maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

含笑花 

2008-05-13 16:30:58 | 支離滅裂-花鳥風月

(玉心木、招魂木、トウオガタマ、カラタネオガタマノキ)
25年近く前、仕事で高雄に往った帰り台北で一泊し、友人謝清章さんと台北の旧遊郭、萬華にある料理屋で餃子と麺の昼食の後、龍山寺に寄りました。
ここの関帝は博打と商売に霊験あらたか、媽祖も航海の神様です。
観光地としても有名なので何時も人で賑わっています。

門を入って直ぐ右手によく茂ったこの木が有ります。
お婆さんが安全ピンにつぼみを挿して売っています。
タイでも同じようにして娘さんが胸元につけたりしていました。花は知っていましたが樹をみたのは初めてです。
しげしげと木を眺めていたら、「珍しいか?日本には無いのか?」と訊ねるので「見たことが無い」というと、横手の建物に入って行き、鋏を持ってきてお箸くらいの枝を五本、長さ二十センチくらいに切って、紙片れに”玉心木”と書いたのを添えてくれました。
土に挿せば根が出ると言います。
折角ですから有りがたく貰って、ティシュを濡らしたので包んで日本に持って帰りました。

駄目元で植木鉢に挿したら1本だけ根付きました。
暖かい所の木だからと冬は大事に家の中に取り込んで育てましたが、高さ30センチくらいから大きくならず、花も付きません。
18年間そんな状態でした。

阪神大震災で家の1/3が倒壊し、残った部分もかわらが落ちたり、軒が崩れたりして、止む無く倒壊部分を立て替えました。
植木を移したりしたために、丁度東向の日当たりの良いところが空いたので、玉心木を鉢からおろしてやりました。
すると春から夏にかけてどんどん枝を伸ばし、2年目には高さ1.7メートルほどの立派な姿になりました。
そして初夏に待望の花が咲いたのです。
バナナのような芳香がほのかに匂い、熱帯アジアのまとわりつくような空気を思い出します。

含笑花と言う名前を知ったのはそんな頃でした。
地植えして丁度1年経った頃、近くの本屋で陳舜臣氏の” 含笑花”と題する随筆集を買ったのです。
含笑花のところを読むとどうやら”玉心木”の事らしいのです。
台湾の友人に手紙のついでに尋ねるとやはりそうでした。
お茶に入れて香を移すこともするそうです。

花が咲いていても気温が低いと匂いません。
日が昇って空気が温まると香が立ってくるのです。
謝清章さんの甥で、私とも友人の画家が日本で亡くなったのは玉心木の花盛りの頃でした。
含笑花の香りがすると、個展に行くと体中で微笑んでむかえてくれた彼を、毎年正月には1人住まいの公団住宅で、故国の料理をテーブルいっぱいにならべて、私の家族を待っていてくれた彼を思い出します。
彼の故郷、台湾東海岸、宜蘭から駈け付けた弟、妹さんと、好きだったロングピースのタバコを線香代わりに、空き瓶に含笑花の花を差して供えました。
彼のいない部屋で遺骨を囲んで食べた、妹さんが作った宜蘭の家庭料理の味は一生忘れられないでしょう。

2001/12/15
(写真は2002/05/05自宅にて)

トウオガタマ(カラタネオガタマノキ)
所属:モクレン科 オガタマノキ属
学名:Michelia fuscata Blume
特性: 常緑小高木で株立状のものが多い。樹形は半球形で枝は密生する。葉は革質で全緑、長楕円形をなす。上面深緑色で光沢があり、鈍頭。花は小形で5月2年枝に単生し開き、腋出し黄白色で縁辺は稍紅色である。弁の上面に淡紫紅色の点紋があり、バナナのような香気が強い。果実の結実は極めて稀である
中国南部原産。九江、マカオに多く、台湾に移植して生育している。アメリカ南部地方に広く普及している。日本には江戸時代の中期に渡来したと伝える。

独立行政法人森林総合研究所九州支所さまの トウオガタマより引用させていただきました。

(なんや、二百年以上前から日本に来てるんや!けど、ウチのは真っ赤な実が沢山なります、微妙に違うような気もするなァ、う~ん亜種なんやろか?)

【お知らせ、とお礼】

後記:
この記事をアップするについて、ひょっとしてもっと何か判るかと、Webで検索した所、有りました。
*お願い:
転載許可をもらおうと思って、再アクセスを試みましたが出来ませんでした。
お心辺りの方は、ご面倒ですが、ご連絡ください。

と書いていましたところ、
玄武さまより、URLの情報を頂きました。
早速、独立行政法人森林総合研究所九州支所さまへ引用の許可をお願いしたところ、
本日(2003年5月6日)お許しを頂きました。
丁度、含笑花も満開、気に掛かっていた事も解消して、こんな嬉しい事はありません。
皆さんありがとうございました。
maido 敬白
2003/05/06

追記1:
刈り込んだ枝を2004/09/20に挿し木していたのが、今年初めて花を咲かせてくれました。
親の木は土が合ったのか、2001/12/15にこの記事をアップした後、1時は軒を遥かに越える高さに育ちました。
放って置くと余り大きくなり過ぎるので、今は高さ3mX直径2mくらいに刈り込んでいます。
2008/05/13

Amebaブログ含笑花(玉心木)



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