アタシが悪いの？

思いもよらぬテツさんの怒りの声。 「てめぇっ、今どこにいるんだよっ！！」 そのものすごい剣幕に若干怯み、アタシはできるだけ大きな声で『銀行だよ！』と言った。 「銀行だあ！！？？てめぇ、何してやがるんだよ！！！」 テツさんの勢いは止まらない。 この時点でアタシの頭上は？？？でいっぱいだった。 『銀行に行くって言ったじゃん！』何を聞いてたんだろう、この人。 「俺が今どこにいるのか分かってんのか！！！」 . . . 本文を読む

テツさんが恐い

ある日、テツさんは泊まりで出張に出た。 次の日は帰るだけだったため、遠まわしにアタシに会いたいと言ってきた。 だからアタシも午後から半休を取ったの。 ちょうどアタシは銀行に用事があって、仕事をしている日中は絶対に行けなかったから、ちょうどいいと思ってね。 今回の出張はちょっと面倒な旅だったから、ホテルの３時からのフリータイムでテツさんを休ませてあげたかった。 「まいのアパートに着くのは２時半くらい . . . 本文を読む

前を向けない

最近、ずっと胃の調子が悪い。 朝起きれば胃液が出そうだし、食欲もあるのか分からない。 食べることはできるけど、食べたいと思わない。 そして食べてもおいしくないんだ。 さらにはお腹もゆるい。鳥肌が立ってしまう。 仕事やテツさんにストレスを感じると悪化する。 もうそれが１週間以上続いていた。 なんだろう。 原因は大体分かる気がする。 多分だけど、ペアリングを着けてからこうなった。 なんていうか、このペ . . . 本文を読む

雪

出張から帰ってきたテツさん。 上司を置いてまっすぐアパートに来てくれた。 アタシは作ったお菓子を持って、車に乗り込んだ。 『お帰り、テツさん。はいこれ』 「ただいま、なにこれ？」 『バレンタインの作ったの。テツさん、１５日出張でいないって言うから。一緒に食べよ』 われながら乙女だ。本当に自分らしくなかった。 人って変わるもんなんだね。 だけど、テツさんはこう言ったの。 「ふーん。で、誰にもらったの . . . 本文を読む

二人目の後任がきた

この2月から、二人目の後任が入ってきた。 中途採用で入社した彼は３２歳。 なんともシケたツラをした男だった。 名前はコーギー。名前とはうってかわって陰気な雰囲気だった。 おとなしそうなコーギーは、熱血漢のテツさんについていけるか不安で仕方ない。 この人ともう一人でテツさんの引継ぎをする・・・本当に大丈夫なのだろうか。 こんな事態にさせてしまった自分に改めて罪悪感を感じずにはいられなかった。 ただ . . . 本文を読む

身体を重ねて

木曜から２泊で出張中のテツさん。 今日のお昼に帰ってきます。ということはもう少しだね。 ホントはアタシ今日は仕事だったのだけれど、テツさんの希望でお休みをとって、帰ってきたら二人でゆっくりすることにしたよ。 きっとホテルでまったりするから、アタシは一足先にバレンタインのお菓子を作った。 どうしてかと言うと、テツさん、１５日からまた泊まりで出張らしい。 １４日は日曜だから会わないし、ゆっくり作って１ . . . 本文を読む

春夏秋冬

テツさんと出会ってから一年半の時が流れていた。 何も知らないアタシにテツさんはいろんなことを教えてくれ、いろんな所に連れて行ってくれた。 春の桜は、１日に何箇所も回ってたくさん見たね。 夜桜、キレイだった。 夏には日本海を眺めて海の幸を堪能して。 千葉にも行った。スーツのテツさんは汗だくになって島を歩いたね。 秋には色とりどりの紅葉を見た。鮎も蕎麦も食べた。 . . . 本文を読む