流動のイイ女

妻子もちと別れ⇒いじめで会社を退職⇒脱無職⇒上司と不倫関係⇒約3年の不倫にピリオド⇒復縁、妊娠⇒未婚の母に

度重なるケンカ

2010-07-27 | 新しい仕事
またテツさんとケンカした。

原因はアタシにあるのかテツさんにあるのか分からない。

テツさんが奥さんと訪れたことのある場所にアタシを連れて行ったのがいけなかったのか

そのことを次の日になっても責めたアタシがいけなかったのか

どちらかのガマンが足りなかったわけで。

それでも大喧嘩をするとアタシが謝るはめになる。

バカ

ボケ

人殺し

頭ん中何入ってるわけ?

そんな言葉をテツさんに浴びせられても

『アタシにはテツさんしかいないの・・・』

なんて言わないといけない。

「信じられねーよ。俺の気持ちは戻らない。もう終わりだ」

そう吐き捨てられてもう終わったんだと思って承諾しても

「終わるのか?お前が俺にそう言わせたんだからな。散々バカにしやがって。騙しやがって。裏切りやがって。また俺を怒らせる気かこのボケ!」

こんな言葉が延々4時間。

気持ちとは裏腹にひたすら謝るアタシ。

車の中はテツさんのタバコの煙で気持ちが悪くなるほどだった。

ハンドルや天井をガンガン殴りつけ、般若のような形相でアタシを睨みつけ乱暴な運転で見知らぬ土地へ連れて行かれる。

少しだけ開いた窓からは川のせせらぎが聞こえてくる。

飛び降りようか。本気でそう思った。

テツさんが俯いているときは舌を出し睨みつけ、テツさんが口を開けばアタシは涙を流してひたすら謝罪するのであった。

主従関係とはこうしてできあがるんだ、なんとなくそう思った。

本気で怒っていい立場はアタシのはずなのに。

フラれるのに怯えて謝り過ちを悔やむのはテツさんの方なのに。

どうしてテツさんは謝らない。

どうしてアタシは涙も鼻水も垂れ流してすがりつかなければならない。

終われればスッキリするのに。

それなのにひたすらひたすら許しを乞う。

そんなテツさんがついにアタシを抱き寄せキスをしてきた。

涙と鼻水でぐちゃぐちゃなのにテツさんは何度も唇を重ねる。

『何のつもり!?』

アタシはテツさんを押しのけて抵抗するもまたテツさんに唇を塞がれる。

なーにやってんだか。

てこずらせやがって。

内心はこんなことばかり考えていた。

まっ、どうせなら仲良くしてた方がいいもんね。

長い長いキスの後、テツさんがじゃれてきた。

テツさんがふざけた行動をするということは、アタシを許してくれたということだ。

これがテツさんの歩み寄りなのだろうか。

アタシも長時間のケンカから解放されてほっとした。

それがよくなかったのかもしれない。

仲直りもしたし、夜も遅いしさぁ帰ろうとしたその時。

『待って・・・うっ、おぇっ・・・』

アタシは急にえずきだした。

「まい?どうしたの・・・?まい?」

テツさんが心配そうに声をかけてくれる。

けれどもアタシのえずきは止まらず、げーげーいってしまった。

吐きたくても吐けない、だけど無性に気持ち悪い。

そのうちアタシはものすごく呼吸が荒くなってしまい、ヒーハーヒーハーと涙とよだれを垂れ流しながらえづき続けた。

「まい、とりあえず車から降りて」

テツさんが助手席のドアを開けアタシを車外へ引きずり出す。

アタシは立てなくてそのまま外にしゃがみこんだ。

テツさんはアタシを吐かせようとしたのだろう。

背中をさすって促してくれた。

出ない。出ないよ。そんなんじゃないから。

「まい、ほらこれ飲んで。口ゆすぎな」

テツさんがミネラルウォーターを差し出してくれた。

そもそもこの水はアタシが胃痛を訴えたからテツさんの胃薬をもらって飲むだめに使った水だった。

しばらくしたら落ち着いてきて。自分の足で車に乗り込んだ。

「・・・俺のせいだ」テツさんがつぶやいた。

「俺がキスしたからえずいたんだ」

確かにそうかもしれない。

車の中はタバコ臭くて、その臭いで気持ちが悪くなったのは確かだった。

だけどアタシはせっかく仲直りした手前、否定するしかなかった。

「もう二度とキスしない。もう嫌だ。最悪だ」

テツさんはハンドルに突っ伏してしまった。

全くめんどくさい男だ。気持ち悪いのはこっちなのに。

結局アパートの駐車場で無理矢理キスをし、テツさんのせいじゃないことを証明してやった。

本当はちょっと恐かった。キスしたらまたえずいてしまいそうで。

身体がテツさんを受け入れられなくなったかな?と本気で考えてしまった。

珍しくアタシからテツさんに抱きついたけど、テツさんはふざけてると思ったのだろう。

アタシの嫌いな場所を触ってきたりした。

それでもアタシはハグをやめなかったから、アタシの気持ちを理解してくれ、抱きしめ返してくれた。

こんなはずじゃなかったのに・・・

テツさんの温もりを身体のいたるところで感じ取ると、自然に涙がぼろぼろと零れるのだった。

あぁ、またこれで地獄の日々は続くんだな・・・

憂鬱な気持ちとは裏腹に、夜空には月がとてもきれいに輝いていた。

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