maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

観梅の妄言-5 転の巻

2006-02-06 20:11:27 | 支離滅裂-迷想迷夢-観梅の妄言

<お断り>
例によりまして、記事の内容は特定の団体や個人とは全く関係ございません。
たまたま同名団体や個人が実在しておりましても、全くの偶然です。
アレレ?と思い当たられる方があってもそれは思い過ごし、決して貴方がモデルでは有りません。
まさかとは思うけれど、どんな勘違いをされるやも知れんのでお断りして置きます。
話の都合上一人称を使っておりますが、これは現実の私のことを書いてるんやおまへん。
あくまでも虚構、フィクションでございます。
ハックション!誰か噂してるんかいな?
</お断り>


竹林の陰に来た所で突然カミさんが立ち止まったんです。
それも普通の立ち止まり方や無い、急に電池が切れたみたいな不自然さでね。
不自然といえば、この話そのものがそうやねんけど、まぁよろしいやんか。
あんまり細かい事を言うてると出世出来まへんで。(ん、この台詞は前にも言うたような気が・・・。)

一体どうしたんかいな?と見ると目が虚ろになってますねん。
ありゃお腹が空いたのか、それとも貧血かいな?
ふらっと倒れ掛かるのを抱きとめたら、長恨歌やないけれど、侍兒扶起嬌無力(侍兒扶け起こすに嬌として力無し)。

これはこれは♪久し振りやがな!と念入りに抱かせて貰いましてん。

エエやんか、抱きしめるくらい。
ちゃんと婚姻届を三十数年前に出してるねんから。
しかしこの状態でカミさんに「痴漢!」とでも叫ばれたら、説明しても通るやろか?
そんな懸念がチラッとよぎったものの、直ぐに何処かに吹っ飛んでしもたねぇ。

若い弾力のある身体を抱きしめてたら、我に無く胸がドキドキ、頭がカァ~ッとして来ましたわ。
それ以上の事はネコや無いねんから、こんな所で出来んのが残念やなぁ。
こうなれば、梅みたいなもんどうでもエエわ。
早い事モノレールに打ち跨って、トットと家に帰ってウィヒッヒ・・・。
しかし、それまでこの夢が持つやろか、いや夢と決まったわけでもないのか?

おんぶするにもクニャクニャして背負い難いなぁ。
そうや背負子持って来てたら担ぎやすかったんや、まさかこんな事になるとは思わへんがな。
オ、イカン目がチカチカして来た、血管プッツン、ピ~ポピ~ポは堪忍してや・・・。

ちと興奮しすぎたか、目玉の奥でピカッと光が炸裂したような感じがしたと思った途端に、鈴を振るようなきれいな声がしますねん。

「これ賎(シズ)の男(オノコ)、賎の男よ」

おいおい、民主主義の全国民平等の現代日本でシズノオノコてな事をいうたら差別やと問題になるで。
一体全体私の何処が賎しいというねんな。

「そう怒(イカ)りやるな、ウメの木に宿り、花と香りを愛(メデ)で居りたれど、いとガサツなる山賤(ヤマガツ)奴等に取り囲まれ、すまひへと罷り帰るらむとおもひしが、あまりに永らく座りおったゆえか、お足(ミヤ)が痺れてしもうた。じゃによって、汝の妻女をお借りもうした。いまははや竹林にいたりぬれば、お返しもうすであろう。」

「何です?えらい中途半端にクラシックな物言いですなぁ。一体あんた誰ですねん」

「知らずとも良い、といひたきところなれど、一時(ヒトトキ)とはもうせ、夫婦の真似事などもせしゆえ明かしてつかわす。妾(ワラワ)こそかぐや姫とまうしはべるなり」

改めてカミさんの顔を見たけど、口はつむったまんまで物をいうてる風は全く無い。

そういえば耳からや無しに、頭の中で声がしてるがな・・・。
イカン、幻覚に幻聴が追い討ちを掛けて来たんやろか。
これは夢にせぇ、死んでるにせぇ念が入り過ぎてまっせ。

それにしてもかぐや姫なんてぇ代物は昔話の中でも天に帰ってしもた筈やがな。

「お伽話になりたるは、四百七拾九代前の駐在員なり。」

何、駐在員?ほんならかぐや姫は一人と違うんかいな?
入れ替わり立ち代わりでず~っと来てますのんか?

「そぉよ、おっちゃん。任期2年やねんなり。」

何やいな?突然雰囲気が変わったやんかい。

「かぐや姫らしいに喋るのんてむずかしいねんよ。ホンマは猛訓練で鍛えて、成績優秀な子を選抜して派遣するねんけどね。鍛えるとか努力てダッサイやんか、ウチそういうのってパスしたい人やねん。ほんでも私どうしても一回来て見たかったから、試験官にお色気攻勢かけて点数に下駄はかせてもろてん。」

えらい奴ちゃなぁ!
しかしカミさんが若がえったというんは、どういう理由(ワケ)やねんな。

「おっちゃんが悪いねん。あんたの頭の中のイメージを参考に変身したらあんな事になってしもたんよ。現実から逃避せんともっとちゃんと事実を直視せんとあかんやんか」

こらまた、えらい言われようやなぁ。
しかし、頭の中のイメージなんか参考にせんでも、現物があるんやから居抜きは出来んのかいな。

「そのまんま乗移ったらもとのんが壊れるねんけど、理由を説明するのは難しいなぁ・・・。私が作った仮想イメージを、おっちゃんの低級な脳味噌でも処理出来るようにコンバートせんとアカンのよ。もしコンバートに失敗したらオドロオドロしいのが出来てしまうねん。」

