済んでしまいましたで。」
「あんたの言うのは太陽暦の正月、ほんまもんはこれからやがな。」
「これからて旧暦の正月でっか?」
「旧暦?その言葉は聞きとうないなぁ。暦といえばお月さんの満ち欠けを元にしたのが真っ当正真な暦。最近は本物を知らん輩(ヤカラ)が増えたいうてツクヨム(月読)さんが嘆いてたで。」

気分転換に始めたけれど、何時もながらの無計画。
さぁこの話、無事着陸できるかいな?
「強行着陸失敗、尻切れトンボで突然お終い。すんまへん」てぇのもシュールで粋かもなぁ・・・。


2005/01/31
*1 このヨタ話をHPにアップした当時、母は存命しており、マゴ三号は生後5ヶ月、マゴ四・五号はまだ生まれていませんでした。

年神(トシガミ)-2


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