そんなんは堪忍やで、こう見えて恐がりやねん。

「以前はコンバーターにバグがあったのかよう出来損ないがあってねぇ。妖怪やお化けの正体はそれやねん。いまでもコンバートは結構手間がかかるねんよ。万一失敗したら消すのが又一苦労。そんな邪魔臭うて危険な事するよりも、低級な脳味噌はアクセスし放題やから、浮かんでるイメージをコピペして一寸モディファイしたら簡単で安全やねん。ホントはいかんのやけどね。」

おや?低級な脳味噌とは私の物をさしていうてるみたいに聞こえるがなぁ。

「そうよ当り♪演算速度も記憶容量もショボ~イ、これぞ低級の見本やね、旧型やし。とりえはセキュリティが甘いからアクセスしやすい事ぐらいかな?この時代の人間はそんなお粗末な脳味噌で身体を制御して、その上情報までよう遣り取りできたわねぇ。」

人を時代遅れのコンピュータみたいにいうて、失礼なネェちゃんやなぁ。親の躾が悪かったんやねぇ、それでは嫁に貰い手が無いで。

「おっちゃん、嫁とか結婚いうのはこちら世界の風習で、私等にはそういう概念が無いねん。嫁に遣るも貰うもあれへん、そやからそんな事言われても全~然こたえへんのよ。わかった?」

判ったも何も「こちらの世界」というからには「あちらの世界」から来たんかいな?それは一体何処にあるねんやろ?

「何処て、此処に決まってるやんか」

しかし、喋る前に答えられたらせからしいて余計にこんがらがるなぁ。

「基本部品は揃うてるけど、それぞれの性能がお粗末でトータルなバランスが取れてないから、こんがらがるのは無理ないわねぇ。おっちゃんの場合は脳味噌の演算性能もやけど、記憶域の断片化が極端に進んでしもてるのもあって応答が遅いのよ」

まるでバッタ物のハードディスクみたいな言われかたやなぁ・・・。
さっき「この時代」言うてたなぁ、すると過去の時代の筈は無いやろし、ほんなら未来から来たんかいな。
それとも宇宙人?千日前で見世物興行したらゴッソリ儲かるやろうなぁ!

さて、どうしたら捕まえられるやろ?
乗り移るくらいやから霊みたいなもんやろか?
抜け出さんようにラップで包んだら窒息するやろし、今からインターネットで調べても間に合わん、是は困ったぞ。
しかし待てよ、上手い事捕まえても外見はカミさんやもんなぁ。
三つ編みの昔風の女子高生ではインパクトが無いねぇ、特殊メークで誤魔化すか・・・。

「何をしょうも無いこと考えてるんよ!そうか、時間をまだ原始的な概念でとらえている世界では、どうしても未来とか宇宙と考えるんやねぇ。ねぇおっちゃん、ゴキブリに積分を教えられる?」

何やねん、やぶから棒に?そんなことが出来るもんか。

「ゴキブリは微分積分が理解できんでも幸せに何万年も暮らしてるやんか。それと一緒やから、私らの時(トキ)の概念を無理して判ろうとせん方が身の為ちゃう?そやし、何処から来たか、なんて事は聞いても余計判れへんやろうから気にせん方がええよ。」

一緒てゴキブリとかいな、あんまり人をコケにしたらドエライい目に遭わすで!

「ドエライい目に遭わすには、先ず捕まえんとあかんのんとちゃうのん?非論理的な上に3次元的にしか考えられへんのに無理やって。アインシュタインの幼稚な理論から全然進歩して無いねんから。」

そういわれたらそうやなぁ、しかしアインシュタインを幼稚呼ばわりするか!
ほんなら相対性理論や時(トキ)の観念はそっちではどうなってるねん。

「アインちゃんの考えたんも基本的には間違っては無いんやけどねぇ。光速に拘りすぎたんが理論の展開を邪魔したんと違うかな?1次元、2次元の延長上で4次元を考えてしまうのも無理ないけどね。」

アインちゃんとは気安過ぎるやないか、何?すると時(トキ)の軸は第4の次元と違うというんかいな?

「言うても理解できへんやろうけど、私等の世界は直線は1次元、平面は2次元、通常の空間を3次元でとらえてる未発達な世界を幾つも包み込んでてね。その中の一つが3次元で構成されて時が一方向にだけ流れてるおっちゃんの世界。理論上のn次元や無限次元の空間も考えてるようやけど、気の毒に思考のベースが見当違いなんよ。私等の時(トキ)は常に形を変える制御可能な、どないしたん!おっちゃん、アラッ、フリーズしてしもてるやんか。やっぱり無理やったんやねぇ。しっかりしてよ!」

ピーピーピー、ピッ、ピッ、ピッ・・・ピ~
「いややわぁ、メモリーがあかんようになったんやろか?」


何ちゅう事を言うねんな、ジャンク物のコンピューターやあるまいし。

「アッ、良かった!アクセス出来るようになったわ。ゴメ~ン、ついおっちゃんの程度を忘れて、能力を超えるお話をしてしもたわ。思いっきりレベルを落とした積りやってんけど、それでもアカンかってんね。ホンマにゴメンネ!」

ゴメンネと言われても、いっこも謝って貰ってるような気になれへんやんか。

2006/02/06

観梅の妄言-6


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